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『数学I+A Focus Gold(フォーカスゴールド)』は、啓林館から出版されている大学受験用数学参考書です。教科書の基本レベルから最難関大学の入試問題まで、非常に幅広いレベルを1冊でカバーするその網羅性から「数学のバイブル」とも称されます。豊富な問題量と丁寧な解説が特徴で、数学を得点源にしたいと考える多くの難関大志望者から絶大な支持を得ています。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | 数学I+A Focus Gold 5th Edition |
| 著者 | 啓林館編集部 |
| 対象レベル | 教科書基礎~最難関大学レベル |
| 値段 | 2,070円(税込) |
| 公式リンク | 啓林館の公式書籍紹介ページ |
本書の最大の特徴は、その緻密に設計されたレベル別の構成にあります。主に以下のパートで構成されています。
マスター編:各章の基本となる例題と解説。入試の標準的な問題を網羅しており、この部分を完璧にすることが学力向上の核となります。
チャレンジ編:マスター編の章末にあり、より発展的な問題や応用問題が掲載されています。難関大入試で差がつくレベルの問題です。
実力アップ問題:巻末に収録されている総合問題。複数の単元の知識を融合した、実戦的な演習が可能です。
また、一つの問題に対して複数の解法(別解)が示されていることや、「考え方」のセクションで問題へのアプローチ方法が言語化されている点も、数学的思考力を養う上で非常に優れた特徴と言えます。
【塾講師のコメント】
この段階的な構成は、受験生が自分のレベルに合わせて無理なく学習を進め、最終的には最難関レベルまで到達できるように設計されています。特に「マスター編」の例題は、大学入試で問われる解法の根幹が凝縮されており、ここを何度も反復練習するだけでも、大半の大学に対応できる盤石な基礎力が身につきます。1冊で全てを完結させられる安心感が、本書の強みです。
本書をやり遂げることで、数学の体系的な理解と、幅広い問題に対応できる応用力が身につきます。単なる解法暗記ではなく、「なぜその解法を使うのか」という本質的な部分から理解を深めることができます。
<こんな人におすすめ>
・国公立大学や難関私立大学を目指す受験生
・数学を得点源にしたい、得意科目にしたいと考えている人
・1冊の参考書を徹底的にやりこんで、数学の実力を完成させたい人
・学校の授業よりも一歩進んだ内容まで自学自習で進めたい意欲的な高校1、2年生
1. まずは「マスター編」の例題を完璧に:解説を読まずにまず自力で解いてみましょう。解けなかった問題は、解説をじっくり読み込み、解法の流れを完全に理解します。その後、何も見ずに再度解けるようになるまで反復します。
2. 関連問題で定着度を確認:例題の下にある練習問題や、章末の「Check」問題で、理解が定着しているかを確認します。
3. 「チャレンジ編」で応用力を養成:マスター編が8割以上固まったら、チャレンジ編でより高度な問題に挑戦し、思考力を鍛えます。
4. 周回プレイが基本:1周で全てをマスターしようとせず、最低3周はするつもりで取り組みましょう。2周目、3周目と進むにつれて、解ける問題が増え、理解が深まっていくはずです。
【塾講師のコメント】
最も危険なのは、その網羅性ゆえに完璧主義に陥ってしまうことです。全ての問題を解こうとすると、挫折の原因になります。まずは「マスター編の例題」に絞り、これを完璧にすることが最優先です。特に現役生は時間が限られているため、自分の志望校レベルに合わせて取り組む問題の取捨選択が合格の鍵を握ります。
フォーカスゴールドの独自の強みは、「圧倒的な網羅性」と「思考プロセスを重視した解説」の融合にあります。他の網羅系参考書と比較しても、特に難関大で問われるような少しひねりのある問題への対応力が高いと評価されています。また、コラムも充実しており、数学の背景知識や発展的な内容に触れることで、学習意欲を維持しやすい工夫がなされています。
| 比較項目 | 本書(Focus Gold) | (青チャート) | (1対1対応の演習) |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 網羅性と深度を両立した「数学のバイブル」 | 受験数学の「スタンダード」であり、バランス重視 | 頻出解法パターンを効率的に習得する「演習書」 |
| 問題量 | 非常に多い | 多い | 厳選されている |
| 解説の詳しさ | 非常に丁寧。別解や思考プロセスが豊富 | 丁寧で分かりやすい。王道的な解説 | 本質的で簡潔。ある程度の学力がないと難解 |
| 到達レベル | 最難関レベルまで対応 | 難関レベルまで対応 | 難関~最難関レベル |
| おすすめな人 | 数学に時間をかけられ、1冊で深く学びたい人 | バランスを重視し、標準的な実力を確実に付けたい人 | 基礎固めが終わり、効率的に実戦力を高めたい人 |
本書に取り組むには、少なくとも教科書レベルの基本的な公式や定理は一通り理解していることが前提となります。全くの初学者がいきなり本書から始めると、情報量の多さに圧倒されてしまう可能性があります。また、分厚く重いため、持ち運びには不便です。自宅での学習用と割り切り、問題のコピーや別冊解答を活用するなどの工夫が必要です。
“解説が本当に丁寧で、なぜこの式変形をするのかという理由まで書いてくれているのがありがたい。学校の先生より分かりやすい時もある。これ一冊を信じてやり込んだら、模試の偏差値が15上がりました。”
“問題数が多すぎて、結局マスター編の途中で挫折してしまった。完璧主義の自分には向いていなかったかもしれない。あと、単純に重くて学校に持っていくのが辛い。”
『青チャート』とどちらが良いですか?
どちらも優れた参考書ですが、目指すレベルや好みによります。より深いレベルまでの学習を1冊で完結させたい、思考力を重視した解説を好む場合は『Focus Gold』がおすすめです。一方で、より標準的でバランスの取れた構成を好み、多くの受験生が使う安心感を求めるなら『青チャート』が良いでしょう。書店で両方を見比べて、解説がしっくりくる方を選ぶのが最善です。
全ての問題を解く必要はありますか?
いいえ、その必要はありません。むしろ、全ての C 問題(チャレンジ編の問題)まで解こうとすると時間が足りなくなる可能性が高いです。まずはマスター編の例題と練習問題を完璧にすることを目標にしてください。旧帝大や医学部など最難関レベルを目指す場合に、チャレンジ編や実力アップ問題に取り組む、という使い方が効率的です。
『数学I+A Focus Gold』は、難関大学合格に必要な数学力を体系的かつ網羅的に身につけることができる、最高レベルの参考書の一つです。その情報量の多さから計画的な学習が求められますが、腰を据えてじっくりと取り組めば、他の受験生に圧倒的な差をつける実力が手に入ります。
最終的に、この参考書を特におすすめするのは、「旧帝大や早慶、医学部などの最難関大学を志望し、数学を絶対的な得点源にしたいという強い意志を持った受験生」です。この1冊を相棒として最後までやり抜く覚悟があるならば、これほど頼りになる存在はないでしょう。