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MARCH以上のいわゆる「難関大学」を目指す上で、英語、特に「文法」と「長文」の攻略は避けて通れません。しかし、多くの受験生が「文法問題を解くための知識」と「長文を読むための知識」がバラバラになり、伸び悩んでいます。
今回は、その両者をつなぐ「核」を鍛える一冊として名高い、東進ブックス刊行の『英文法の核』について、データに基づき、塾講師ならではの専門的かつ独自の視点を織り交ぜながら徹底的に深掘り分析します。
『英文法の核』は、大手予備校講師である西きょうじ先生が、「なぜそうなるのか?」という英文法の本質的な理解(=核)を解説することに特化した参考書です。単なる暗記ではなく、ネイティブスピーカーが持つ文法感覚を、受験生に分かりやすくインストールすることを目的としています。
この記事を監修した人
慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | 英文法の核 |
| 著者 | 西 きょうじ |
| 対象レベル | 高校基礎(文法用語の理解)〜 難関大レベル(MARCH・早慶上智) |
| 値段 | 950円(税抜) ※2025年11月時点 |
| 公式リンク | 東進ブックス |
本書の最大の特徴は、一般的な網羅系文法書(例:Vintage, Next Stage)とは全く異なる構成にあります。文法分野ごと(例:時制、仮定法、関係詞…)に章立てされているのではなく、「主語と動詞」「基本5文型」「情報の流れ」といった、英文を読み解く上で根幹となる「考え方」をベースに全11章で構成されています。
問題演習のページもありますが、メインはあくまで「講義(解説)」です。西先生の語りかけるような文体で、なぜ仮定法では過去形を使うのか、なぜto不定詞と動名詞で意味が変わるのか、といった本質的な理由が深く掘り下げられています。
まさに「文法と長文が苦手」な受験生にこそ手に取ってほしい構成です。多くの受験生は、文法問題を解くための「ルール」は知っていても、それが長文の中でどう機能しているかを理解していません。本書は、その「ルール」の背景にある「ネイティブの感覚」を教えてくれます。これが分かると、今まで暗記で済ませていた文法知識が有機的に繋がり、長文読解の精度が一気に上がります。
対象レベルは幅広いです。最低限、高校で習う「関係代名詞」「仮定法」といった文法用語を知っている(=学校の授業レベルは理解している)状態から、MARCH、早慶上智といった難関大を目指すすべての受験生が対象となります。
ただし、文法問題を解くための網羅性(例:「このイディオムを答えよ」)を競うものではないため、偏差値50の人がいきなり偏差値70になる、というよりは、偏差値55~65で伸び悩んでいる人が、本質的な理解を得てMARCH以上の合格ラインを突破するための「起爆剤」となる一冊です。
本書で得られるのは、以下の2つの力です。
1. 英文法の「なぜ」が説明できる力
2. 英文の構造を「感覚的」かつ「論理的」に捉える力
結果として、文法問題での失点が減るだけでなく、英文解釈(1文を正確に訳す力)が向上し、長文読解のスピードと精度のアップに直結します。
<特におすすめな人>
・網羅系文法書(Vintageなど)を1周したが、いまいち長文に応用できない人
・文法問題を「なんとなく」で解いてしまい、根拠を説明できない人
・英文解釈の参考書(例:基礎英文解釈の技術100)が難しく感じる人
・まさに今回のペルソナである「MARCH以上志望で文法と長文が苦手」な人
本書は、本格的な長文演習に入る前の「土台作り」として最適です。志望校レベル別に、以下の時期までに通読(最低1周)を終えるのが理想です。
・MARCH・関関同立 志望者:
高校3年生の夏休み前(7月中旬)まで。夏からは本書で得た「核」を使って、標準レベルの長文演習や過去問の1ランク下のレベル(日東駒専など)の読解に入りたいところです。
・早慶上智・旧帝大 志望者:
高校3年生の5月末まで。できれば高2の冬までに終わらせておくと、その後の『ポレポレ』など、より高度な英文解釈書への接続がスムーズになります。
焦る必要はありませんが、「長文が苦手」と感じているなら、できるだけ早く取り組むべきです。本書は読み物として非常に面白いため、部活等で忙しい高3生でも、1日1章と決めれば2週間弱で読了可能です。問題演習よりも「講義の熟読」を優先しましょう。
本書を最大限に活かすために、以下の点に注意してください。
1. 網羅系文法書の「代わり」にはならない
本書は、文法問題を網羅的に解くための本ではありません。あくまで「核」を理解する本です。したがって、MARCHレベルで頻出の語法・イディオム問題に対応するためには、別途『Vintage』『Next Stage』『Engage』といった網羅系参考書との併用が必須です。
2. 中学英語・高校基礎文法が不安な人は先に復習を
「5文型が何か分からない」「関係代名詞という言葉を聞いたことがない」というレベルの場合、本書の解説が難しく感じる可能性があります。最低限、学校で配布されるような基本的な文法書(例:Forest, Evergreen)や、中学・高校入門レベルのドリルで用語の定義だけは確認してから入るのが安全です。
推奨する使い方は以下の通りです。
STEP 1: 通読(1周目)
まずは講義部分を熟読します。演習問題は解かなくても構いません。「なるほど、だからこうなるのか」という感覚を掴むことを最優先にします。特に「苦手な分野」の章は、マーカーを引きながら丁寧に読み込みましょう。
STEP 2: 演習と解説の往復(2周目)
演習問題を解き、間違えた箇所や迷った箇所の解説を読み込みます。なぜその答えになるのかを「核」の知識を使って説明できるか確認します。
STEP 3: 網羅系参考書との連携
『英文法の核』で「時制」を学んだら、手持ちの『Vintage』の「時制」のページに戻ります。すると、今まで機械的に暗記していたルールが、本書の解説によって「当たり前のこと」として理解できるはずです。この連携作業が最も重要です。
本書の最大の強みは、「文法問題」と「英文解釈(長文読解)」の間に存在する深い溝を埋めてくれる点にあります。
多くの受験生は、文法は文法、読解は読解と切り離して学習しがちです。しかし、『英文法の核』は、一貫して「読むための文法」という視点を提供します。この視点(=核)が身につくことで、文法学習がそのまま読解力の向上に直結するのです。
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今回は、同じ著者の読解書『ポレポレ』と、網羅系文法書の代表格『Vintage』と比較します。
| 比較項目 | 本書(英文法の核) | ポレポレ英文読解プロセス50 | 英文法・語法 Vintage |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 文法の「本質・核」を理解する(講義メイン) | 難解な英文の「読解プロセス」を学ぶ(演習メイン) | 文法・語法の「知識」を網羅する(問題集) |
| 目的 | 長文読解と文法の橋渡し | 英文解釈力(精読力)の仕上げ | 文法問題の得点力アップ |
| 対象レベル | 基礎~難関 | 標準~最難関(MARCH上位~早慶) | 基礎~難関(網羅) |
| ペルソナとの相性 | ◎(まさに最適) | △(本書の後なら〇) | 〇(本書との併用が必須) |
「文法と長文が苦手」な受験生は、『Vintage』→『英文法の核』→『ポレポレ』の順番で進めるのが王道です。ただし、MARCHレベルが第一志望であれば、『ポレポレ』の代わりに標準的な長文問題集(例:やっておきたい英語長文500)でも対応可能です。『英文法の核』は、どのルートに進むにしても必ず経由したい「ハブ」のような参考書と言えます。
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当機関が収集した合格者データやレビューから、代表的な声を引用します。
“(良い口コミ)今まで仮定法や時制を丸暗記していたが、この本を読んで初めて「なぜ」が分かった。長文で時制がズレている理由が読み取れるようになり、読解スピードが上がった。”
“(良い口コミ)Vintageの解説では納得できなかった部分が、西先生の講義でストンと腑に落ちた。文法問題で迷わなくなった。”
“(気になる口コミ)読み物としては面白いが、これだけで文法問題が全部解けるようにはならなかった。結局ネクステをやり込む必要があった。”
“(気になる口コミ)著者のファンなので買ったが、独特の語り口が合わない人には合わないかもしれない。合う人にはとことんハマる本。”
『Vintage』などの網羅系をまだ1周もしていません。先に『英文法の核』をやるべきですか?
いいえ、まずは網羅系(Vintageなど)を1周し、「どのような文法項目があるのか」の全体像を掴むことをお勧めします。その上で本書に入ると、知識の定着率が格段に上がります。ただし、網羅系が難しすぎて進まない場合は、本書を先に読んで「地図」を手に入れるのも一つの手です。
英文解釈の参考書(例:基礎英文解釈の技術100)とはどう違いますか?
良い質問です。『英文法の核』は、文法の「理屈(なぜ)」を学ぶ本です。一方、『基礎英文解釈の技術100』などは、その理屈を使って「実際に1文を訳す(SVOCを振る)訓練」をする本です。
順番としては、『英文法の核』で文法の本質を理解した後に、英文解釈の参考書で訳出のトレーニングを積むのが最も効率的です。
『英文法の核』は、文法知識の暗記に終始し、長文読解に応用できずに伸び悩んでいる受験生にとって、まさに「救世主」となり得る一冊です。
特に、以下のような受験生に強くおすすめします!
・MARCH以上の難関大を目指している
・網羅系文法書を1周したが、成績が伸び悩んでいる
・文法と長文が「別の科目」のように感じている
・丸暗記ではなく、英語を本質から理解したい
本書で英文法の「核」を掴み、難関大学合格に必要な「本物の読解力」を身につけましょう。