【2025年版】職業能力開発総合大学校の偏差値・就職先、校風を解説
この記事では、厚生労働省が所管す国立教育機関「職業能力開発総合大学校」の総合課程(大学の学部に相当)について、その基本情報から入試の難易度、学びの特色、就職実績、そして在学生からのリアルな評判までを徹底的に分析します。一般的な大学とは一線を画すその教育内容と価値を理解し、あなたの進路選択におけるミスマッチを防ぐための参考となれば幸いです。
職業能力開発総合大学校の基本情報とキャンパス
まずは、大学の基本的なデータと、日々の学習の舞台となるキャンパスへのアクセス方法を確認しましょう。
| 大学名 |
職業能力開発総合大学校 (Polytechnic University) |
| 所管 |
厚生労働省 |
| 所在地 |
〒187-0035 東京都小平市小川西町2-32-1 |
課程・専攻
(学部に相当) |
総合課程 (4年制)
・機械専攻
・電気専攻
・電子情報専攻
・建築専攻 |
| 公式サイト |
https://www.uitec.jeed.go.jp/ |
| キャンパス名 |
小平キャンパス |
| アクセス |
JR中央線「国分寺駅」北口から
立川バス「昭和病院」「大沼団地」行きで約10分、「職業能力開発総合大学校」下車すぐ |
西武拝島線・国分寺線「小川駅」東口から
徒歩約20分 |
この記事を書いた人

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
職業能力開発総合大学校の入試徹底分析(偏差値・受験方式・問題傾向)
職業大の入試は、一般的な大学とは異なる評価軸を持つため、偏差値だけで難易度を測ることは困難です。ここでは、参考偏差値と入試の特徴、そして科目別の傾向を分析します。
職業能力開発総合大学校の偏差値と競合大学
| 機械専攻 |
47.5 – 52.5 |
60% – 65% |
芝浦工業大学、東京電機大学、工学院大学、千葉工業大学、地方国公立大学(工学部) |
| 電気専攻 |
47.5 – 52.5 |
60% – 65% |
| 電子情報専攻 |
50.0 – 55.0 |
62% – 68% |
| 建築専攻 |
50.0 – 55.0 |
62% – 68% |
主な入試方式と科目別出題傾向
一般選抜(前期日程)が基本となりますが、総合型選抜も実施されています。
【一般選抜(前期日程)】
大学入学共通テスト:5教科7科目が課されます。理系科目だけでなく、国語や社会の基礎学力も問われます。
個別学力検査:数学(数I・II・III・A・B・C)と理科(物理基礎・物理 または 化学基礎・化学)の2教科です。
【科目別出題傾向のポイント】
数学:標準的な国公立大学の理系数学です。微積分、複素数平面、極限などが頻出分野。計算力はもちろん、論理的な思考プロセスを答案上で示す記述力が求められます。教科書レベルの基礎を徹底した上で、標準的な問題集を繰り返し解くことが合格への近道です。
物理・化学:こちらも標準レベルの問題が中心です。物理は力学・電磁気が、化学は理論化学・有機化学が頻出。現象の根本的な理解を問う問題が多いため、公式の丸暗記ではなく、なぜその式が成り立つのかを説明できるレベルまで理解を深めることが重要です。
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職業能力開発総合大学校の主な就職実績とキャリアパス
職業大の最大の強みの一つが、その高い就職率と独自のキャリアパスです。卒業生の進路は大きく2つに分かれます。
| 概要 |
全国の公共職業能力開発施設(ポリテクセンター、ポリテクカレッジ等)で、求職者や在職者に対して専門技術を指導する公務員(国家公務員または地方公務員)。 |
| 主な就職先(業界別) |
製造業:トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、SUBARU、日立製作所、三菱電機、IHI、オークマ
建設業:大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設、竹中工務店
情報通信業:NTT東日本、NTTデータ など |
| 概要 |
職業大の応用課程(大学院修士課程に相当)や、他の国公立・私立大学の大学院へ進学し、より高度な研究を深める学生もいます。 |
職業能力開発総合大学校の学費
職業大は国立の機関であるため、学費は他の国立大学とほぼ同水準に設定されており、私立大学の理工系学部と比較すると大幅に安価です。
| 入学金 |
約282,000円 |
一般的な国立大学と同水準。私立理工系大学(年間約150万〜180万円)と比較すると、4年間で数百万円の差が生じます。 |
| 授業料(年額) |
約535,800円 |
職業能力開発総合大学校の学びと研究の3つの特徴
職業大の教育は、一般的な工学部とは一線を画す、以下の3つの大きな特徴を持っています。
① 圧倒的な「モノづくり」重視の実践教育
カリキュラムの約6割が実験・実習で構成されています。例えば機械専攻では、旋盤やフライス盤、溶接といった基礎的な加工技術から、CAD/CAMを用いた設計、NC工作機械による自動加工、3Dプリンタによる造形まで、製品開発の一連の流れをすべて自分の手で体験します。頭で理解するだけでなく、身体で技術を習得することに重きを置いています。
② 「教える力」を養う指導員養成カリキュラム
テクノインストラクター(職業訓練指導員)を養成するという使命に基づき、「職業訓練原理」や「教科指導法」といった教職課程に似た科目が必修となっています。これにより、専門技術を他者に分かりやすく伝え、指導する能力(コーチング能力)が自然と身につきます。この能力は、企業で後輩を指導する立場になった際にも大いに役立ちます。
③ 少人数教育による手厚いサポート体制
1学年の定員が各専攻20〜40名程度と非常に少なく、教員一人当たりの学生数も少ないため、非常にきめ細やかな指導が受けられます。実験・実習では、教員がマンツーマンに近い形で指導してくれる場面も多く、疑問点をすぐに解消できる環境です。学生と教員の距離が近く、アットホームな雰囲気で学ぶことができます。
職業能力開発総合大学校の在学生・卒業生のリアルな評判
大学の真の姿を知るためには、実際に通う学生の声を聞くのが一番です。ここでは、様々な口コミから見えてくる良い点と気になる点をまとめました。
良い点・満足している点
・とにかく設備がすごい。他の大学では触れないような高価な機械を学生が自由に使える。
・就職に全く困らない。学校推薦が豊富で、大手企業にも普通に入れる。
・実践的なスキルが身につく。卒業する頃には、簡単なものなら自分で設計から製作までできるようになる。
・先生との距離が近い。研究室だけでなく、普段の授業でも親身に相談に乗ってくれる。
気になる点・注意すべき点
・キャンパスの立地が不便。最寄り駅から遠く、遊ぶ場所も周りに少ない。
・知名度が低い。大学名を言っても、ほとんどの人に知られていないのが少し寂しい。
・いわゆる「大学生活」とは違う。サークル活動などは小規模で、大規模な大学祭のような華やかさはない。
・課題や実習が多くて忙しい。特にレポートの提出前は徹夜になることもある。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 文部科学省管轄の大学との違いは何ですか?
最大の違いは「目的」です。文科省の大学が「学術研究の発展」を主目的とするのに対し、厚労省所管の職業大は「高度な技能・技術者を育成し、産業界の発展に貢献すること」および「その指導者を養成すること」を目的としています。そのため、研究よりも実践的な技術の習得に重点が置かれています。卒業時に得られる「学士」の学位は、生産技術(機械・電気・電子情報)、建築の分野で、文科省の大学と同等のものです。
Q2. 女子学生の割合はどれくらいですか?
工学系の単科大学であるため、女子学生の割合は全体で1〜2割程度と低い傾向にあります。ただし、建築専攻は他の専攻に比べて女子学生の比率がやや高いです。近年は、工学分野で活躍する女性技術者(リケジョ)への注目もあり、少しずつ増加傾向にあります。
Q3. どんな高校生におすすめできますか?
「とにかくモノづくりが好き」「プラモデルやDIY、プログラミングに夢中になった経験がある」「理論だけでなく、実際に自分の手を動かして何かを創り出したい」という強い探求心を持つ生徒に最適です。大学の知名度やブランドよりも、実践的なスキルを身につけて社会で即戦力として活躍したい、という実利的な考えを持つ生徒にも強くおすすめできます。
Q4. 職業能力開発総合大学校は学歴になりますか?
はい、間違いなく正規の学歴となります。職業大は学校教育法ではなく職業能力開発促進法に基づいて設置されていますが、4年制の総合課程を修了すると、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に申請することで「学士(工学)」の学位が授与されます。これは文部科学省管轄の大学を卒業した場合と法的に同等の資格であり、就職活動や大学院進学において「大学卒業」として扱われますので、ご安心ください。
この記事のまとめ
職業能力開発総合大学校は、一般的な知名度は高くないものの、その教育内容と実績において唯一無二の価値を持つ「隠れた優良校」です。
✔️
この大学を非常におすすめできる生徒
・理論よりも実践、座学よりも実習を重視する生徒。
・「モノづくり」そのものに情熱を持ち、将来は技術者として現場の最前線で活躍したい生徒。
・安定した公務員である「職業訓練指導員」というキャリアに魅力を感じる生徒。
・大学のブランドや知名度よりも、実質的なスキル習得と高い就職率を優先したい生徒。
🔼
他の大学も検討したい生徒
・華やかで大規模なキャンパスライフ(大規模なサークル活動や学園祭など)に憧れている生徒。
・将来、理論物理学者や数学者のような、純粋な学術研究の道に進みたいと考えている生徒。
・都心での便利なアクセスや、大学周辺の環境を重視する生徒。
・大学のネームバリューを就職活動や将来のキャリアで重視したいと考える生徒。