目次
大学進学を控えた高校生の皆様が抱える「日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学)の中で、自分はどこを目指すべきか」という問いに対し、多角的な分析を提供するものです。
特定の大学を推奨することはいたしません。皆様自身の価値観に基づき、後悔のない選択をするための一助となることを目的とします。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています
今回の分析では、大学の総合力を客観的に評価するため、以下の5つの軸を設定します。
学術規模・多様性:学部数や学生数から測る、学問の幅広さと多様な価値観に触れる機会。
教育・研究の特色:各大学が掲げる建学の精神や、特に強みを持つ学問分野。
キャンパスライフと立地:学生生活の質を左右する、キャンパスの環境と学生文化。
就職実績・キャリア支援:卒業後の進路を見据えた、社会的な評価とサポート体制。
入試難易度・人気度:偏差値や志願者数から見る、入学へのハードルと近年の動向。
まず、分析の全体像を把握するため、4大学の特徴を一覧化した比較表(マトリクス)を提示します。各大学の個性がどの軸において際立っているかご確認ください。
| 比較軸 | 日本大学 | 東洋大学 | 駒澤大学 | 専修大学 |
|---|---|---|---|---|
| 学術規模 | 【国内最大級】 学部・学生数が圧倒的。医歯薬から芸術まで網羅する真の総合大学。 |
【バランス型】 文理13学部を擁する大規模総合大学。国際系や情報系の新学部も設置。 |
【文系中心】 7学部構成。仏教学部という独自の強みを持つ。ワンキャンパスで学際的交流が活発。 |
【社会科学の伝統】 経済・法・商など社会科学系が中心。実学重視の学部構成。 |
| 教育の特色 | 「自主創造」が理念。幅広い分野で専門性を追求可能。卒業生ネットワーク(桜門会)が強力。 | 【先進性と国際性】 建学の精神は「哲学」。スーパーグローバル大学採択校。情報連携学部など先進分野に注力。 |
「仏教の教えと禅の精神」が土台。自己省察を通じた人間形成を重視。 | 【実学・資格重視】 「社会知性の開発」が理念。公認会計士など難関資格の合格者多数。 |
| キャンパスライフ | 学部ごとにキャンパスが分散。良くも悪くも「学部=大学」の文化。スポーツが非常に盛ん。 | 都心(白山)にメインキャンパスを構え、洗練されたイメージ。箱根駅伝の活躍で知名度が高い。 | 【ワンキャンパス】 全学部の学生が駒沢に集結。一体感が強く、アットホームな雰囲気。駅伝は常に優勝候補。 |
神田(法・商)と生田(文・経済等)の2キャンパス体制。神田は都会的、生田は緑豊か。 |
| 就職実績 | 【社長輩出数No.1】 OB/OGの層が厚く、全国に広がるネットワークが強み。多様な業界への就職実績。 |
公務員試験に強い。女子学生向けのキャリア支援も手厚く、安定した就職実績を誇る。 | 歴史と伝統に裏打ちされた堅実な就職実績。特に金融、メーカー、サービス業に強い。 | 会計・金融業界への就職に定評あり。面倒見の良いキャリアサポート体制。 |
| 入試難易度・人気度 | 学部・方式による差が大きい。総志願者数は国内トップクラスで、依然として高い人気を維持。 | 【人気上昇中】 近年、人気・難易度ともに上昇傾向。特に文系学部の競争率は高い水準。 |
GMARCHに次ぐ層から安定した人気。看板学部(文、法、経済)は高倍率。 | 社会科学系を目指す受験生から根強い支持。堅実な難易度と人気を保つ。 |
スタディコーチは、東大・旧帝大・早慶生のコーチが
学習管理をして合格に導く塾です!
スタディコーチはあなたの勉強を徹底サポートします!
お問い合わせの前にまずは気軽にLINEから
大学で何を学びたいかがまだ漠然としている場合、学問分野の幅広さは重要な判断材料となります。この点では、16学部87学科(2025年時点)を擁する日本大学が圧倒的な規模を誇ります。医学、歯学、薬学、獣医学、さらには芸術学部まで持つ真の「総合大学」であり、多様な価値観を持つ学生と出会える可能性が最も高い環境と言えます。
東洋大学も13学部を持つ大規模大学で、文理のバランスが取れています。近年では国際観光学部や情報連携学部(INIAD)など、社会のニーズに応える先進的な学部を設置しており、学びの選択肢を広げています。一方で、駒澤大学と専修大学は、それぞれ仏教、社会科学という明確なアイデンティティを持つ大学です。規模では劣るものの、その専門分野において深く学びたい学生にとっては、むしろ魅力的な環境と言えるでしょう。
各大学の建学の精神は、教育方針に色濃く反映されます。東洋大学は「哲学」を礎とし、論理的思考力や課題解決能力の育成を重視しています。スーパーグローバル大学創成支援事業に採択されており、国際交流プログラムも豊富です。
専修大学は、法律と経済の学校として創立された歴史から「実学」を重んじ、公認会計士や税理士などの難関国家資格で高い合格実績を誇ります。資格取得を大学生活の目標に据えるならば、非常に心強いサポートが期待できます。駒澤大学は仏教の教えを根幹とし、グローバル化が進む現代だからこそ、自己を見つめ、他者を理解する人間教育に力を入れています。日本大学は「自主創造」の理念のもと、学生の主体性を尊重する学風が特徴です。
4年間の大半を過ごすキャンパスの環境は、大学選びの重要な要素です。「大学生活での一体感」を求めるのであれば、全学部の学生が世田谷区の駒沢キャンパスに集う駒澤大学が有力な選択肢となります。学部を超えた友人関係を築きやすい環境です。
対照的に、日本大学は学部ごとにキャンパスが全国に分散しており、良くも悪くも独立性が高いと言えます。自分の所属する学部の専門性を深めたい学生には適していますが、「大学全体」としての繋がりは感じにくいかもしれません。東洋大学の白山キャンパスは都心にあり、アクセスや周辺環境の利便性は抜群です。専修大学は、ビジネスの中心地にある神田キャンパスと、緑豊かな生田キャンパスという対照的な環境を有しており、所属学部によって全く異なる学生生活が待っています。
スタディコーチは、東大・旧帝大・早慶生のコーチが
学習管理をして合格に導く塾です!
スタディコーチはあなたの勉強を徹底サポートします!
お問い合わせの前にまずは気軽にLINEから
卒業生の活躍は、大学の社会的な評価を示す指標です。この点で特筆すべきは日本大学であり、長年にわたり「社長輩出企業数」で全国1位を維持しています。これは、約120万人を超える卒業生の強固なネットワークが、社会のあらゆる分野で影響力を持っていることの証左です。
専修大学は会計・金融分野への就職に伝統的に強く、手厚いキャリアサポートで学生をバックアップします。東洋大学は公務員志望者への支援が充実しており、毎年安定した合格者を輩出しています。駒澤大学も歴史ある大学として、幅広い業界へ卒業生を送り出しており、堅実な就職実績を誇ります。
近年、この大学群の中で特に人気と難易度を上げているのが東洋大学です。メディア露出の増加や改革のイメージが受験生に好意的に受け止められ、特に文系学部では高い競争率が続いています。
日本大学は、日本一の志願者数を集めることからも分かる通り、全国的な知名度と人気は依然として盤石です。ただし、学部や入試方式によって難易度の幅が非常に大きいため、自身の学力と志向に合わせた戦略的な出願が可能です。駒澤大学と専修大学は、それぞれ安定した人気を維持しており、GMARCHを目指す受験生の併願校として、また第一志望校として根強い支持を集めています。
結局のところ、日東駒専の中でどの大学が一番「上」と言えるのですか?
特定の大学が絶対的に「上」であるという評価は不可能です。その理由は、何を基準にするか(比較軸)によって序列は変動するからです。例えば、「学部の多様性」を最重視するなら日本大学が群を抜いていますが、「近年の人気上昇度」や「国際性」を重視するなら東洋大学に分があります。重要なのは、世間一般の序列に惑わされることなく、ご自身の価値観に最も合致する大学を選択することです。
文系/理系で、それぞれおすすめの大学は変わりますか?
はい、学問系統によって各大学の強みは異なります。
文系(特に社会科学系)であれば、法律・経済学の伝統が深い専修大学や、ワンキャンパスで学際的に学べる駒澤大学が魅力的な選択肢です。
理系の選択肢を考える場合、理工学部はもちろん生産工学部や工学部なども擁し、幅広い研究分野をカバーする日本大学や、情報連携学部など先進的な理系分野にも力を入れる東洋大学が有力候補となるでしょう。ご自身の興味がある学問分野と、各大学の学部構成を照らし合わせることが不可欠です。
日東駒専の4大学を5つの軸で比較分析しました。最終的な意思決定は、あなたが何を最も重視するかによって変わります。以下に、あなたの価値観に応じた「判断のフレームワーク」を提示します。
もしあなたが、規模の大きさや学問の幅広さ、多様な人脈形成を最優先するならば…
→ 日本大学が有力な選択肢です。
もしあなたが、国際性や先進的な学び、都心での洗練されたキャンパスライフを重視するならば…
→ 東洋大学が有力な選択肢です。
もしあなたが、ワンキャンパスの一体感や、建学の精神に根差した人間的成長を求めるならば…
→ 駒澤大学が有力な選択肢です。
もしあなたが、実学を重んじ、公認会計士などの専門資格取得を視野に入れているならば…
→ 専修大学が有力な選択肢です。
データや評判だけで判断するのではなく、ぜひオープンキャンパス等に足を運び、ご自身の目で各大学の空気を感じてみてください!!この記事が、そのための思考の整理と、判断材料となれば幸いです。