目次
難関大学合格を目指しているものの、「学校の授業についていけなくなった」「特定の単元でつまずいて以来、数学が嫌いになってしまった」という悩みを持つ受験生は少なくありません。今回は、そんな「数学アレルギー」や「挫折経験」を持つ人にとって、救世主となり得る『高校数学の解き方をひとつずつわかりやすく』シリーズ(学研プラス)を徹底分析します。
この記事を監修した人
慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
本書は、「超基礎」レベルに特化した参考書です。難しい用語や複雑な計算を極力省き、数学が苦手な人でも「わかった!」という感覚を積み上げられるように設計されています。難関大合格への「最初の一歩(あるいは半歩)」として機能します。
| 書名 | 高校数学の解き方をひとつずつわかりやすく。(シリーズ) |
| 著者 | 学研編集部 (編集) |
| 対象レベル | 入門・教科書基礎レベル(偏差値35〜45) |
| 値段 | 各1,210円〜1,430円(税込)※巻による |
| 公式リンク | 学研出版サイト |
最大の特徴は、「左ページに解説、右ページに練習問題」という完全見開き構成です。1回分が短時間で終わるため、勉強のハードルが極めて低く設定されています。また、解説は図解やイラストが豊富で、文字を読むのが苦手な生徒でも直感的に理解できる工夫が凝らされています。「数学=苦痛」というイメージを払拭するのに最適です。
あくまで「教科書レベルの基礎」を固めるための本であり、これ1冊でMARCH以上レベルの入試問題が解けるようにはなりません。「共通テスト対策」や「入試標準レベル」の問題は含まれていないため、基礎が固まっている人や、偏差値50以上ですでに演習に入りたい人には物足りず、時間対効果が薄くなります。
各単元が細かくスモールステップに分かれており、例えば「数I」などの1冊あたり約50〜60テーマで構成されています。1テーマあたりの問題数は2〜3問と非常に絞り込まれており、「解けない」というストレスを感じさせない設計です。問題はすべて、その場ですぐに書き込める形式になっています。
レベル:高校基礎(偏差値30〜45)
高校数学の授業についていけなくなった人、中学数学から不安がある人、あるいは文系で数学を捨てていたが再受験で必要になった人などが、ゼロからスタートするのに適したレベルです。
この参考書を終えることで、「教科書の例題レベル」が自力で解けるようになります。公式の意味や使い方が定着し、次のステップ(『基礎問題精講』や『チャート式(黄・青)』など)へ進むための土台が完成します。
おすすめする人:
・模試の偏差値が40台、またはそれ以下の人
・特定分野(例:ベクトル、数列など)だけ極端に苦手意識がある人
・分厚い参考書を見るとやる気が失せる人
MARCH志望の高2生の場合:
苦手単元の克服として使うなら、高2の夏休み、遅くとも冬休みまでには終わらせたいところです。高3になる前に「基礎の穴」を埋めておく必要があります。
高3生の場合:
夏休み前がタイムリミットです。超高速(1週間〜2週間)で苦手分野だけをピンポイントで復習し、すぐに標準レベルの演習へ移行する必要があります。
前提知識はほぼ不要ですが、中学数学(因数分解や一次関数など)の理解が怪しい場合は、同シリーズの中学復習版から始める勇気も必要です。また、問題数が少ないため、計算練習不足になりがちです。演習量を確保するためにも、問題集や計算ドリルなどを併用するとより効果的です!
1. まずは左ページの解説を読む: 公式の丸暗記ではなく、「どうしてそうなるのか」を図を見ながら理解します。
2. 右ページの穴埋め問題を解く: ヒントを見ながらで構いません。
3. 下の練習問題を解く: ここで自力で解けるかチェックします。
4. 間違えたら戻る: 解説に戻り、どこでつまづいたかを確認します。
※ 1冊を最初から最後までやる必要はありません。「苦手な単元だけ」をピックアップして使うのが、挫折経験のある受験生には特に有効です。
「書き込み式」であることと、「圧倒的な余白」が強みです。他の参考書が文字で埋め尽くされているのに対し、本書は視覚的な圧迫感がありません。精神的な負担を極限まで減らしている点は、挫折経験者にとって唯一無二の価値です。
今回は、同じく初学者向けとして人気のある『初めから始める数学(マセマ)』と『やさしい高校数学(学研)』と比較します。
| 比較項目 | 本書(ひとつずつ) | 初めから始める数学 | やさしい高校数学 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | ドリル形式で 手を動かして慣れる |
講義形式で 「なぜ?」を理解 |
対話形式で 辞書的に詳しく解説 |
| 到達レベル | 教科書例題 (基礎固め) |
教科書〜中堅大 (概念理解重視) |
教科書〜定期テスト (網羅性あり) |
| 解説の詳しさ | シンプル・図解中心 (読む量少なめ) |
非常に詳しい (読む量多め) |
非常に詳しい (分厚い) |
| 問題数と網羅性 | 少なめ (エッセンスのみ) |
標準的 (解説メイン) |
多い (ページ数大) |
| 前提レベル | ゼロからOK (アレルギー対応) |
中学レベルは 必要 |
ゼロからOK (根気が必要) |
| おすすめ度 | ★★★★★ (リハビリに最適) |
★★★★☆ (読むのが苦でないなら) |
★★★☆☆ (分厚さで挫折懸念) |
まさに「数学に挫折経験がある難関大学志望者」にとって、最も重要なのは「途中で投げ出さないこと(完走すること)」です。
その観点で言うと、『やさしい高校数学』は解説が素晴らしいものの、物理的に分厚すぎて「これ全部やるの…?」と心が折れるリスクがあります。『初めから始める』は読み物としては最高ですが、手を動かす演習量が不足しがちです。
したがって、まずは『ひとつずつわかりやすく』を選び、薄い冊子を「1冊やりきった!」という成功体験を最速で作るのがベストです。その自信を持ってから、次の標準的な参考書(『基礎問題精講』など)に接続するのが、難関大学合格への最も安全なルートと言えます。
P.S. どの参考書を選ぶべきか、または具体的な進め方で迷っている場合は、私たち東大・早慶コーチが個別の学習計画を一緒に作成します。
» まずはLINEで気軽に相談してみる
“数学IAで挫折して何もわからなかったけど、この本は本当に基礎の基礎から書いてあって助かった。イラストも多くて、勉強というよりパズル感覚で進められた。おかげで数学への拒否反応が消えました。”
“簡単すぎて、模試の点数には直結しなかった。あくまで教科書の予習・復習用という感じで、入試対策としてこれだけで戦うのは無理だと思う。終わった後に何をやるかが大事。”
この本だけで共通テストは解けるようになりますか?
いいえ、厳しいです。共通テストは基礎知識の「活用」が問われるため、この本で基礎知識を入れた後、共通テスト形式の演習書や、もう少しレベルの高い問題集での演習が必須となります。
高校3年生ですが、今から使っても間に合いますか?
MARCH志望であれば、大急ぎで進める必要があります。苦手な特定の単元(確率、数列など)に絞って、1週間などの短期間で一気に仕上げる「ピンポイント起用」をおすすめします。
『高校数学の解き方をひとつずつわかりやすく』は、数学に対する「アレルギー」を治療するための特効薬です。難易度は低いですが、挫折経験がある受験生が「勉強を継続できる」という点において、非常に高い価値があります。
MARCH以上のレベルに合格を目指す場合、この本はゴールではありませんが、ここからスタートすることで、頑丈な基礎を築き、その後の伸びしろを大きく広げることができます。「急がば回れ」の精神で、まずはこの本で自信を取り戻しましょう!
『高校数学の解き方をひとつずつわかりやすく』の
使い方・進め方で迷っていませんか?
スタディコーチは、東大・旧帝大・早慶生のコーチが
学習管理をして合格に導く塾です!
「この参考書を自分の計画にどう組み込むか」からLINEで気軽にご相談ください。