目次
~ 偏差値・入試から早大進学の実態、寮生活までを深掘りしていきます ~

早稲田大学社会科学部3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
まず、早稲田大学本庄高等学院(以下、早大本庄)の基本的なプロフィールを確認します。同学院は、早稲田大学の附属校ではなく、独立した学校法人が運営する「系属校」に位置づけられますが、卒業生のほぼ全員が早稲田大学へ進学できる、全国でも屈指の難関私立高校です。
| 項目 | 情報 |
|---|---|
| 正式名称 | 早稲田大学本庄高等学院 |
| 所在地 | 埼玉県本庄市栗崎239-3 |
| 最寄り駅 | JR高崎線「本庄」駅よりスクールバスで約15分 上越新幹線「本庄早稲田」駅より徒歩約3分 |
| 偏差値(目安) | 76(複数の大手学習塾の公開データを総合的に判断) |
| 学校種別 | 私立・男女共学 |
| 特記事項 | 制服なし、帰国生受け入れ、男女寮完備 |
偏差値「76」という数値は、慶應義塾志木高校と並び、埼玉県内トップ、全国でも最上位クラスに位置することを示します。これは、単に学力試験の得点力だけでなく、内申点や課外活動を含めた総合的な優秀さが求められるレベルです。この偏差値は、入学の難易度と同時に、入学後に所属するコミュニティの質の高さを保証するものと分析できます。
早大本庄の最大の価値は、高校3年間を大学受験勉強に費やすのではなく、より本質的な学問の探究や自己成長の時間に充てられる点に集約されます。
同学院は、卒業に必要な単位を修得し、一定の成績基準を満たせば、原則として全員が早稲田大学へ推薦入学できる制度を設けています。学部選択は3年間の成績に基づいて行われますが、進学そのものが保証されている点は、他の進学校と一線を画す最大の特徴です。
これは「大学受験からの解放」を意味します。受験テクニックの習得に偏りがちな一般的な高校教育とは異なり、生徒は自身の興味関心に基づき、深く学問を探究する時間的・精神的余裕を持つことができます。この環境が、後述する卒業論文などの独自の教育プログラムを可能にしていると言えるでしょう。
同学院の教育は、知識の詰め込みではなく、生徒の知的好奇心を引き出すことに重きを置いています。2年次からは少人数の「ゼミ」が始まり、3年次には全員が「卒業論文」を作成することが義務付けられています。これは大学の教育スタイルを先取りしたものであり、自ら問いを立て、調査し、論理的にまとめる能力を育成します。
卒業論文の執筆経験は、大学入学後のレポート作成や研究活動において、他大学から入学した学生に対して大きなアドバンテージとなり得ます。高校時代から「学び方」そのものを学ぶこの経験は、単なる知識以上に価値のある、一生もののスキルを育むと評価できます。
入学者の選抜は、学力試験による「一般入試」のほか、自己推薦型の「α選抜」や「帰国生入試」など、複数の方式で行われています。「α選抜」は、学業成績が極めて優秀であることに加え、スポーツ・文化活動、資格取得などで顕著な実績を持つ生徒を対象としており、書類選考と面接によって合否が判断されます。
この多様な入試制度は、画一的な学力だけでは測れない、様々な個性や才能を持つ生徒を全国から集める機能を持っています。特に「α選抜」は、中学時代に何かに打ち込み、明確な実績を残してきた生徒にとって、大きなチャンスとなり得ます。これにより、生徒集団の多様性が生まれ、互いに刺激を与え合う知的活力が生まれる好循環が形成されていると分析します。
多くのメリットを持つ一方で、入学前に客観的に検討すべき注意点も存在します。
私立高校の中でも学費は高水準にあります。以下に2024年度実績を基にした概算費用を整理します。
| 項目 | 金額(初年度目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 入学金 | 260,000円 | 入学時のみ |
| 授業料(年額) | 684,000円 | 就学支援金の対象となる場合があります |
| 施設維持費(年額) | 228,000円 | |
| その他諸経費 | 約27,500円 | 生徒会費、共済費など |
| 初年度納入金 合計 | 約1,199,500円 | |
| 寮費(年額・参考) | 約1,200,000円 | 食費込み。入寮費等が別途必要。 |
客観性を担保するため、各種口コミサイトや卒業生の寄稿などから、ポジティブ・ネガティブ両側面の代表的な意見を整理しました。
「大学受験がないので、自分の好きな研究や部活に3年間没頭できた。最高の環境。」
「とにかく自由。校則に縛られず、個性を尊重してくれる。生徒も大人びている人が多い。」
「全国から面白いやつが集まってくる。寮生活を通じて、一生ものの友人関係が築けた。」
「施設が大学並みに綺麗で広い。図書館の蔵書もすごく、学びたい人には天国。」
「本庄は思った以上に田舎。遊ぶ場所はほぼない。通学時間が長すぎて消耗する。」
「受験がない分、中だるみするリスクは高い。自分で律しないとあっという間に3年間が終わる。」
「『普通の高校生活』とは少し違うかも。文化祭なども落ち着いた雰囲気。」
「国公立を目指したくなった時に軌道修正が難しい。入学前に進路は固めておくべき。」
Q.
一般入試はどのくらい難しいですか?
A.
極めて高いレベルです。試験科目は国語・数学・英語の3教科ですが、各教科とも中学校の学習範囲を逸脱するような、高校レベルの知識や深い思考力を問う問題が多数出題されます。特に数学と英語の難易度は全国の高校入試でもトップクラスと評価されています。合格には、単なる暗記ではなく、本質的な理解に基づいた応用力が不可欠です。
Q.
寮生活はどのような感じですか?
A.
自立を促すための重要な教育機会と位置づけられています。部屋は個室が基本ですが、共有スペースでの交流も活発です。門限や食事時間などの規則はありますが、全体的には生徒の自主性が尊重されています。全国から集まった学友との共同生活を通じて、コミュニケーション能力や協調性が養われると同時に、親元を離れて生活する自己管理能力が試される場でもあります。
Q.
早大学院や早実との違いは何ですか?
A.
最も大きな違いは、立地と環境、そして男女共学か否かです。早大学院(東京都練馬区)は男子校、早実(東京都国分寺市)は共学ですが初等部・中等部からの内部進学者が多数を占めます。早大本庄は、広大な自然に囲まれたキャンパスで、全国から生徒が集まる寮生活が可能な点がユニークです。教育内容も、本庄は卒業論文が必修であるなど、より大学に近いアカデミックな探究活動を重視する傾向があります。
偏差値76、早稲田大学へのほぼ100%の推薦進学権を持つ、全国最難関の系属校。
「大学受験からの解放」を最大の価値とし、卒業論文など大学レベルの探究型学習を実践。
本庄という立地と、それに伴う通学・寮生活が大きな検討事項。
自由な校風と引き換えに、極めて高いレベルの自主性・自己管理能力が求められる。
強くおすすめできる方:
中学時点ですでに「早稲田大学で学びたい」という強い意志を持っている生徒。
一般的な受験勉強よりも、自身の興味を深く掘り下げる探究型学習に魅力を感じる生徒。
親元を離れた寮生活や長距離通学も、自立へのステップとして前向きに捉えられる生徒。
他者から指示されずとも、自ら計画を立てて行動できる、精神的に成熟した生徒。
慎重な検討を要する方:
国公立大学や医学部など、早稲田大学以外の進路の可能性も残しておきたい生徒。
都会的な環境や、「普通の高校生らしい」賑やかな学校生活に憧れがある生徒。
学習計画や生活面で、手厚いサポートや管理を必要とするタイプの生徒。
通学の負担や、寮生活・一人暮らしへの不安が大きい生徒およびそのご家庭。