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この記事では、数ある数学参考書の中でも特に「数学が苦手」「基礎からやり直したい」という受験生から絶大な支持を得ている『チャート式 基礎からの数学I+A』(通称:白チャート)について、その実力を徹底的に分析・解説します。この記事を読めば、白チャートがあなたにとって最適な一冊かどうかが明確になります。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『白チャート』は、網羅系参考書の代名詞である「チャート式」シリーズの中で、最も基礎的なレベルに位置付けられています。教科書レベルの例題を中心に、一つひとつの概念を丁寧に解説しており、数学に苦手意識を持つ学生がゼロから学習を始めるのに最適な一冊です。大学受験の土台作りから、高校の定期テスト対策まで、幅広く活用されています。
| 書名 | チャート式 基礎からの数学I+A |
| 著者 | 数研出版 |
| 対象レベル | 高校入門〜大学入学共通テスト基礎 |
| 値段 | 1,881円(税込) ※2025年10月時点 |
| 公式リンク | 数研出版公式サイトへ |
白チャートの最大の特徴は、その丁寧さと網羅性です。基本構成は以下のようになっています。
1. 基本事項・例題:
各単元の要点が簡潔にまとめられ、直後に最も基本的な「例題」が掲載されています。解説は非常に丁寧で、なぜその解法に至るのかという思考プロセスまで言語化されています。
2. PRACTICE:
例題のすぐ下に配置された類題です。例題で学んだ解法をすぐにアウトプットすることで、知識の定着を図ります。
3. EXERCISES:
章末に設けられた総合問題です。その章で学んだ複数の知識を組み合わせて解く問題が出題され、応用力の基礎を養います。
【塾講師のコメント】
この「例題→PRACTICE」という反復構造が、数学が苦手な生徒にとって非常に効果的です。新しい概念を学んだ直後に、自力で問題を解く成功体験を積めるため、モチベーションを維持しやすいのです。多くの生徒が「PRACTICEがスラスラ解けるようになった」時点で、数学への苦手意識が薄れていくのを目の当たりにしてきました。
白チャートを完璧にマスターすることで、教科書レベルの内容を完全に理解し、大学入学共通テストで5割〜6割程度の得点を安定して取れる基礎学力が身につきます。具体的には、以下のような人におすすめです。
・中学校の数学から復習が必要だと感じている高校生
・学校の授業についていくのが難しいと感じている人
・模試の偏差値が50未満で、何から手をつけていいか分からない人
・文系で、共通テストの数学で大失敗したくない人
白チャートの効果を最大化するための使い方を紹介します。
ステップ1:例題の解説を熟読する
まずは例題を読み、解説を一行ずつ丁寧に理解します。「なぜこの式変形をするのか?」を自問自答しながら進めましょう。
ステップ2:PRACTICEを自力で解く
解説を理解したら、何も見ずにPRACTICEを解きます。もし解けなければ、もう一度例題の解説に戻ります。この往復が重要です。
ステップ3:間違えた問題に印をつける
一度間違えた問題、少しでも迷った問題には必ず印(×、△など)をつけます。この印が、あなたの弱点を可視化します。
ステップ4:最低3周する
参考書は1周して終わりではありません。2周目、3周目と繰り返し、印をつけた問題が完璧に解けるようになるまで反復します。最終的に、全ての問題がスラスラ解ける状態を目指しましょう。
白チャートの独自の強みは、「圧倒的な安心感」と「普遍性」にあります。長年にわたり改訂を重ねてきた実績から、日本の高校数学の基礎として押さえるべき内容が過不足なく網羅されています。この一冊を完璧にすれば「基礎に穴はない」と断言できる安心感は、他の新しい参考書にはない大きなアドバンテージです。どのレベルの大学を目指すにしても、数学の最初の「型」を学ぶ一冊として、これ以上ない信頼性を持っています。
数学の基礎固めに使われる参考書は他にもあります。ここでは、特に比較対象となりやすい『数学I・A 入門問題精講』と『やさしい高校数学(数学I・A)』との違いを明確にします。
| 比較項目 | 本書(白チャート) | 入門問題精講 | やさしい高校数学 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 基礎問題の解法を網羅する「辞書」 | 厳選された良問で「なぜ」を深く理解 | 講義形式の語り口でゼロから理解 |
| 問題量 | 非常に多い | 標準的(精選されている) | 少ない |
| 解説のスタイル | 丁寧で網羅的、やや無機質 | 思考プロセスを重視した詳細解説 | 超丁寧な語り口調の講義形式 |
| おすすめな人 | 全パターンを潰して安心したい人 | 問題数は少なく、深い理解を得たい人 | 独学で、授業を受ける感覚で進めたい人 |
【塾講師のコメント】
どの参考書も素晴らしいですが、ペルソナである「数学が苦手な高校生」には、まず白チャートを勧めます。なぜなら、網羅性の高さが「これだけやれば大丈夫」という精神的な支えになるからです。『入門問題精講』はやや思考力を問われ、『やさしい高校数学』は問題量が少なく演習不足になる可能性があります。まずは白チャートで全範囲の基礎を固めるのが最も確実な一手でしょう。
白チャートは素晴らしい入門書ですが、注意点もあります。第一に、この一冊だけで難関大学の入試を突破することはできません。あくまで基礎固めのための参考書であり、共通テスト高得点や二次試験対策には、黄チャートや青チャート、その他問題集へのステップアップが必須です。
また、問題数が非常に多いため、完璧主義に陥ると途中で挫折する可能性があります。まずは例題とPRACTICEに絞って進めるなど、計画的に取り組むことが大切です。前提知識としては、中学数学レベルの計算力は必要ですが、高校数学の知識はゼロから学べるように設計されています。
“本当に数学ができなかったけど、白チャートを3周したら学校のテストで平均点が取れるようになった。数学アレルギーが治った一冊です。”
“解説がとにかく丁寧。なんでそうなるのかがちゃんと書いてあるから、一人で勉強していても詰まることが少なかった。”
“問題数が多くて、ⅠAを一周するのにすごく時間がかかった。もう少しコンパクトな方が自分には合っていたかもしれない。”
“簡単すぎて、模試の応用問題には全く歯が立たなかった。基礎固め専用と割り切る必要がある。”
白チャートが終わったら、次は何をやればいいですか?
志望校のレベルによりますが、一般的には『黄チャート』や『基礎問題精講』に進み、入試標準レベルの問題演習を積むのが王道ルートです。共通テスト対策に特化したい場合は、共通テスト専用の問題集に進むのも良いでしょう。
学校で青チャートを配られたのですが、難しくてついていけません。白チャートからやり直すべきですか?
はい、その場合は迷わず白チャートから始めることを強くおすすめします。背伸びして難しい参考書に取り組んでも、理解が追いつかず時間を浪費してしまうだけです。急がば回れで、白チャートで盤石な基礎を築くことが、最終的な合格への最短ルートになります。
『白チャート 数学ⅠA』は、数学に苦手意識を持つ受験生が、その分厚い壁を乗り越えるための「最初の相棒」として、これ以上ないほど優れた参考書です。その網羅性と丁寧さは、あなたに「やればできる」という自信を与えてくれるでしょう。
【こんなあなたにこそ、白チャートがおすすめです】
・数学の偏差値が50未満で、基礎から徹底的に固めたい受験生
・学校の授業の予習・復習、定期テスト対策を万全にしたい高校1、2年生
・数学から長く離れていたが、再度学び直す必要のある社会人や再受験生