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今回分析するのは、山川出版社の「山川一問一答日本史」です。 大学受験日本史の参考書において、「教科書=山川」と言われるほどの圧倒的なシェアと信頼性を誇る山川出版社が刊行する、用語暗記のための決定版とも言える一問一答集です。 多くの受験生が一度は手に取るこの参考書が、MARCH以上を目指す受験生にとって本当に最適なのか、客観的データと合格者の声から深掘りしていきます。
この記事を監修した人
慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | 山川一問一答日本史 第3版 |
| 著者 | 今泉博 監修 |
| 対象レベル | 共通テスト基礎~難関私大・国公立二次 |
| 値段 | 1,012円(税込) |
| 公式リンク | 山川出版社 公式サイト |
最大の強みは、その「圧倒的な網羅性」と「教科書との完全準拠」です。
1. 教科書準拠の安心感
山川の教科書(『詳説日本史』)の章立て・構成と完全にリンクしています。教科書でインプットした章の知識を、即座にこの一問一答でアウトプットし、定着度を確認するというシームレスな学習が可能です。
2. 難関大まで対応する網羅性
MARCHレベルはもちろん、早慶や国公立二次の論述で求められるような細かい知識まで、入試に必要な用語はほぼ全てカバーされています。「これに載っていない用語は、他の受験生も誰も知らない」と割り切れるほどの情報量です。
3. 信頼と実績
長年にわたり受験生に支持されてきた実績があり、学校や塾の指導者からの信頼も厚いです。スタンダードであるがゆえの安心感は、精神的な支えにもなります。
一方で、その強みがそのまま弱点にもなり得ます。
1. 歴史の流れが一切わからない
一問一答形式の宿命ですが、用語が羅列されているだけで、なぜその出来事が起こったのか、人物間の関係性といった「歴史のタテヨコの繋がり(因果関係)」は学べません。
2. 挫折しやすい情報量
網羅性が高い反面、情報量が膨大です。重要度が星などでランク付けされていないため、どこまで覚えるべきかの優先順位がつけにくく、すべてを完璧にしようとして挫折する受験生が後を絶ちません。
3. 日本史初学者には不向き
上記1. 2.の理由から、日本史の学習をこれから始める人や、歴史の流れが全く入っていない人が最初に手に取る本ではありません。必ず「流れを理解する」参考書と併用する必要があります。
「一問一答」の暗記が辛い…と不安になっていませんか?
膨大な用語を一人で管理し、覚えきる自信がありますか?
「山川一問一答」の網羅性は魅力ですが、優先順位がわからず挫折する人も多いです。
私たち受験のプロが、あなた専用の「覚えるべき範囲」を特定し、暗記の進捗を管理します!
本書は、山川の教科書『詳説日本史』の全18章、117項目に準拠して構成されています。見開き左ページが問題(空欄補充形式)、右ページが解答となっています。
問題のレベルは「標準問題」と「発展問題」に分かれていますが、明確な星印などでのレベル分けはありません。発展問題は、早慶上智や難関国公立レベルの用語が多く含まれます。総問題数(用語数)は約6000語に及び、これは他の競合書と比較してもトップクラスのボリュームです!
用語のレベルとしては、共通テストレベルから、MARCH、早慶、難関国公立の二次試験(論述含む)まで、幅広く対応しています。
MARCH志望であれば「標準問題」を完璧にし、「発展問題」の主要な用語を押さえることが目標となります。早慶以上を目指す場合は、「発展問題」の隅々まで完璧に仕上げることが求められます。
この参考書をマスターすることで得られるのは、「入試で問われるほぼ全ての日本史用語の正確な知識」です。
特におすすめする受験生は以下の通りです。
1. MARCH・早慶・難関国公立を志望する受験生
これらの大学では、教科書の隅に載っているような細かい用語の知識が合否を分けることがあります。本書の網羅性が強力な武器となります。
2. 学校で山川の教科書を使っている受験生
教科書との連携が非常にスムーズなため、授業の予習・復習、定期テスト対策からそのまま大学受験の知識定着へと移行できます。
3. すでに「歴史の流れ」を一周インプットし終えた受験生
講義系参考書(「実況中継」や「一度読んだら忘れない日本史」など)を読み終え、全体像を掴んだ人が、知識の穴を埋め、精度を高めるために使うのに最適です。
「終わらせる」の定義を「標準問題の9割以上を即答できる状態」とします。
・MARCH志望の場合: 高校3年生の8月末(夏休み終了時)までに、通史(流れ)のインプットと並行して「標準問題」を終わらせ、9月以降は過去問演習と並行して「発展問題」と知識のメンテナンスに入るのが理想です。
・早慶・難関国公立志望の場合: 高校3年生の10月末までに、「発展問題」も含めて9割以上の完成度を目指したいです。そこから入試本番までは、論述対策や史料問題演習と並行し、忘却を防ぐために高速で周回を続けます。
繰り返しになりますが、絶対にこの本から日本史の勉強を始めてはいけません!!
前提知識として、最低でも講義系参考書や教科書で「通史(歴史の流れ)」を最低1周、できれば2周していることが望ましいです。流れがわからないまま用語だけを覚えても、近現代史や正誤問題、論述問題には全く対応できません。
また、本書は赤シートで隠して使うのが基本ですが、解答が右ページにあるため、周回しにくいと感じる人もいます。その場合は、解答を隠すための下敷きや紙を別途用意する工夫が必要です。
最も効果的な使い方は、「流れのインプット」と「用語のアウトプット」の反復です。
Step 1. 流れのインプット
教科書や講義系参考書で、まず1つの時代(例:鎌倉時代)の全体像を読み、理解します。
Step 2. 用語のアウトプット
対応する「山川一問一答」の章(鎌倉時代)に挑戦します。
Step 3. チェックと復習
間違えた問題、即答できなかった問題に印をつけます。この時、なぜ間違えたのかを必ず「流れ」の参考書や教科書に戻って確認します。「用語」だけを覚え直すのではなく、「文脈」の中で覚え直すことが重要です。
Step 4. 高速周回
2周目以降は、印をつけた問題だけを高速で解き直します。最終的には、全範囲を1〜2日で1周できるスピードを目指します。
あなた専用の「日本史 合格ルートマップ」を作成します
「山川一問一答」をいつから始め、他の参考書とどう組み合わせるか…。
MARCH合格には、全体像の理解と用語暗記の「正しい順番」が不可欠です。
東大・早慶コーチが、あなたの現在地から志望校合格までの最短ルートを設計します!
本書の最大の独自性は、「山川の教科書」という絶対的なスタンダードと完全に連動している点に尽きます。
他の競合書も素晴らしいですが、それらはあくまで「入試に出る順」や「効率」を追求したものです。本書は、「日本史の学問的・教育的な体系」に基づいた教科書の知識を、そのままの順番で定着させることを目的としています。
これにより、付け焼き刃ではない、体系的な知識の土台を築くことができます。特に教科書本文の読み込みが重要な国公立二次試験や、正誤問題の根拠を問う難関私大において、この「教科書準拠」の強みが発揮されます。
今回は、MARCH以上志望の受験生がよく比較対象とする2冊、「東進 日本史B一問一答【完全版】」と「Z会 日本史一問一答」とで比較検討します。
| 比較項目 | 本書(山川) | 東進 日本史B一問一答 | Z会 日本史一問一答 |
|---|---|---|---|
| コンセプト (どんな人向けか) |
教科書の完全定着 山川の教科書ユーザー。体系的に知識を整理したい人向け。 |
レベル別・頻度順の効率的暗記 自分のレベルに合わせて効率よく暗記したい人向け。 |
入試頻出用語の厳選 網羅性も欲しいが、最頻出用語を優先して固めたい人向け。 |
| 到達レベル (目標偏差値/大学) |
共通テスト~早慶・難関国公立 | 共通テスト~早慶・難関国公立 | 共通テスト~早慶・難関国公立 |
| 解説の詳しさ (自学自習向きか) |
ほぼゼロ(用語のみ)。流れの参考書が別途必須。 | ほぼゼロだが、関連用語が併記されており、知識の横展開はしやすい。 | ほぼゼロ(用語のみ)。流れの参考書が別途必須。 |
| 問題数と網羅性 | 非常に高い(約6000語) 教科書ベースで網羅。 |
最も高い(約6500語) 入試データに基づき網羅。 |
高い(約4500語) 頻出度順に厳選しつつ網羅。 |
| 前提レベル (いつから使えるか) |
通史1周後。 | 通史1周後。(ただし★1レベルは早期からでも可) | 通史1周後。 |
| 【ペルソナ視点】 おすすめ度 (5点満点) |
4.5 / 5.0 MARCH以上の王道。特に学校で山川教科書使用なら最適。 |
4.0 / 5.0 レベル別(★印)で進められる効率性は魅力。情報量が多すぎると感じるかも。 |
4.0 / 5.0 Z会の洗練された頻出度順は魅力。山川・東進よりやや網羅性で劣る点が懸念。 |
難関大を志望する受験生にとって、この3冊はどれも「正解」になり得ます。その上で、どれを選ぶべきか結論を出しましょう。
まず、学校で山川の『詳説日本史』を教科書として使っている場合、迷わず「山川一問一答」を選ぶべきです。授業の進度と完全にリンクさせて知識を定着できるメリットは、他に変えられません。
一方で、「東進」の強みは「レベル別(★1~★3)」になっていることです。「MARCH志望だから、まずは★2までを完璧にしよう」といった戦略が立てやすく、モチベーションが維持しやすいです。「Z会」は、用語数は他2冊より少ないものの、入試頻出の重要語句が厳選されており、レイアウトも見やすいのが特徴です。
結論として、MARCH以上を目指すペルソナ(高3生)であれば、スタンダードであり網羅性も十分な「山川一問一答」を強く推奨します。これを軸に据え、夏までに標準語句、秋以降に発展語句を完璧にするのが合格への最短ルートです。
P.S. どの参考書を選ぶべきか、または具体的な進め方で迷っている場合は、私たち東大・早慶コーチが個別の学習計画を一緒に作成します。
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“結局、山川の教科書を使ってるからこれが一番やりやすい。授業でやった範囲をこれで固めるだけで定期テストは満点近くとれたし、受験勉強にもスムーズに入れた。”(MARCH合格者)
“情報量がすごい。早慶志望だったけど、これに載ってないことはないっていう安心感があった。ボロボロになるまで使い込んだ。”(早稲田大学合格者)
“文字が小さくて、単調なレイアウトなので途中で飽きてしまった。レベル分けも明確じゃないから、どこまでやればMARCHに足りるのか分からず不安になった。”(私立大志望者)
“流れを理解せずにこれを丸暗記しようとして失敗した。春先に買って、夏になっても原始・古代が終わらなかった。”(受験生)
この一冊だけでMARCHの入試は足りますか?
用語の「網羅性」という意味では十分足ります。
ただし、これだけでは「歴史の流れ」や「因果関係」が全く分からないため、別途、講義系参考書や教科書の読み込みが必須です。MARCHでは正誤問題や史料問題も出題されるため、「用語」だけの暗記では合格点は取れません。「流れの理解」と「用語の暗記」はセットだと考えてください。
何周くらいやり込む必要がありますか?
MARCH志望であれば、最低でも3周は必要です。志望校の過去問で8割以上を安定して取るためには、5周以上繰り返している合格者が多いです。
重要なのは回数よりも「完成度」です。最終的に「標準問題の95%、発展問題の80%(早慶なら95%)を即答できる」状態を入試本番に持っていけるよう、計画的に進めてください。
「山川一問一答日本史」は、MARCH以上を目指すすべての受験生にとって、用語集の第一候補となるべき一冊です。
その圧倒的な網羅性と、教科書準拠という絶対的な信頼感は、他の参考書にはない強みです。
こんな受験生に強くおすすめします!!
・学校の教科書が山川出版社の『詳説日本史』である
・MARCH、早慶、難関国公立を本気で目指している
・すでに歴史の「流れ」をインプットし終え、知識の精度と網羅性を高めたい
逆に、まだ流れが掴めていない人や、単調な暗記作業が極端に苦手な人は、先に講義系参考書を読み込むか、レベル別の「東進」などを検討する余地があります。
しかし、MARCH以上の入試で求められる知識量を考えれば、最終的には本書のレベルをやり遂げる必要があります。受験日本史の「スタンダード」として、信頼して使い込んでください。
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