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MARCH以上のいわゆる「難関大学」を目指したい。しかし、現代文の成績だけがどうしても安定しない…。模試の点数に一喜一憂し、「現代文はセンスだ」と諦めかけている受験生も多いのではないでしょうか。
こんにちは!現代文が苦手な受験生の多くは、「感覚」や「フィーリング」で本文を読み、なんとなく選択肢を選んでしまっています。難関大学合格に必要なのは、その対極にある「論理的な読解」の技術です。
今回は、その「論理」を学ぶための王道ルートとして名高い、河合塾の『入試現代文へのアクセス』シリーズ(基本編・発展編・完成編)を徹底分析します。「MARCH志望で現代文が苦手」というあなたにとって、このシリーズが本当に必要なのか、どのレベルまでやればいいのかを、客観的データと指導経験から解き明かします。
この記事を監修した人
慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『入試現代文へのアクセス』シリーズは、河合塾のトップ講師陣による長年の指導経験に基づき、「入試現代文の解き方」を体系的に学べるよう設計された問題集です。
シリーズ全体の最大のコンセプトは、「センス」を排し、「客観的根拠」に基づいて解答を導き出すプロセスを学ぶことにあります。そのために、各レベルで厳選された良問(各16〜17題)を用い、一貫したアプローチを繰り返し練習(アクセス)する構成になっています。
| 書名 | 入試現代文へのアクセス 基本編(他に発展編・完成編あり) |
| 著者 | 荒川 久志・石川 秀樹・立川 芳雄・野島 直子 ほか(河合塾講師陣) |
| 対象レベル | 基本編:共通テスト・日東駒専 発展編:MARCH・中堅国公立 完成編:早慶上智・難関国公立 |
| 値段 | 各 1,026円(税込) |
| 販売リンク | Amazon |
本シリーズは「基本」「発展」「完成」の3冊ともに、構成が統一されています。これにより、レベルが上がっても同じ学習法を継続できるのが大きな強みです。
1. 読解へのアクセス(着眼点):
各問題に取り組む前に、その文章を読む上で特に意識すべき「着眼点」(例:対比関係、因果関係、具体例の役割など)が明示されます。
2. 問題演習:
各レベルに応じた入試良問(基本編16題、発展編16題、完成編17題)が掲載されています。
3. 詳しい解答・解説:
単なる正解・不正解の解説に留まりません。特に「本文解体」のコーナーでは、本文の論理構造や要点が視覚的に図解されており、なぜその解答が導かれるのかが一目で分かります。
4. ステップアップ(語彙・キーワード):
本文中の重要語彙や、背景知識となる現代文キーワードの解説がコンパクトにまとまっています。
このシリーズの最大の価値は、解説の「本文解体」にあります。現代文が苦手な生徒は、本文をただの「文字列」として目で追ってしまいますが、「本文解体」は、文章が「論理のブロック」で出来ていることを教えてくれます。この「本文解体」を自分で再現できるようになることが、本書のゴールと言えるでしょう。
シリーズは明確なレベルの階段になっています。
・基本編: 偏差値45〜55程度。共通テストで安定して6割〜7割を目指すレベル。日東駒専レベルの読解の基礎を固めます。
・発展編: 偏差値55〜65程度。MARCHや中堅国公立大学を目指す受験生が、合格点を取るための演習を行うレベル。MARCH志望者にとっては、これが最終到達点の一つとなります。
・完成編: 偏差値65以上。早慶上智や旧帝大など、最難関大学を目指す受験生向け。文章の抽象度・難易度ともに高く、MARCH志望者にはオーバーワークになる可能性が高いです。
本シリーズ(特に基本編・発展編)をやり込むことで得られるのは、「安定した読解力」です。
・本文のどこを重点的に読み、どこを読み流すべきかの強弱がつくようになります。
・選択肢を選ぶ際に、「本文のこの部分にこう書いてあるから、これが正解だ」と、客観的な根拠を持って答えを選べるようになります。
・記述問題においても、本文のどの要素を組み合わせて解答を作ればよいかが見えるようになります。
「MARCH志望で現代文が苦手な受験生」にとって、このシリーズは最適解の一つです。「基本編」で読み方のイロハを学び、「発展編」でMARCHレベルの論理展開に慣れる、という流れは、苦手克服の王道ルートです。
MARCH志望の受験生を基準とした場合の理想的なスケジュールは以下の通りです。
・基本編: 高校3年生の7月末(夏休み開始)まで
まずは「読み方の型」をインプットします。遅くとも夏休み中には終わらせたいです。
・発展編: 高校3年生の10月末(秋)まで
夏休みから着手し、じっくりと演習を積みます。このレベルがMARCHの標準レベルです。焦らず、一題一題「本文解体」を意識して復習してください。
・完成編: MARCH志望なら不要
MARCH志望の場合、発展編が終わったら、志望学部の過去問演習に時間を使う方が効率的です。もし早慶以上のレベルも視野に入れる場合は、秋以降に「完成編」に着手します。
1. 苦手でも「基本編」から始めること:
難関大志望だからといって、苦手意識があるのに「発展編」から手を出すのは無謀です。現代文の苦手は、基礎的な読み方(基本編レベル)が定着していないことに起因します。急がば回れ、必ず「基本編」で土台を固めてください。
2. 「アクセス(着眼点)」を先に読まない:
必ず自力で問題を解き、自分なりの解答根拠を考えた「後」に解説を読んでください。答え合わせの際に、「アクセス」で示された着眼点が自分は意識できていたかを振り返ることが重要です。
3. 語彙と漢字は別途対策を:
本書は「読解」に特化しています。現代文のもう一つの柱である「語彙・漢字」は、『ことばはちからダ!』や『現代文キーワード読解』などの専用の参考書で並行して補強する必要があります。
このシリーズの効果を最大化する使い方は「復習」にあります。
1. まずは時間を測って問題を解きます。
2. 丸付けをした後、解説を熟読します。特に「本文解体」を見て、自分の読み方と筆者の論理展開のどこがズレていたかを確認します。
3. 最も重要なのが「音読」です。解説を理解した後、本文を「本文解体」の論理ブロックを意識しながら、意味を理解して音読します。これにより、論理的な読み方が体に染み付いていきます。
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『アクセス』シリーズの独自の強みは、「圧倒的なとっつきやすさ」と「解説の視覚的な分かりやすさ(本文解体)」にあります。
各レベル16〜17題という問題数(+薄さ)は、受験生に「これならやり切れそうだ」という安心感を与えます。また、「本文解体」による論理構造の図解は、他の難解な解説書と一線を画し、特に現代文が苦手な生徒にとって「論理が目に見える」感覚を与えてくれます。
ここでは、MARCHレベルを目指す上でライバルとなる2冊と比較します。(比較対象は主に「発展編」を想定)
| 比較項目 | 本書(アクセス発展編) | 競合書A:現代文ポラリス[2] | 競合書B:開発講座 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 厳選された良問演習を通じ、「読み方の型」を定着させる。 | 「読み方」の講義+演習。現代的なテーマの文章で実践力を養う。 | 難解な文章にじっくり取り組み、思考力を鍛え上げる「精読」の訓練。 |
| 解説の詳しさ | 「本文解体」による論理構造の図解が非常に分かりやすい。 | 講義形式で「なぜそう読むのか」のプロセス解説が手厚い。 | 非常に詳細だが、哲学的・抽象的で難易度が高い。上級者向け。 |
| 問題数 | 16題 | 12題 | 10題 |
| 苦手な人への適性 | ◎(最適) 基本編からの接続がスムーズ。 |
○ 読み方の講義が分かりやすいが、前提として『ゼロレベル』などが必要。 |
× 苦手な人が最初にやると挫折する可能性が極めて高い。 |
難関大志望の現代文が苦手な生徒には、まず『アクセス(基本→発展)』か『ポラリス(1→2)』のルートを推奨します。両者の違いは、『アクセス』が「演習中心」で本文を図解してくれるのに対し、『ポラリス』は「講義中心」で読み方を教えてくれる点です。
すでに学校や塾で基本的な読み方を習った人は『アクセス』で演習を、そもそも読み方自体が分からない人は『ポラリス』が適しているかもしれません。ただ、『アクセス 基本編』の分かりやすさは、苦手克服の第一歩として非常に優れています。
実際にシリーズを使用した受験生からの声を、ポジティブな面とネガティブな面に分けて収集しました。
“「本文解体」のおかげで、現代文がパズルのように見えてきた。感覚で解くことがなくなり、点数が安定した。(MARCH合格)”
“薄くてすぐ終わるので達成感があった。基本編を2周したら、共通テストの点数が20点上がった。(国公立合格)”
“基本編から発展編への難易度の上昇が急に感じた。もう少し間のレベルが欲しかった。”
“問題数が少ないので、これだけで入試演習が十分とは思えない。あくまで「読み方」を学ぶための本。”
現代文が苦手です。MARCH志望ですが、「基本編」は飛ばして「発展編」から始めてもいいですか?
いいえ、絶対にお勧めしません。苦手意識がある時点で、「基本編」で扱う「読み方の型」が定着していない可能性が非常に高いです。MARCHレベルの文章は、「基本編」の論理構造が複雑になったものです。土台がないまま発展編をやっても、結局「感覚」で解くことになり、効果は薄れます。急がば回れ。必ず「基本編」から始めてください。
MARCH志望ですが、「完成編」までやる必要はありますか?
原則として必要ありません。「発展編」を完璧に仕上げ(本文解体を自分で再現できるレベル)、その後は志望学部の過去問演習に時間を使う方が合格への近道です。「完成編」は早慶や東大・京大レベルの難解な文章を扱います。ただし、MARCHの中でも特に難易度の高い学部(例:法学部や文学部の一部)を志望し、かつ現代文を得点源にしたい場合は、挑戦する価値はあります。
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『入試現代文へのアクセス』シリーズは、現代文を「センス」から「技術」の科目へと変えてくれる、非常に優れた教材です。
特に、「MARCH以上を志望するが、現代文に強い苦手意識を持つ受験生」にとって、「基本編」→「発展編」というルートは、苦手を克服するための最適解の一つと言えます。
以下の条件に当てはまる受験生に、このシリーズを強くおすすめします!
・現代文の「勉強法」が分からず、何から手をつけていいか迷っている人。
・本文はなんとなく読める気がするのに、設問になると間違えてしまう人。
・解答の根拠を明確に説明できず、点数が安定しない人。
・MARCH合格のために、現代文の「論理的な読み方」を基礎から学び直したい人。
このシリーズを信じて「基本編」から一歩ずつ進めれば、夏を越える頃には、現代文が「感覚」ではなく「論理」で見えるようになっているはずです!