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慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
「模試の結果が返ってきたけど、偏差値50って結局どれくらいなの?」
「偏差値40台だった…もう志望校は無理なのかな…」
「偏差値60を超えた!でも、これがどれだけ凄いことなのか実感がない…」
模試の偏差値を見て、こんな風に一喜一憂していませんか?
実は、偏差値はあなたの価値や未来を決める数字ではありません。それは、「広大な受験という地図の中で、今あなたがいる場所」を教えてくれる、ただの便利な道具(ツール)です。
この記事を読めば、偏差値という数字に振り回されることなく、それを成績アップの「最強のナビ」に変える方法が分かります。
もし偏差値を正しく理解しないと、どうなるでしょうか?
✔️ 不要に落ち込み、やる気を失ってしまう。
✔️ 間違った目標を立て、非効率な勉強をしてしまう。
✔️ 点数が上がったのに偏差値が下がり、パニックになる。
これでは、本来伸びるはずの力も伸び悩んでしまいますよね。
偏差値はあなたを評価するための敵ではなく、ゴールまでの最短ルートを教えてくれる「頼れる相棒」です。その相棒からのメッセージを正しく読み解くスキルこそが、合格への近道なのです。
偏差値との付き合い方で、多くの受験生がこんな間違いをしています。あなたも、心当たりはありませんか?
失敗例①:点数と偏差値を混同する
「前回の模試より10点も上がったのに、偏差値は2も下がった!なんで!?もう勉強しても意味ないかも…」と、テストの平均点を無視して点数だけで判断し、絶望してしまう。
失敗例②:数字のイメージだけで一喜一憂する
「偏差値45=終わり」「偏差値62=安泰」のように、数字の表面的なイメージだけで判断する。その数字が持つ「全体の中での位置」という本質を見ずに、感情をジェットコースターのようにアップダウンさせてしまう。
失敗例③:他人と比べて自信をなくす
「友達は偏差値70なのに、自分は58だ…やっぱり頭の作りが違うんだ…」と、自分の伸びや課題と向き合わずに、他人との単純な数字比較で落ち込んでしまう。
まず、大前提です。偏差値とは「集団の中で、自分がどれくらいの位置にいるか」を示す数値です。あなたの点数そのものではありません。
一番大事な基準はこれです。
テストの平均点を取った人の偏差値が「50」になる
つまり、偏差値50は「ちょうど真ん中」ということ。偏差値が50より高ければ平均より上、低ければ平均より下、ということになります。
だから、平均点が低い難しいテストで良い点を取れば偏差値はグッと高くなりますし、平均点が高い簡単なテストで少しミスをすると偏差値は思ったより低く出てしまうのです。
「偏差値60」と言われても、ピンとこないですよね。そこで、「もし1000人が同じテストを受けたら、自分は何番目くらいか?」という順位でイメージしてみましょう。これが一番リアルに分かります。
| 偏差値 | 1000人中の順位(およそ) | コーチのコメント |
|---|---|---|
| 70 | 上位 23位 | (上位2.3%)学年でもトップクラス。自信を持って! |
| 60 | 上位 159位 | (上位16%)十分に得意科目!難関校も射程圏内。 |
| 50 | 500位 | (上位50%)まさに平均、ど真ん中。ここが全ての基準! |
| 40 | 上位 841位 | (下位16%)大丈夫、ここがスタートライン。基礎固めで一気に伸びる! |
| 30 | 上位 977位 | (下位2.3%)まずは教科書レベルの「分からない」を一つずつ潰そう。 |
※この順位は正規分布に基づいた理論値です。
どうでしょうか?こう見ると、偏差値60が「上位16%以内」に入るかなり良い成績であることや、偏差値40が決して「終わり」ではなく、むしろ「ここからが本番」だということが分かりませんか?
偏差値の正体と立ち位置が分かったら、いよいよ「活用」です。感情で一喜一憂するのではなく、結果を「自分のための分析レポート」として冷静に読み解きましょう。
・科目別で見る:
全体の偏差値だけでなく、科目ごとの偏差値に注目します。「英語は60だけど数学が45だ。次の模試までは、数学の基礎計算と教科書の例題に時間を7割使おう」のように、具体的な学習計画を立てられます。
・時系列で見る:
前回の模試の結果と今回を比べます。「全体の偏差値は横ばいだけど、苦手だった古文の偏差値が42→48に上がったぞ!あの単語帳を毎日やった成果だ!」のように、自分の成長を正しく評価できます。これがモチベーションになります。
・志望校判定と見る:
志望校の合格可能性判定(A判定、C判定など)と照らし合わせます。「第一志望校がC判定。合格ラインの偏差値まであと4足りない。その4を、得意な社会で2、苦手な理科で2上げるには、どの単元を攻略すればいいか?」と、ゴールからの逆算ができます。
全国のトップレベルの生徒が受ける模試と、学校内の生徒だけが受ける模試とでは、同じ実力でも偏差値は全く違ってきます。レベルの高い集団(母集団)の中では、偏差値は低く出やすいのです。
違う種類の模試の偏差値を単純に比較するのは無意味だと知りましょう。大切なのは、同じ種類の模試で自分の成績がどう変化しているかです。
これが一番伝えたいことです。模試の偏差値は、あくまで「その時点での」あなたの学力を示しているにすぎません。あなたの未来の可能性を決定づけるものでは決してありません。
特に偏差値40台、50台の君へ。今の数字は、そのまま「伸びしろ」の大きさです。正しい場所で、正しい努力をすれば、偏差値は必ず上がります。落ち込む必要は全くありません。ここからが、逆転劇の始まりです!
点数は上がったのに、偏差値が下がりました。勉強した意味ないですか?
いいえ、そんなことは全くありません!素晴らしい努力です。偏差値が下がった原因は、おそらくテスト全体の平均点が高かったからでしょう。つまり、他の受験生もあなたと同じように、あるいはそれ以上に点数が上がったということです。周りのレベルが高い中で点数を維持・向上できた自分をまずは褒めてあげましょう。その上で、「次は周りの伸び以上に自分が伸びるにはどうすれば?」と、Step3で解説した分析をしてみてください。
偏差値を5上げるには、どれくらい勉強すればいいですか?
これは非常に良い質問ですが、「何時間やればOK」という魔法の答えはありません。なぜなら、現在の偏差値や科目によって、必要な学習が全く異なるからです。例えば、偏差値45→50にするには、教科書の例題や基礎問題の徹底的な反復が効果的です。一方で、偏差値65→70にするには、応用問題や発展的な内容の演習が必要になります。大切なのは時間ではなく、「今の自分に足りない部分を、いかに効率よく埋めるか」という視点です。模試の結果を分析し、「どの単元の、どのレベルの問題を間違えたのか」を特定することから始めましょう。
偏差値は点数ではなく、集団内での自分の位置を示す「モノサシ」です。平均点が偏差値50。偏差値40は下から16%、60は上から16%というのが大まかな目安でしたね。
大切なのは、数字に一喜一憂することではなく、その結果を冷静な「分析ツール」として活用すること。科目別・時系列で自分の成長と課題を把握し、志望校までの距離を測るナビゲーションとして使いこなしましょう。
偏差値は未来を縛る呪文ではなく、未来を切り開くための現在地を示す地図です。この地図を正しく読み解き、一歩一歩、着実にゴールへ向かっていきましょう!応援しています。