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MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)以上のいわゆる「難関大学」合格を目指す受験生にとって、古文は決して無視できない科目です。そして、その古文攻略の第一歩が「古典文法」であることは間違いありません。
今回は、数ある文法書の中でも特に初学者からの支持が厚い『富井の古典文法はじめからていねいに【改訂版】』をピックアップ。難関大志望の受験生がこの参考書をどう使い、いつまでに終わらせるべきかを徹底的に分析します。
この記事を監修した人
慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『富井の古典文法はじめからていねいに』は、東進ハイスクールの人気講師、富井健二先生による古典文法の入門書です。その名の通り、古文アレルギーの受験生や、学校の授業でつまずいてしまった生徒を対象に、「はじめから」「ていねいに」解説することに特化しています。
講義形式の本文と、暗記・演習用の別冊の2部構成になっており、インプットと簡単なアウトプットが1冊で完結するように設計されています。
| 書名 | 富井の古典文法はじめからていねいに【改訂版】 |
| 著者 | 富井 健二(東進ハイスクール講師) |
| 対象レベル | 古文初学者(偏差値40程度〜) |
| 値段 | 1,210円(税込) |
| 公式リンク | 東進ブックス(ナガセ)公式サイト |
本書の最大の特徴は、その圧倒的な「分かりやすさ」です。難しい文法用語を極力避け、富井先生が隣で語りかけるような口調で解説が進みます。
構成は以下の通りです。
1. 本冊(講義編):
全24講で構成されています。「動詞の活用」から始まり、「助動詞」「助詞」「敬語」といった入試頻出単元を網羅的に学びます。「なぜそうなるのか」という理屈よりも、「入試で点を取るために、まず何を覚えるべきか」が明確に示されています。
2. 別冊(暗記事項・ドリル編):
本冊で学んだ内容を定着させるためのドリルです。助動詞の活用表や識別のポイントなどがコンパクトにまとまっており、赤シートで隠して暗記できるようになっています。問題数は、各講に対応した基本的な確認問題が中心で、演習量はそこまで多くありません。
この参考書は「文法書」というより、「文法を理解するための読み物」に近いです。MARCH志望者の中には、「文法は学校でやったから大丈夫」と思っている人もいますが、いざ模試で文法問題を解くと失点が多いケースが目立ちます。それは「理解」と「暗記(運用)」が分離しているからです。
本書は、その「理解」のハードルを極限まで下げてくれる点が優れています。特に、古文に苦手意識を持つMARCH志望者にとっては、完璧な「最初の一冊」と言えるでしょう。
本書のレベルは、明確に「入門・基礎」です。偏差値で言えば40〜55程度までをカバーします。
MARCHやそれ以上の難関大を目指す受験生にとって、本書はあくまで「スタートラインに立つための土台作り」と位置づけるべきです。本書を終えた段階で、MARCH以上の難関大の入試問題がスラスラ解けるようにはなりません。しかし、この土台がなければ、その先の演習書や読解に進むことすらできないため、非常に重要なステップとなります。
本書をマスターすることで得られる学力は、「古典文法の全体像の把握」と「入試に必要な最重要事項(特に助動詞・敬語)の基礎暗記」です。
<こんな人におすすめ>
・MARCH志望だが、古文の偏差値が50未満で安定しない人
・学校の古典文法の授業で完全につまずいてしまった人
・助動詞の活用や意味が全く覚えられない人
・文法用語を聞くだけでアレルギー反応が出る人
逆に、すでに共通テストレベルの文法問題で8割以上取れる人や、基礎的な文法(助動詞の区別など)が身についている人は、本書を飛ばして次のレベルの演習書から始めても問題ありません。
MARCH以上の難関大を目指す受験生にとって、文法学習は早期に終わらせるべきタスクです。なぜなら、古文の配点の多くは「読解」であり、文法はそのためのツールに過ぎないからです。
・MARCH・早慶志望者(高3生・既卒生):
遅くとも高校3年生の夏休み前(7月中旬)までには1周目を終わらせ、夏休みからは本格的な演習書や読解の勉強に移行できる状態が理想です。基礎が不安な場合は、受験勉強開始と同時に(4月〜5月)最優先で取り組むべきです。
・高校2年生の場合:
高校2年生の冬までには終わらせておくと、高3からの受験勉強を非常にスムーズにスタートできます。
前提知識は一切不要です。中学レベルの国語(主語・述語がわかる程度)で十分です。
<使用上の注意点>
1. 「読んだだけ」で終わらせない
本書は講義形式で読みやすいため、「読んだ=理解した」と錯覚しがちです。必ず別冊のドリルを解き、助動詞の活用表を何も見ずに言える(書ける)レベルまで暗記してください。
2. これ1冊でMARCHの文法は終わらない
最も重要な注意点です。本書は「理解」と「基礎暗記」のステップです。MARCH入試で問われる、より実践的な文法問題(識別の応用など)に対応するには、この後の「演習」が不可欠です。演習量が絶対的に不足していることを自覚し、必ず次の参考書に接続してください。
難関大合格に向けた効率的な使い方は以下の通りです。
Step 1: 本冊を熟読する(1〜2週間)
まずはスピード重視で本冊を読み進めます。細かい暗記は後回しでも良いので、「なぜこの助動詞が重要なのか」「敬語はどういう仕組みか」という全体像を掴みます。
Step 2: 別冊で暗記と演習を行う
本冊の該当範囲を読んだら、すぐに別冊のドリルを解きます。間違えた箇所や、暗記が必要な活用表・識別ポイントは、本冊に戻って確認します。
Step 3: 並行して演習書(ドリル)を開始する
本書の進捗が半分程度(助動詞の章に入るあたり)から、『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル』などの基礎的な演習書を並行して進めることを推奨します。インプット(富井)とアウトプット(ドリル)を同時に行うことで、知識が定着しやすくなります。
本書の最大の強みは、「受験生の挫折ポイントを熟知している」点です。
多くの文法書が網羅性を重視するあまり、情報過多になったり、堅苦しい説明になったりします。しかし本書は、受験生がどこでつまずき、何を面倒だと感じるかを富井先生が完全に理解した上で、「これだけは絶対に覚えて」というポイントを絞り込み、非常に分かりやすい言葉で伝えてくれます。
この「とっつきやすさ」こそが、他の追随を許さない独自の強みです!
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古典文法の入門書には、他にも優れた参考書があります。ここでは、特にライバルとされやすい2冊と比較します。
| 比較項目 | 本書(富井) | 競合書A (岡本梨奈の1冊) |
競合書B (スピード・インプット) |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 超・講義形式。 「理解」最優先。 |
フルカラー講義。 「楽しさ」と「暗記法」重視。 |
短期集中。 「暗記」と「即演習」重視。 |
| 分かりやすさ | ◎(圧倒的) | ◎(イラスト・語呂合わせ多用) | 〇(簡潔で要点が明確) |
| 演習量(アウトプット) | △(少ない) | △(少ない) | 〇(インプット即演習の構成) |
| 情報量(網羅性) | △(基礎に絞っている) | 〇(入門書としては十分) | 〇(MARCHレベルまでカバー) |
難関大の志望者で、「古文が本当に何もわからない」という人は『富井』か『岡本』の二択です。どちらも素晴らしい入門書ですが、イラストや語呂合わせで楽しく進めたいなら『岡本』、正統派の講義でじっくり理解したいなら『富井』が向いています。
一方、『スピード・インプット』は、ある程度学校で習った(が忘れている)人や、短期間で文法を終わらせたい人向けです。初学者がいきなり取り組むと少しハードかもしれません。
ネットや合格者の声から、代表的な評判を収集しました。
“本当にゼロからでも理解できた。学校の授業で寝ていた自分でも、助動詞の活用が初めて頭に入った。”
“説明が話し口調で読みやすい。別冊のドリルも基礎の確認に最適だった。”
“分かりやすいが、これだけだと入試問題は解けない。結局、別の問題集(ステップアップノート)を買い足した。”
“情報量が少し物足りない。MARCH以上を目指すなら、どこかで網羅系の文法書を参照する必要があるかも。”
この参考書の次にやるべき「演習書」は何ですか?
最も一般的な接続は『ステップアップノート30 古典文法基礎ドリル』(河合塾)です。本書で学んだ基礎知識を、実際の入試問題に近い形でアウトプットする練習が積めます。MARCH志望者は、このレベルの演習書は必須です。
さらに演習を積みたい場合は、『GMARCH&関関同立の古文』(文英堂)など、志望校レベルの問題集に進みます。
読解の勉強はいつから始めればよいですか?
本書(富井)と並行して、非常に簡単な読解書(例:『こわくない国語 古文・漢文』)を読み物として進めるか、本書が終わり次第、基礎的な読解演習書(例:『富井の古文読解はじめからていねいに』)に進むのが良いでしょう。
MARCHレベルの読解には、文法知識だけでなく、単語や読解の「型」も必要です。文法が終わり次第、すぐに読解演習に着手してください。
『富井の古典文法はじめからていねいに』は、MARCH以上の難関大を目指す受験生のうち、「古文の基礎(特に文法)に深刻な不安を抱えている」すべての人におすすめできる、最高の入門書です!
ただし、、、、
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難関大合格という観点では、本書はあくまで「助走」に過ぎません。この参考書を「いかに早く終わらせて、次の演習ステップに進めるか」が合否を分けます。
「分かりやすいから」とこの1冊に安住せず、高3の夏までには必ずマスターし、次のレベルへと進んでください。この土台さえ固まれば、難関大の古文は決して怖くないといえるでしょう!