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「勉強中に音楽を聴くと集中できる」「いや、むしろ妨げになる」——こんなふうに、人によって意見が分かれるのが「音楽×勉強」の関係です。実際、集中したいときにお気に入りの曲を流す人もいれば、無音でなければ頭に入ってこないという人もいます。
この記事では、科学的な知見や心理学的な側面も交えながら、勉強中に音楽を聴くことのメリットとデメリットについて詳しく解説します。また、タイプ別のおすすめの音楽ジャンルや、集中力を高めるための活用法も紹介するので、自分に合ったスタイルを見つける参考にしてください。
「勉強中に音楽を聴くのは当たり前」——今やそう感じる人も少なくありません。特に若い世代を中心に、音楽と学習は切っても切れない関係になっています。
2022年に実施されたある教育関連企業のアンケート調査では、全国の中高生および大学生を対象に「勉強中に音楽を聴くことがあるか?」という質問を行ったところ、全体の約62%が「ある」と回答しました。さらに、「毎回音楽を聴いている」と答えた人は約25%にのぼり、音楽が“習慣化”している人も一定数いることがわかります。
社会人でも、資格勉強や業務中の資料作成・データ整理などの作業時に音楽を取り入れているケースが多く、特にリモートワークや在宅学習の増加に伴って、BGM文化はより広がっている印象です。
現代の学習環境は、かつてとは大きく異なります。スマートフォンやタブレットが普及し、YouTube・Spotify・Apple Musicといったストリーミングサービスの登場によって、手軽に音楽を再生できる環境が整いました。
たとえば以下のようなプレイリストは、若い世代の間で特に人気です:
YouTube:「Lo-Fi hip hop radio」「勉強用作業BGM」などの24時間配信チャンネル
Spotify:「集中できる音楽」「ノンストップLo-Fi」「Study Beats」
Apple Music:「作業に集中したいとき」「ピアノで落ち着く時間」などの公式プレイリスト
音楽を聴くのに“CDを準備する”必要があった時代とは異なり、今はワンタップで自分好みの音楽を空間に流せる時代。だからこそ、「とりあえず音楽を流して勉強する」というスタイルが定着しやすくなっているのです。
また、学生たちが「なぜ勉強中に音楽を聴くのか」という理由を尋ねると、以下のような回答が多く見られます:
「静かすぎると逆に落ち着かないから」
「周囲の音(家族の声・物音など)をシャットアウトできる」
「好きな音楽でテンションを上げてから勉強したい」
「気分が落ち着いて集中しやすくなる」
つまり、音楽は単なる「娯楽」ではなく、集中を助ける“環境づくり”の一環として取り入れられているのです。
ただし、すべての人にとって音楽が効果的というわけではありません。同じアンケートの中には、「歌詞に気を取られてしまう」「ついつい聞き入ってしまい手が止まる」といった声もありました。特に集中力や記憶力に影響する分野では、音楽が逆効果になってしまう場合も少なくありません。
このように、現代の勉強シーンにおいて「音楽を聴きながら学ぶスタイル」はかなり一般的になってきています。ただし、どれだけ効果があるかどうかは個人差が大きいため、一概に「良い」「悪い」とは言い切れないのが実情です。
それでは、音楽が脳や集中力にどんな影響を与えるのか? 次の章で、科学的な観点から掘り下げていきましょう。
私たちは、音楽を「聞いて楽しんでいる」と思っていますが、実はその裏では、脳のさまざまな領域が同時に活性化しているという事実をご存知でしょうか? 音楽は、脳にとって非常に強い刺激であり、感情や集中力、記憶力など、学習に直結する機能にも密接に関わっています。
ここでは、音楽が脳に与える主な影響を、科学的根拠に基づいて詳しく見ていきましょう。
音楽を聴くと「なんだか気分が上がる」「やる気が出る」と感じることがありますよね。その感覚の正体が、**脳内で分泌される“ドーパミン”**という神経伝達物質です。
ドーパミンは「快楽ホルモン」や「報酬系神経伝達物質」と呼ばれ、私たちが達成感・喜び・やる気を感じる際に分泌されます。チョコレートを食べたとき、運動したとき、誰かに褒められたときなどにも分泌されますが、好きな音楽を聴いたときにも大量に放出されることが明らかになっています。
カナダのマギル大学が2011年に行った実験では、被験者に音楽を聴かせて脳をPETスキャンで調べたところ、報酬系の中心である**側坐核(そくざかく)**が活性化し、ドーパミンが顕著に分泌されている様子が確認されました。
このドーパミンが出ることで「楽しい」「もっとやりたい」というモチベーションが自然と高まり、勉強や作業への取りかかりがスムーズになるという効果が期待されます。特に気分が乗らないとき、テンポの良い音楽やお気に入りの曲を聴くことで、脳を“ポジティブモード”に切り替えるきっかけになるのです。
音楽には、私たちの脳波にも影響を与える力があります。特に注目されているのが、**α波(アルファ波)**の増加です。
人間の脳波は、状態に応じて主に以下の5種類に分類されます:
γ(ガンマ)波:高度な思考や学習時(緊張感が高い)
β(ベータ)波:通常の覚醒時(集中・判断)
α(アルファ)波:リラックスして集中しやすい状態
θ(シータ)波:うとうとしている状態(記憶・直感)
δ(デルタ)波:深い睡眠中
α波は、心身がリラックスしつつも「覚醒状態を維持」しているときに出やすく、“集中と安定”のバランスがとれた理想的な状態とされています。
クラシック音楽やヒーリングミュージック、自然音などは、脳に穏やかな刺激を与え、α波の発生を促進することがさまざまな研究で示されています。たとえば、モーツァルトの曲が脳に良い影響を与えるという「モーツァルト効果」も、α波の活性化と関係しているとされます。
このような音楽をBGMに流すことで、ストレスや緊張を軽減し、集中力を高める環境が整うのです。
音楽は、単なる「音の刺激」ではありません。脳の中でも特に感情や記憶に深く関わる領域を活性化させます。
海馬(かいば)は、記憶の形成と深く関わる脳領域で、新しい情報を一時的に保持したり、長期記憶へと変換したりする役割を持ちます。音楽を聴くことで海馬が刺激されると、記憶の定着が促進される可能性があると考えられています。
たとえば、「昔よく聴いていた曲を聴いた瞬間、そのときの風景や気持ちが一気によみがえった」という経験は、多くの人にあるでしょう。これは、音楽が記憶の引き金になっている証拠です。
扁桃体は、喜怒哀楽といった感情に関わる領域です。音楽が私たちの感情に直接訴えかけてくるのは、扁桃体を強く刺激するためです。感情的な反応が引き出されることで、学習に「印象の深さ」が加わり、より記憶に残りやすくなるケースもあります。
以上のように、音楽は私たちの脳にさまざまなポジティブな影響をもたらします。しかし、注意点もあります。
記憶を定着させたいとき(暗記や理解が必要な学習)には、歌詞付きの音楽は逆効果になることがあります。これは、言語を処理する脳の領域(ブローカ野やウェルニッケ野)が、勉強と音楽の“二重処理”にさらされるためです。
注意力が散漫になりやすい人や、外部の刺激に敏感な人は、かえって集中力を削がれてしまうことも。
つまり、音楽には「集中を助ける面」と「集中を妨げる面」の両面が存在するということです。
次章では、この脳科学的な知見をふまえたうえで、音楽を聴くことによる「メリット」と「デメリット」を整理していきましょう。
勉強に音楽を取り入れることで得られるメリットは数多くあります。ただ「なんとなく気分がいい」だけでなく、心理的・生理的に実際の効果が期待できる側面もあるのです。ここでは代表的な4つの利点を、より詳しく解説していきましょう。
長時間勉強を続けていると、どうしても精神的な疲労やイライラ、不安などが蓄積してきます。そんなとき、音楽は**心をリセットし、緊張を緩めてくれる「休憩のスイッチ」**として有効に働きます。
音楽を聴くと、脳の報酬系を活性化するドーパミンのほかに、副交感神経が優位になることが分かっています。副交感神経は「リラックス・休息モード」を司る神経で、これが活性化されると次のような効果が現れます:
心拍数の低下
血圧の安定
筋肉の緊張緩和
呼吸の安定
特にクラシック音楽(例:バッハやモーツァルト)、ヒーリング系のアンビエントミュージック、自然音(波の音、雨音、小鳥のさえずりなど)は、これらの効果を高めるとされています。
たとえば、50分勉強したら5〜10分だけ好きな音楽を流す、という「ポモドーロ・テクニック」と組み合わせた休憩法は、集中力を持続させる手段として非常に有効です。ストレスが軽減されることで、次の学習への集中がスムーズになるのです。
人によっては「勉強が嫌い」「取りかかるのがつらい」と感じることも多いでしょう。そんなときに音楽は、脳に火をつける“点火装置”のような働きをしてくれます。
アップテンポな曲や自分の「推し」のアーティストの曲を聴くと、それだけで気分が高揚し、「よし、やるか!」という気持ちになった経験はありませんか?これはまさに、音楽が感情に直接アクセスする力を持っている証拠です。
心理学ではこれを「感情的喚起(emotional arousal)」と呼び、興奮度が高まることで意欲が上がり、行動につながりやすくなることが知られています。
「この曲を聴いたら勉強を始める」といった風に、音楽を**行動の引き金(トリガー)**にすることで、脳が「今から集中モードに入るぞ」と切り替わりやすくなります。これを「儀式化(ritualization)」といい、習慣化のテクニックとしても使われます。
自宅で勉強していると、どうしても集中を妨げる音に悩まされることがあります。たとえば:
家族の会話やテレビの音
外の車の音や工事の音
ペットの鳴き声
近所の子どもの声
こうした予期せぬノイズは、脳がそれを「危険かどうか判断しよう」と無意識に注意を向けてしまうため、結果的に集中がそがれてしまうのです。
ここで音楽の出番です。イヤホンで音楽を流すことで、これらの雑音をマスキング(覆い隠す)し、自分のための「集中空間」を作ることができます。
特に効果的なのが、ノイズキャンセリング機能付きのイヤホンやヘッドホンです。これを使えば、音楽を小さめの音量で流すだけでも、周囲の雑音を大幅にカットできます。
また、雑音を避けつつ集中するために、「ホワイトノイズ」「自然音系BGM」「Lo-Fiヒップホップ」などの環境音系プレイリストが人気を集めているのも、このような理由からです。
「最初の一歩が重い」「やらなきゃいけないけど手がつかない」……そんなとき、音楽を流しながら机に向かうと、自然と集中できていたという経験がある人も多いのではないでしょうか。
これは心理学的には「作業興奮(task-induced activation)」と呼ばれる現象で、とりあえず軽い刺激や行動を始めることで、脳の前頭前野が徐々に活性化し、やる気や集中力が高まっていくというものです。
つまり、音楽はこの「軽い刺激」として機能し、勉強に入る“ウォーミングアップ”の役割を果たしてくれるのです。
「1曲だけ聴きながらノートを開く」
「お気に入りの曲が終わるまでに問題1問だけやる」
というように、音楽を“きっかけ”に使うだけでも、作業興奮を誘導しやすくなります。
特に、アップテンポすぎない程度のリズミカルな曲(Lo-FiやJazz Hip-Hopなど)は、リラックスと集中を両立させやすく、多くの人に支持されています。
上記のようなメリットがある一方で、「どんな音楽でも、どんなときでもOK」というわけではありません。たとえば、歌詞がある音楽や感情を強く揺さぶるような曲は、作業内容によっては逆効果になることもあります。
この点については、次章で詳しく「デメリットと注意点」を解説します。
音楽はうまく使えば勉強の強力なサポーターになりますが、選び方やタイミングを間違えると逆に学習効率を下げてしまう可能性もあります。ここでは、そのデメリットと注意点を4つの観点から紹介します。
音楽に歌詞がある場合、脳の「言語処理」と競合することがあります。たとえば、以下のような作業中に音楽が邪魔になる可能性があります:
英語の長文読解
古文や漢文の読み取り
小論文や作文などの文章作成
教科書の音読や暗記
これは、歌詞のある音楽が**ブローカ野(言語生成)やウェルニッケ野(言語理解)**などの脳領域を刺激するため、学習で使う脳のリソースとバッティングしてしまうからです。
ある心理学実験では、歌詞付きの音楽を聴きながら文章を読んだグループは、無音状態で読んだグループよりも内容理解の正答率が著しく低下したという結果が報告されています。
音楽には感情を動かす力がありますが、それが強すぎると集中を妨げてしまうこともあります。たとえば:
失恋ソングで涙が出てきた
テンションが上がりすぎて踊りたくなった
思い出の曲で過去の記憶がよみがえった
こういった場合、音楽が勉強の「背景」ではなく「主役」になってしまい、注意が音楽のほうに向いてしまうため、学習効率が著しく低下します。
特に情緒が不安定な時期(思春期、受験期など)は、音楽の影響を受けやすくなる
好きすぎる曲、自分にとって強い意味を持つ曲は避けた方が無難
常に音楽をかけながら勉強していると、「音楽がないと集中できない」状態になるリスクもあります。これは心理学でいう「依存的条件づけ」の一種で、音楽に頼りすぎることで静寂に耐えられなくなる脳になってしまうのです。
無音だと逆にソワソワしてしまう
音楽が止まるとすぐに集中力が切れる
勉強場所にイヤホンを忘れると何もできない
このような状態になると、試験本番や図書館などの静かな環境で実力を発揮できなくなる恐れがあります。
勉強といっても、内容はさまざまです。数学の計算、英単語の暗記、歴史の年号の確認、英作文の練習など、それぞれに合った「最適な音環境」があるため、一律に音楽が有効とは限りません。
学習内容 | 音楽の有無 | 理由 |
---|---|---|
単語の暗記 | △(環境音やBGM程度なら◎) | 意味記憶と干渉する可能性あり |
数学の演習 | ◎(リズムが集中を助ける) | 思考が抽象的で感情の影響を受けにくい |
長文読解 | ×(無音か自然音が◎) | 言語処理を多く使うため |
作文・論述 | △(自然音は◎、歌詞は×) | 言語生成に影響する可能性あり |
音楽を勉強に取り入れる前に、自分が「音楽によって本当に集中力が上がるのか」を客観的に検証することが大切です。おすすめの方法は以下の通り:
30分間ずつ「音楽あり」と「音楽なし」の勉強を交互に行う
それぞれの勉強後に学習量(ページ数、問題数、暗記した単語数)を記録
気分・疲労感・集中度なども主観的にメモ
このような方法で数日間試すと、自分にとってどの環境が最も効果的かが見えてきます。
音楽をうまく活用するには、ただ「好きな音楽を流せばいい」というわけではありません。重要なのは、「勉強の内容や目的に合った音楽を選ぶこと」と「使いすぎないこと」。ここでは、効果的な使い方と音楽ジャンルごとの特徴について見ていきます。
勉強中におすすめなのは、歌詞がなく、音の刺激が少ないものです。特に以下のようなジャンルは、脳の集中モードを妨げず、環境音として優れています。
ジャンル | 特徴 | 向いている勉強内容 |
---|---|---|
クラシック音楽 | モーツァルトやバッハなど、一定のテンポで脳を安定 | 計算・読解・暗記全般 |
Lo-Fiヒップホップ | ゆったりとしたビートで心を落ち着ける。YouTubeで人気 | 作業系・集中の持続 |
アンビエント | 環境音に近く、空気のように流れる | 長時間の学習に最適 |
自然音(川のせせらぎ、雨音など) | α波が出やすい。リラックス効果も | 暗記・復習時 |
ピアノ・ジャズ(インストゥルメンタル) | 軽やかで集中しやすい | 英語の長文や論述の前など |
歌詞があるJ-POPや洋楽(特に知っている曲)
テンポが激しいEDMやロック(高揚しすぎる)
映画のサウンドトラック(感情が揺さぶられがち)
勉強の「目的」や「時間帯」によっても、音楽の選び方は変わります。以下に、フェーズ別のおすすめを紹介します。
目的:気分を上げる・やる気スイッチを入れる
おすすめ:アップテンポなLo-Fi、ポジティブなBGM、好きなインスト曲
目的:雑念を排除して集中力を維持
おすすめ:クラシック、自然音、アンビエント系
目的:頭の切り替え・緊張緩和
おすすめ:お気に入りの曲を1〜2曲だけ聴く、深呼吸と合わせる
目的:落ち着いた脳の状態で記憶を定着させる
おすすめ:ゆったりとした自然音やピアノBGM
多くの人が活用している、信頼度の高い音楽チャンネルやプレイリストを紹介します。
【Lofi Girl】
世界中の学生に人気。24時間ループ配信のLo-Fiヒップホップ。
【StudyMD】
医学生が運営する勉強用BGMチャンネル。作業効率重視のセレクション。
【Relaxing White Noise】
雨音、波音、暖炉の音など。自然音に特化。
「勉強用BGM」「集中力アップ」「Lo-Fi Study」などのキーワードで検索
実際にフォロワー数の多いプレイリストを選ぶと安心
意外と見落とされがちですが、音量の調整も重要です。
小さめの音量(環境音として流す程度)がベスト
大きすぎると刺激が強く、耳や脳が疲れてしまう
ノイズキャンセリング機能がある場合は、音量を抑えても効果が高い
集中が長時間続くと、脳が疲労してパフォーマンスが落ちます。そんなときは、「無音」で脳を休ませる時間も取り入れてみてください。
50分勉強 → 10分間「無音で目を閉じて休憩」
音楽をOFFにして、耳と脳をリセットする
音楽も「休符」があるように、“無音”は脳にとっての休息になります。
勉強中の音楽には向き不向きがあり、一概に「良い」「悪い」とは言えません。大切なのは、「自分にとって効果的な方法を見つける」ことです。
歌詞付きよりインストゥルメンタル
刺激の強い曲よりもリラックスできる曲
内容に合わせてBGMを変える
音楽の有無を比較して、自分の傾向を分析する
これらを意識すれば、音楽は単なる「ながら聴き」ではなく、**集中力を最大限に引き出す“学習ツール”**へと進化します。
ここまで、音楽が脳や集中力に与える影響、メリット・デメリット、具体的な活用法まで詳しく見てきました。では、結局のところ「勉強中に音楽を聴いたほうがいいのか、それとも聴かないほうがいいのか?」という問いに、どのような結論が出せるでしょうか。
答えは、「人による」です。これが最も現実的で納得度の高い結論です。
脳の情報処理スタイルや、感覚の敏感さ、勉強内容の種類などによって、「音楽がプラスに働く人」と「マイナスに働く人」が明確に分かれます。
音楽で集中できるタイプの人
→ 音楽を通じて雑音を遮断し、自分の世界に没頭できる
→ 音楽が“気分の導火線”となり、やる気のスイッチになる
音楽で集中できないタイプの人
→ 歌詞やメロディに注意が向いてしまい、本来の作業に集中できない
→ 脳が情報を同時処理できず、疲労感が増してしまう
この違いを理解せず、周囲の「このプレイリストで成績アップしたよ!」といった声に流されてしまうと、かえって逆効果になる可能性もあるのです。
結局は、「自分にとって何が最も集中できるのか」を知ることがカギです。以下のような観点から、音楽の有無による“効果の違い”を比べてみましょう。
比較ポイント | 音楽あり | 音楽なし |
---|---|---|
勉強に取りかかる速さ | 早くなった?/変わらない? | |
勉強中の集中持続時間 | 長く感じた?/途中で途切れた? | |
勉強後の疲労感 | 軽く感じた?/重かった? | |
覚えた内容の定着率 | はっきり覚えている?/あいまい? |
こうした比較を1週間〜2週間ほど続けてみると、「自分にとって音楽は効果的か否か」が明確になってきます。
音楽そのものは、良いも悪いもなく、「ツール」にすぎません。 料理でいうなら、包丁やフライパンと同じ。「使い方を間違えれば危険だけど、正しく使えば便利」なのです。
つまり――
気が散りやすいときは無音に切り替える
暗記モードでは自然音にする
眠気覚ましにテンポのある音楽を活用する
集中が切れたらお気に入りの1曲でリセットする
といったように、場面に応じて音楽を“道具”として賢く使うことが、最も理にかなった方法なのです。
本記事では、勉強中の音楽について以下のポイントを解説してきました。
約6割の人が「音楽を聴きながら勉強」しているというデータ
音楽が脳に与える良い面・悪い面(ドーパミン、α波、記憶の影響など)
気分転換や雑音シャットアウトなど、音楽の4つのメリット
記憶干渉や依存など、注意すべき4つのデメリット
学習内容に合わせたジャンルの選び方(クラシック、Lo-Fi、自然音など)
「音楽あり・なし」を比較し、自分のスタイルを見つける重要性
音楽は、正しく選び、正しく使えば、勉強の質を大きく高めてくれるパートナーになります。反対に、無自覚に“ただ流しているだけ”では、集中力を削ぐ原因にもなりかねません。
大事なのは、「音楽が自分にとってどんな効果をもたらすか」を一度しっかり観察し、「最適な付き合い方」を見つけること。
ぜひ今日から、自分だけの「集中BGMスタイル」を見つけて、勉強時間をもっと充実させてみてください。
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