高校受験 最新傾向と注目ポイント:2024-2025年版
高校受験を取り巻く環境は、近年徐々に変化してきています。次のような傾向・ポイントが、複数の分析記事・塾・教育情報サイトで指摘されています。

1. 単純知識一問一答型 → 資料・思考型・記述力重視
知識をただ問う形式の問題の比率が減少
近年、単に「この用語は何か」「この時代はいつか」というような一問一答形式の問題は減ってきており、代わりに資料やグラフをもとに解釈させる問題、思考力・判断力を問う記述型・応用型問題の比率が上昇しているという分析が目立ちます。
例えば、2025年の公立入試では、資料読解を伴う問題が増えたとの指摘があります。
社会科では、資料・グラフを読み取り、それと知識を組み合わせて答える問題が目立つようになっているとの分析もあります。
記述問題・解答根拠を明示させる形式が拡大
国語や社会、数学などで、単に答えを選ばせる問題だけでなく、「なぜその答えになるか」「根拠を述べなさい」といった形式の記述問題が増えつつあります。
国語では、従来の自由作文形式は縮小傾向で、文章中の根拠から答えを答える記述形式問題が相当な比率を占めるようになったという分析もあります。
この傾向は、大学入学共通テスト(共通テスト)や高等学校の新指導要領の影響を反映しており、「思考力・表現力・判断力」を重視する出題傾向へのシフトの一環と考えられます。
2. 各教科ごとの傾向と変化点(主な科目を中心に)
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以下は、英語・国語・数学・社会(理科も含めて部分的に)などで、近年特に目立つ傾向を科目別に見たものです。
英語:長文読解・英文の語数増・英作文・リスニング強化
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長文読解の比率が高く、全体の配点の半分以上を占める例が多いという分析が多く見られます。
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英文の語数(ワード数)が増加傾向:2025年入試で、神奈川県では 3,236 単語が出題されたとの調査もあります。リスニング(音声)問題の比重も無視できず、20〜30%程度の配点を占める入試もあるという報告があります。英作文(短文またはテーマ型英文)も定番化。特にメール文の返信文形式が出されるなど、実践的な文章表現力を問う形式がよく見られます。
これらをふまえると、英語では「語彙・文法知識だけでなく、長文を速く理解する力・読解力、表現力、リスニング力」すべてをバランスよく鍛えることが重要です。
国語:長文量増・記述重視・文字数の増加
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入試問題全体の文字量が増加傾向。たとえば、2025年公立入試の国語問題文字数平均は約 9,480 字という調査もあります。
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記述問題の割合が拡大し、読解問題で根拠を明示して答えさせる設問が増えています。
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小説など物語文の分量が長くなるケースが目立ち、読解スピード・精読力が求められる場面が増えています。
国語力の底上げには、普段から多様な文章を読む訓練や要旨把握力・論旨展開理解力を高める訓練が不可欠と考えられます。
数学:基本重視+応用・記述要素の混在
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数学でも、「基本的な単元(数と式、図形、関数、データなど)」からの問題は大問1などで出題される割合が高い例が報告されています(基本を守ることが安定得点源)
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ただし、その先に記述性・論理性を問う問題、証明問題、あるいは複数分野を横断して扱う融合問題も徐々に増えてきているという指摘が見られます。 図形の証明の記述問題などが要注意ポイントとされることもあります。
数学では、基礎知識の徹底とともに「なぜその式・展開になるかを説明できる力」「複数の考えを選択・比較できる発展力」も養うことが求められます。
社会・理科:資料処理力+知識の応用が鍵
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社会科では、グラフ・統計資料・地図などから情報を読み取り、それを知識と結びつけて判断・記述させる問題が増えています。暗記だけでは対応しにくい出題傾向。
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記述問題が各大問に 1 問あるような構成になる例も多く、複数のテーマを融合させた設問も散見されます。
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理科も、実験・観察データを示した資料を読ませ、それをもとに思考・計算をさせる問題が目立ちつつあります。
社会・理科で高得点を狙うためには、資料読解力を高める訓練や、「知識を前提に仮説を立てて判断する力」を育てていく必要があります。
3. 入試制度・選抜方式・配点・倍率動向などの変化
内申点・調査書の重要性は変わらず/むしろ相対的に影響力増
多くの都道府県では、入試本番の得点とともに内申点(中学校成績・通知表・副教科成績など)が合否判定に活用される方式が採られています。
また、最近では副教科(体育、技術・家庭、音楽、美術など)の成績も重視する傾向が指摘されており、5教科以外の成績もしっかり対策しておく必要があります。
入試本番問題が難化・記述化しているなら、内申点でのアドバンテージが合格の鍵になるケースも増えるため、日頃の定期テストや授業態度、提出物を疎かにできない状況です。
自校作成問題・特色入試の導入拡大例
たとえば、東京都の都立高校入試では、2025年度には一部高校が国語・数学・英語において自校作成問題を実施する例が見られます。
このように、共通問題(都道府県共通・標準問題)だけでなく、各高校が特色ある出題をする形式を導入する動きも散見されます。
また、推薦入試・特色入試(面接、小論文、課題提出などを併用する方式)の併用をする自治体もあります。ただし、これらの制度の利用条件・配点方式は県・市区町村で大きく異なるため、志望校を目指すなら自分の地域の要項を逐次確認する必要があります。
競争率・志願動向
人気校・上位校への志願集中傾向は依然として強く、競争率差が縮まる傾向も見られます。例えば、神奈川県では学力向上進学重点校・エントリー校での競争率が、最高~最低での差が 0.86 ポイントと、近年とほぼ変わらないという報告があり、人気校間の競争が激しいことがうかがえます。
倍率低下・定員割れの学校もある一方で、難関校は依然として高倍率という二極化の傾向が続いています。
得点率の低下傾向・問題難化
2025年度において、多くの都道府県で5教科すべての得点率が前年度比で低下したという報告もあります。特に数学・理科で平均点が 50%を下回る例も報告されました。
これは、問題が思考力・記述重視に傾いた結果、生徒全体の得点が抑えられたという見方がなされており、入試の「安全ライン」が上方修正される可能性もあります。
4. 対策上押さえておきたいポイントと学習の心構え
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以上の傾向から、受験生・保護者・指導者が戦略的に備えるべき対策を以下に整理します。


