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今回は、大学受験物理の初学者から絶大な人気を誇る『改訂版 漆原晃の物理基礎・物理[力学・熱力学]が面白いほどわかる本』を徹底的に分析・解説します。
「物理が本当に苦手だけど、この参考書で大丈夫?」「どんな風に使えば成績が伸びるの?」「他の有名な参考書と何が違うの?」といった受験生の疑問に、長年の指導経験を持つ塾講師の視点から、客観的なデータとともにお答えしていきます。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『代々木ゼミナールの人気講師、漆原晃先生による講義形式の参考書です。物理現象の根本的な理解を最優先に、丁寧な語り口と豊富な図解で解説が進むため、物理アレルギーの受験生でも挫折しにくい構成になっています。
| 書名 | 改訂版 漆原晃の物理基礎・物理[力学・熱力学]が面白いほどわかる本 |
| 著者 | 漆原 晃 |
| 対象レベル | 高校物理初学者〜共通テスト・中堅私大レベル(偏差値40〜60程度) |
| 値段 | 1,540円(税込) |
| 公式リンク | KADOKAWA公式サイト |
本書は、物理を「なぜそうなるのか?」という原理原則から理解させることに重点を置いています。そのために、以下のような特徴的な構成になっています。
1. 3部構成の学習システム:
Part1:講義 – 漆原先生が隣で語りかけるような丁寧な解説。豊富な図やイラストで、イメージしにくい物理現象を視覚的に理解させます。
Part2:Point – 各講義の要点を簡潔にまとめたセクション。復習時に役立ちます。
Part3:例題 – 講義内容が実際にどのように問題で使われるかを示すセクション。基本的な問題が中心です。
2. 解法の一般化:
個々の問題の解き方だけでなく、多くの問題に応用できる「解法の流れ」や「思考プロセス」を明示しているのが大きな特徴です。「漆原の解法」としてパターン化されており、初学者がつまずきやすい「何を考えれば良いかわからない」という状態を解消してくれます。
【塾講師のコメント】
この参考書の最大の価値は、物理が苦手な生徒の「思考の翻訳機」になってくれる点です。物理現象を数式に、また数式を物理現象に変換するプロセスが非常に丁寧に解説されています。特に、力の矢印の書き方や運動方程式の立て方など、基本だけれども最も重要な部分を徹底的に反復してくれるので、初学者が「わかったつもり」になるのを防いでくれます。
本書がターゲットとするのは、完全な初学者から、学校の授業についていけなくなった生徒、偏差値55あたりで伸び悩んでいる受験生です。教科書レベルの基本的な内容から、共通テストや日東駒専・産近甲龍レベルの問題に対応できる土台作りまでをカバーします。
MARCHや関関同立以上の難関大学を目指す場合、本書で基礎を固めた後、より発展的な問題集(『良問の風』や『重要問題集』など)へ接続する必要があります。
【得られる学力】
・物理現象の根本的なイメージを掴む力
・公式を丸暗記ではなく、意味を理解して使える力
・典型的な入試基礎問題に対する解法パターン
・共通テストレベルの問題で安定して得点できる物理的思考力
【おすすめな人】
・物理の授業が全く分からない高校生・受験生
・文系から理系に転向したばかりの生徒
・公式は知っているが、問題になると手が動かない人
・独学で物理の基礎をゼロから固めたい人
ステップ1:講義パートを熟読する
まずは講義パートをじっくり読み込みます。ただ読むだけでなく、なぜその式が成り立つのか、この図は何を表しているのかを自分の言葉で説明できるように意識してください。必要であれば、解説中の図を自分でノートに書き写すのも効果的です。
ステップ2:例題を自力で解く
講義を読んだら、すぐに対応する例題に挑戦します。この時、いきなり答えを見るのではなく、必ず自力で解いてみることが重要です。講義で学んだ「解法の流れ」を自分で再現できるかを確認しましょう。
ステップ3:解説を読み込み、解法をインプットする
解けなかった問題はもちろん、解けた問題も必ず解説を読み込みます。自分の考え方と、漆原先生の「解法の流れ」が一致しているかを確認し、ズレがあれば修正します。このプロセスを通じて、一貫性のある解法が身についていきます。
ステップ4:繰り返し解き直す
一度解いただけでは定着しません。最低でも3周は繰り返しましょう。2周目以降は、間違えた問題や、解法を思い出すのに時間がかかった問題を中心に復習すると効率的です。
【塾講師のコメント】
この参考書を使う上で最も重要なのは「素直さ」です。漆原先生が提示する解法は、一見遠回りに見えることもありますが、物理の根幹を理解するためには不可欠なプロセスです。自己流の解き方に固執せず、まずは本書の解法を完全にコピーするつもりで取り組んでみてください。そうすれば、必ず物理の「型」が身につきます。
『漆原の面白いほど』の最大の強みは、「一貫した解法パターンの提示」にあります。他の多くの参考書が単元ごとに解説と問題を提供するのに対し、本書は力学全体、熱力学全体を貫く「思考の軸」を提供してくれます。これにより、初見の問題に対しても「まず何をすべきか」という初手が見えやすくなり、安定した得点力に繋がります。
物理の初学者向け参考書には、他にも優れたものがいくつかあります。ここでは、特に比較対象として挙げられることの多い2冊、『宇宙一わかりやすい高校物理』と『物理のエッセンス』との違いを明確にします。
| 比較項目 | 本書(漆原の面白いほど) | 宇宙一わかりやすい高校物理 | 物理のエッセンス |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 解法プロセスをパターン化し、再現性を高める | イラストやキャラクターで物理現象を直感的に理解 | 物理現象の本質を捉え、最小限の知識で問題を解く |
| 解説の丁寧さ | ◎(非常に丁寧な語り口) | ◎(フルカラーの図解が豊富) | △(簡潔で要点を突くが、行間を読む力が必要) |
| 問題の難易度 | 基礎〜標準 | 基礎 | 基礎〜難関大の入り口 |
| 到達点 | 共通テスト・中堅私大 | 共通テスト基礎固め | 中堅私大〜難関私大の土台 |
| おすすめな人 | 論理的な理解を重視する人、解き方を学びたい人 | 視覚的なイメージを重視する人、物理アレルギーが強い人 | ある程度知識はあるが、応用力に欠ける人、効率重視の人 |
【塾講師のコメント】
どの参考書も素晴らしいですが、性格によって向き不向きがあります。『宇宙一』はとっつきやすさNo.1ですが、問題演習量が不足しがちです。『エッセンス』は非常にコンパクトで本質的ですが、初学者が独学で進めるにはハードルが高い面もあります。その点で『漆原の面白いほど』は、講義の分かりやすさと、問題演習への橋渡しというバランス感覚に優れた一冊と言えるでしょう。
注意点:問題演習量は別途確保が必要
本書はあくまで「わかる」ことを目的とした講義系の参考書です。掲載されている例題だけでは、入試で戦うための「解ける」力は身につきません。必ず本書を終えた後は、『セミナー物理基礎+物理』や『リードα』といった網羅系の問題集や、よりレベルの高い問題集に進み、演習量を確保してください。
前提知識:
中学レベルの数学(一次関数、二次関数、三平方の定理など)と、基本的な三角比(sin, cos, tan)の知識は必須です。もし不安があれば、中学の教科書や薄い問題集で復習してから取り組むと、よりスムーズに学習が進みます。
“本当に物理が苦手で、学校の先生に質問するのも怖かったけど、この本は隣で先生が教えてくれているみたいでスラスラ読めた。物理の面白さが初めてわかった気がします。”
“解法の流れがすごくはっきり示されているので、問題を見たときに何をすればいいか分かるようになった。特に力の矢印の書き方はこの本でマスターできた。”
“解説が丁寧な分、少し冗長に感じるところもあった。ある程度物理が分かる人にはくどいかもしれない。本当に初学者向けだと思う。”
“問題数が少ないので、これ一冊で入試対策が完結しないのは注意が必要。あくまで基礎固めの本として割り切るべき。”
このシリーズは3冊(力学・熱力学編、電磁気編、波動・原子編)ありますが、どの順番でやるべきですか?
基本的には学校で習う順番通り、「力学・熱力学」→「波動」→「電磁気」→「原子」の順で進めるのが最もスムーズです。特に力学は全ての分野の基礎となるため、必ず最初に完璧にしてください。
旧版を持っているのですが、改訂版を買い直す必要はありますか?
改訂版では、新課程に対応した内容の追加や、より分かりやすい解説への修正が加えられています。特に物理基礎の範囲や共通テストを意識した内容が強化されているため、これから学習を始めるのであれば、改訂版の購入を強く推奨します。旧版でも学習の核となる部分は学べますが、最新の入試傾向に合わせるなら改訂版がベストです。
『漆原晃の物理が面白いほどわかる本』は、物理が苦手な受験生にとって、まさに救世主となりうる一冊です。その丁寧な解説と一貫した解法アプローチは、多くの受験生を物理アレルギーから解放し、得点源へと変える力を持っています。
結論として、この参考書は以下のような受験生に全力でおすすめします。
・偏差値55以下で、物理の成績に伸び悩んでいる人
・物理の「何を」「どのように」考えれば良いか分からない人
・公式の丸暗記から脱却し、本質的な理解をしたい人
この記事が、あなたの参考書選びの一助となれば幸いです。最適な一冊を見つけ、合格を掴み取ってください。