目次
『システム英単語 Basic』は、駿台文庫から出版されている大学受験向け英単語帳の入門編です。特に、英語に苦手意識を持つ高校生や、中学レベルの単語から復習を始めたい受験生を対象に、最新の大学入試問題を徹底分析して選び抜かれた必須単語を収録しています。単語を単体で覚えるのではなく、「ミニマル・フレーズ」という短い用例と共に覚える独自のメソッドが最大の特徴で、実戦的な語彙力の養成を目指します。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | システム英単語 Basic 5訂版 |
| 著者 | 霜 康司, 刀祢 雅彦 |
| 対象レベル | 高校基礎〜大学入学共通テスト基礎レベル(偏差値40〜55程度) |
| 値段 | 1,100円(税込) |
| 公式リンク | 駿台文庫 公式サイト |
本書は、受験生が効率よく、かつ実践的に英単語を習得できるよう、以下の特徴を持っています。
すべての見出し語に、その単語の最も重要で頻出する使い方を示す短いフレーズ(ミニマル・フレーズ)が掲載されています。これにより、単語が文中 でどのように使われるのかを具体的にイメージしながら覚えることができます。
本書は全3章で構成されています。
第1章:Fundamental Stage(必須の基本単語)
第2章:Essential Stage(共通テストで頻出する単語)
第3章:多義語のBrush Up
このように、最も基礎的な単語から段階的に学習を進められるため、英語が苦手な学習者でも無理なく取り組むことが可能です。
【塾講師のコメント】
「ミニマル・フレーズ」は、単なる丸暗記を脱却するための非常に優れたシステムです。特に英語が苦手な生徒は、「単語の意味は知っているのに長文で読めない」という壁にぶつかりがちです。その原因の多くは、単語の「使い方」を知らないことにあります。この参考書は、最初から使い方をセットでインプットできるため、後の長文読解や英作文に繋がりやすい、生きた語彙力が身につきます。まさに、苦手克服の第一歩に最適な一冊と言えるでしょう。
この参考書をマスターすることで、高校の定期テストから大学入学共通テストで求められる基礎的な語彙力を固めることができます。具体的には、偏差値55程度までの大学入試に対応できる単語力が身につきます。
特におすすめなのは、以下のような受験生です。
・中学校レベルの英単語に不安がある高校生
・模試の英語偏差値が50未満で、何から手をつけていいか分からない受験生
・単語の丸暗記が苦手で、挫折した経験がある人
・これから本格的な受験勉強を始める高校1・2年生
1. まずは1単語1訳を覚える:最初はミニマル・フレーズを深く読み込まず、見出し語と赤字の主な意味を素早く覚えていきましょう。1日に100語など、ペースを決めて進めます。
2. ミニマル・フレーズで使い方をインプット:2周目以降は、ミニマル・フレーズを音読しながら、単語の使われ方を確認します。付属の音声(無料ダウンロード)を使い、耳からも覚えるのが極めて重要です。
3. 定期的に復習する:人間の脳は忘れるようにできています。「1週間に4日進んで2日復習」のように、定期的に既習範囲に戻ることで記憶を定着させます。
4. 多義語をマスターする:最終章の多義語は、文脈判断問題で差がつくポイントです。各意味がどのような文脈で使われるのかを意識して覚えましょう。
本書の最大の強みは、やはり「ミニマル・フレーズ」に集約されます。他の多くの単語帳が「1単語:1意味」の暗記を基本とする中、本書は初めから「単語が機能している状態」で提示してくれます。これにより、単語の持つニュアンスや、どのような前置詞と結びつきやすいか(コロケーション)といった感覚が自然と養われます。この「生きた知識」は、単なる暗記で得られる知識よりも忘れにくく、応用が効きやすいという大きなメリットがあります。
| 比較項目 | 本書 | 英単語ターゲット1200 | 速読英単語 入門編 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | フレーズで覚える実践的単語帳 | 一語一義で効率的に暗記 | 長文の中で生きた単語を覚える |
| 覚え方 | ミニマル・フレーズと音声 | 単語カードのように一対一で暗記 | 英文読解を通じて文脈で推測・記憶 |
| 長所 | 語法や使い方が身につきやすい | テンポよく進められ、暗記速度が速い | 読解力も同時に鍛えられる |
| 短所 | 一語一義式より少し時間がかかる | 単語の使い方が分かりにくい場合がある | 単語だけを集中して覚えたい人には不向き |
| こんな人におすすめ | 丸暗記が苦手で、使い方から学びたい人 | とにかく速く一冊を終わらせたい人 | 文章を読むのが好きで、読解と並行したい人 |
【塾講師のコメント】
この3冊は入門レベルの代表格ですが、コンセプトが全く異なります。英語が苦手な生徒さんの場合、まずは『システム英単語 Basic』か『ターゲット1200』のどちらかから始めるのが王道です。単純暗記が得意でスピーディーに進めたいなら『ターゲット』、時間はかかっても確実な使い方を学びたいなら『シス単Basic』が良いでしょう。『速読英単語』は、単語学習にある程度慣れてから2冊目として使うか、読解演習を兼ねたい場合に有効です。
本書は基礎レベルに特化しているため、難関大学(GMARCH以上)を目指す場合は、この一冊だけでは語彙力が不足します。本書を完璧にマスターした後、標準レベルの『システム英単語』や『ターゲット1900』などに接続する必要があります。
また、本書を始めるにあたり、中学レベルの基本的な文法(主語・動詞の判別など)の知識はあった方がスムーズです。文法に全く自信がない場合は、中学英文法の復習から始めることをお勧めします。
「本当に基本的な単語から載っているので、英語アレルギーだった自分でも挫折せずに続けられました。この一冊を終えたら、英語の文章が少しずつ読めるようになって感動しました。」
「もっとたくさんの例文が欲しいと感じることがありました。フレーズは分かりやすいけど、もう少し長い文での使い方も見たかったです。」
この一冊で、大学入学共通テストはどのくらい戦えますか?
共通テストで6割程度の得点を目指す上での土台となる単語は十分にカバーされています。ただし、高得点を狙うには、もう少しレベルの高い単語帳(標準版の『システム英単語』など)に進んで語彙を増やす必要があります。あくまで「基礎固め」と位置づけるのが最適です。
1冊を終えるのに、どれくらいの期間がかかりますか?
学習ペースによりますが、1日50〜100語のペースで進めた場合、1周するのに1ヶ月〜2ヶ月程度が目安です。重要なのは周回することなので、完璧を目指さず、まずは「最後までやり切る」ことを目標にしましょう。最終的に3〜5周して完璧に定着させるのが理想です。
『システム英単語 Basic』は、単なる単語の暗記に留まらず、その「使い方」まで含めて効率的に学習できるよう設計された、非常に優れた入門書です。
特に、「英語が苦手で、模試の偏差値が50に届かない」「単語を覚えても長文が読めるようにならない」といった悩みを抱える高校生にとって、まさに救世主となりうる一冊です。基礎の基礎から丁寧に語彙力を積み上げ、実践的な英語力の土台を築くことができます。
あなたが英語学習の第一歩でつまずいているのなら、本書を信じて徹底的にやり込むことで、必ずや次のステップへと進む道が開けるでしょう。