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慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
「過去問は大事」と誰もが言いますが、「じゃあ、具体的にいつから、どうやって手をつければいいの?」という問いに、自信を持って答えられる受験生は多くありません。
周りの友達が始めたと聞いて焦ったり、「まだ基礎が固まっていないから…」と後回しにしてしまったり。気づけば入試直前で、対策不足に愕然とする…。そんな不安を抱えていませんか?
この記事では、そんなあなたの悩みを完全に解決します。過去問演習を「始めるべき明確な時期」と、合格可能性を最大化するための「再現性の高い具体的な手順」を、誰にでも実践可能な形で提示します。もう迷う必要はありません。
※一部の志望校や個人の勉強の進度によって、過去問をはじめるべき最適な時期は変わります。この記事ではできるだけ多くの受験生が参考にできるように作成しています。
結論から言うと、過去問は「学力を測るための模試」ではありません。それは、「志望校の”クセ”を知り、合格点を取るための戦略を立てる、最高の教材」です。
過去問の真の目的は、①敵(出題傾向・時間配分・問題形式)を知り、②自分(現在の実力・弱点)を分析し、③そのギャップを埋めるための戦略を立てることです。
だからこそ、ただやみくもに早く始めたり、解いて点数を見るだけだったりするのは非常にもったいないのです。適切な時期に、明確な目的意識を持って取り組むことで、過去問は初めて、あなたの合格をぐっと引き寄せる「戦略兵器」に変わります。
過去問演習で伸び悩む受験生には、共通する「ありがちな間違い」があります。あなたも心当たりがないか、チェックしてみてください。
失敗例1:「完璧主義」で出遅れる
「全範囲の基礎が固まるまで過去問は解かない」と決め込み、秋、冬まで参考書ばかり…。いざ過去問を解いて、特殊な形式や時間配分の厳しさに気づくも、対策する時間が残っておらず、焦りだけが募る。
失敗例2:「フライング」で自信喪失
高3の春から焦って手を出し、未習範囲だらけで全く解けずに撃沈。「自分にはこの大学は無理だ…」と、不必要な苦手意識を植え付けられ、過去問アレルギーになってしまう。
失敗例3:「解きっぱなし」で自己満足
時間を計って解き、丸付けをして点数に一喜一憂するだけで終了。「分析」や「解き直し」をしないため、何度やっても同じ間違いを繰り返し、全く実力が伸びない。
これらの失敗は、あなたのせいではありません。明確な「手順」を知ることで、すべて回避できます。
ここからが本題です。過去問は「いつから」という一点で考えるのではなく、時期ごとに「目的」を変えるのが正解です。この3つのフェーズを意識して、ライバルに差をつけましょう。
時期: 高3の6月〜7月
目的: 腕試しではなく、志望校の出題傾向や難易度、時間配分を「肌で知る」こと。
アクション:
1.第一志望校の最新年度1年分だけを解く。
2.時間は計っても計らなくてもOK。点数も一切気にしない。
3.「どんな問題が出るのか」「今の自分に足りない知識は何か」を偵察するつもりで取り組む。
このフェーズのゴール: 夏以降の学習計画の解像度を上げ、「何を」「どれくらい」勉強すれば合格に近づけるのかを明確にすること。
時期: 高3の夏休み〜10月
目的: 時間内に問題を解く訓練を積み、自分の弱点を徹底的に洗い出して潰すこと。
アクション:
1.「週に1年分」などペースを決め、必ず時間を計って解く。
2.解いた後は、点数以上に「分析」と「解き直し」を徹底する。
3.間違えた原因を「知識不足」「時間不足」「ケアレスミス」などに分類し、ノートにまとめる。
このフェーズのゴール: 志望校の問題形式に慣れ、自分の弱点を全て可視化・克服し、合格点の土台を築くこと。
時期: 11月〜入試直前
目的: 満点を狙うのではなく、合格最低点を確実に超えるための「得点戦略」を完成させること。
アクション:
1. 第一志望校の過去問(2周目)と、第二志望・併願校の過去問に着手する。
2.「解く順番」「時間配分」「捨てる問題の見極め」など、本番での動き方をシミュレーションする。
3.入試本番と同じ時間帯に解くなど、生活リズムも意識する。
このフェーズのゴール: どんな問題が出ても冷静に対処し、自分の実力を100%発揮して合格点を「取り切る」実戦力を完成させること。
共通テスト過去問はいつから?: マーク式に慣れるため、夏に少なくとも1〜2年分解いてみるのがおすすめです。本格的な対策は11月以降、共通テスト対策にシフトする時期で構いません。まずは二次・私大対策を優先しましょう。
赤本は最新版を買うべき?: 必ず最新版を書店で手に入れてください。最新の入試問題だけでなく、解答解説の質が改善されていたり、大学からの公式な出題意図や最低点データが更新されていたりするからです。
解き終わった過去問はどうする?: 解きっぱなしは厳禁。間違えた問題を集めた「弱点ノート」を作成し、入試直前に見返す最高のオリジナル参考書にしましょう。
まだ基礎が終わっていないのですが、本当に夏から過去問を始めてもいいのでしょうか?
素晴らしい質問です。その不安、よく分かります。ですが、答えは「YES」です。むしろ、基礎学習の効率を上げるために、夏から過去問に触れるのです。「完璧になってから」では遅すぎます。第1フェーズの目的は、敵の姿を知り、「これからどの基礎を、どのレベルまで固めるべきか」という羅針盤を手に入れることです。解けなくて当然なので、安心して挑戦してください。
過去問は、合計で何年分くらい解けば良いのでしょうか?
これもよくある質問ですね。あくまで目安ですが、第一志望校は最低でも7~10年分、第二志望以下の併願校は3~5年分を目標にすると良いでしょう。ただし、量より質が重要です。10年分を解きっぱなしにするより、5年分を徹底的に分析・復習する方が何倍も力になります。3フェーズ戦略に沿って、一回一回の演習の「目的」を意識することが最も大切です。
今回は、受験生最大の悩みの一つ「過去問はいつから始めるか」について、具体的な戦略をお伝えしました。もう「なんとなく」で始めるのはやめましょう。
この記事で示した手順は、あなたの努力を裏切らない、再現性の高いロードマップです。今日から計画を立て、自信を持って過去問演習の第一歩を踏み出してください。応援しています!