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大学受験の英語において、多くの受験生が最後まで苦手としがちなのが「英作文」です。文法や単語の知識はあっても、それをアウトプットする訓練が不足していると、なかなか得点に結びつきません。
なので今回は、英作文対策の定番書として名高い『英作文ハイパートレーニング 和文英訳編』です。多くの合格者に支持される理由から、効果的な使い方、ライバル参考書との比較まで、徹底的に深掘りしていきます。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『英作文ハイパートレーニング 和文英訳編』は、桐原書店から出版されている大学受験用英作文の参考書です。特に、日本語の文章を英語に訳す「和文英訳」に特化しており、受験生が陥りがちなミスを先回りして解説することで、確実な得点力を養成することを目的としています。緻密な文法解説と豊富な例文で、英作文の土台を体系的に構築できる一冊です。
| 書名 | 英作文ハイパートレーニング 和文英訳編 |
| 著者 | 大矢 復 |
| 対象レベル | 大学入試標準レベル〜難関大レベル(偏差値55〜65程度) |
| 値段 | 1,650円(税込) |
| 公式リンク | 桐原書店 公式サイト |
本書の最大の強みは、「減点されない答案」を作るための徹底した論理性にあります。多くの英作文参考書が「良い表現」を教えることに重点を置くのに対し、本書は「なぜこの解答がダメなのか」という「失敗の分析」に多くのページを割いています。このアプローチにより、受験生は自分の弱点を客観視し、確実にミスを減らしていくことができます。これは、感覚的な指導ではなく、再現性の高いスキルを身につけたい受験生にとって、他に代えがたい価値を持ちます。
ここでは、同じく英作文の定番書として人気の高い2冊と『英作文ハイパートレーニング 和文英訳編』を比較分析します。
| 比較項目 | 本書 | 竹岡広信の 英作文が面白いほど書ける本 | ドラゴン・イングリッシュ 基本英文100 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 文法事項を軸に、体系的に「減点されない」英作文を学ぶ | ネイティブの発想を学び、「発信するための」英作文原則を学ぶ | 汎用性の高い100の基本例文を暗記し、応用力を鍛える |
| 網羅性 | 高い。文法テーマごとに学べるため、知識の抜け漏れが少ない | 原則中心。すべての文法事項を網羅するタイプではない | 100文に集約されているため、網羅性は低いが核となる部分は押さえられる |
| 解説の詳しさ | 非常に詳しい。特に間違いのポイント解説が秀逸 | 講義形式で、表現の背景にある考え方まで踏み込んで解説 | 例文のポイント解説が中心で、比較的シンプル |
| おすすめな人 | 論理的・体系的に学びたい人。ミスを確実に潰したい人 | より自然で高度な表現を目指す人。最難関大志望者 | まず英作文の「型」を早く作りたい人。暗記が得意な人 |
【塾講師のコメント】
どの参考書が最適かは、生徒の学習スタイルと現在の学力によります。「ハイパートレーニング」は英作文の”設計図”の描き方を学ぶ本、「竹岡本」は”センスの良いデザイン”を学ぶ本、「ドラゴン・イングリッシュ」は”高品質な建材(パーツ)”をストックする本、と考えると分かりやすいでしょう。まずは本書で土台を固め、必要に応じて他書で表現力を磨くのが王道です。
本書に取り組む前に、高校レベルの英文法(特に文型、時制、関係詞、接続詞、仮定法など)を一通り終えていることが望ましいです。文法の知識が曖昧なまま進めると、解説を十分に理解できず、学習効果が半減してしまいます。少なくとも、網羅系の文法問題集(例:「Next Stage」「Vintage」など)の主要な章を8割以上正解できるレベルの知識は前提となります。
また、本書は和文英訳に特化しているため、長文の自由英作文が課される大学を志望する場合は、本書を終えた後、自由英作文に特化した参考書(例:同シリーズの『自由英作文編』など)を追加で学習する必要があります。
“「まずい解答例」が本当に秀逸。自分が書きそうな間違いばかりで、なぜそれがダメなのかが理論的に分かった。模試の英作文の点数が安定しました。” (東京都在住・大学1年生)
“解説がとにかく丁寧。独学でも全く困らなかった。これを3周したら、英作文への苦手意識がなくなった。” (大阪府在住・高校3年生)
“文法の基礎が固まっていないと、解説を読んでもチンプンカンプンだと思う。ある程度仕上がった人向け。” (神奈川県在住・高校3年生)
“少し解説が堅苦しいというか、機械的に感じる部分もあった。もっと自由な発想で書きたい人には合わないかもしれない。” (愛知県在住・予備校生)
この参考書を終えるのに、どれくらいの期間がかかりますか?
1日1〜2テーマのペースで進めると、1周あたり1.5ヶ月〜2ヶ月が目安です。ただし、本書は繰り返すことに意味があるため、復習期間を含めると3〜4ヶ月ほどかけてじっくり取り組むのが理想的です。
例文はすべて暗記(暗唱)すべきですか?
最終的には、すべての模範解答をスラスラと書ける(言える)状態を目指すべきです。ただし、目的は丸暗記ではなく、文の構造や使われている表現を自分のものとしてストックすることです。なぜその英文になるのかという理屈を理解した上での暗唱が、応用力につながります。
『英作文ハイパートレーニング 和文英訳編』は、単なる例文暗記集ではなく、「英作文の思考プロセス」を体系的にインストールできる優れた参考書です。特に、文法知識はあるものの、いざ書こうとすると何から手をつけて良いか分からない、という受験生にとって、まさに救世主となり得る一冊です。
もしあなたが、感覚に頼った英作文から脱却し、論理的根拠に基づいた「減点されない答案」を着実に書けるようになりたいのであれば、本書は最高のパートナーとなるでしょう。地道なトレーニングが必要ですが、やり遂げた先には、英作文を得点源にできる確かな実力が待っています。