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2025年度入試より本格的に適用される数学の新学習指導要領に関し、多くの受験生が何が変わるのかよく分からず、困っているのではないでしょうか。この記事の目的は、新旧課程の相違点を客観的かつ多角的に分析し、「何がどう変わるのか」という疑問をわかりやすく構造化することです。


慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
本分析では、新旧課程を以下の5つの比較軸で評価します。
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以下の比較表は、本レポートの中核をなす分析結果です。各比較軸における具体的な変更点を一覧化しました。
| 比較軸 | 旧課程(~2024年度入試) | 新課程(2025年度入試~) |
|---|---|---|
| ① 科目構成 | 数学I, A, II, B, III の5科目構成。 | 数学I, A, II, B, C, III の6科目構成。数学Cが復活。 |
| ② 主要な内容 |
・数学A:「場合の数と確率」「整数の性質」「図形の性質」から選択。 ・数学B:「数列」「ベクトル」「確率分布と統計的な推測」から選択。 ・数学III:「複素数平面」「平面上の曲線」を含む。 |
・数学A:「図形の性質」「場合の数と確率」「数学と人間の活動」で構成。旧Bの「期待値」が移行。 ・数学B:「数列」「統計的な推測」が中心。ベクトルはCへ。 ・数学C:旧Bの「ベクトル」、旧IIIの「複素数平面」「平面上の曲線」を統合。 |
| ③ 共通テスト |
・数学① (I・A):70分 ・数学② (II・B):60分。数II, 数IIB等から選択。 ・数Bは3単元から2つ選択。 |
・数学① (I・A):70分。Aの選択問題に変更あり。 ・数学② (II・B・C):70分に延長。 ・数B「数列」「統計的な推測」、数C「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」の4単元から3つ選択。 |
| ④ 個別試験 |
・文系:I, A, II, B (数列, ベクトル)が標準。 ・理系:I, A, II, B, III が標準。 |
・文系:I, A, II, B (数列), C (ベクトル)が標準となる可能性大。文系でもベクトル(数C)が必須となる大学が増加。 ・理系:I, A, II, B, C, III が標準。統計的な推測(数B)の履修がほぼ必須に。 |
| ⑤ 学習戦略 |
・ベクトルは数学Bの単元として学習。 ・統計分野の重要度は、理系でも選択者以外は限定的。 |
・ベクトルと複素数平面を数学Cとして体系的に学習する必要がある。 ・理系は統計的な推測への対策が新たに重要となる。 ・文系は共通テストの選択肢が増えるため、ベクトルをどこまで学習するか戦略的な判断が必要。 |
最大の構造的変化は、旧課程で数学Bと数学IIIに分散していた発展的な内容が**「数学C」**に集約された点です。具体的には、「ベクトル」(旧数B)、「平面上の曲線」「複素数平面」(共に旧数III)が数学Cの主要範囲となりました。これにより、特に理系学生にとっては、数IIIと数Cを一体として学習する意識が求められます。一方、数学Bは「数列」と「統計的な推測」が中心となり、統計分野の重要性が格段に高まったことが特徴です。
大学入学共通テストでは、「数学②」が「数学II・B」から「数学II・B・C」へと再編され、試験時間が60分から70分へ延長されました。この10分の延長は、単なる時間的余裕を意味しません。選択問題が「数列」「統計的な推測」「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」の4項目から3項目を選択する形式に変わるため、解答すべき問題の総量は実質的に増加します。これにより、時間配分と問題選択の戦略が、これまで以上に得点を左右する重要な要素となります。
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結局、受験生にとって一番インパクトの大きい変更点は何ですか?
結論から申し上げると、「数学Cの復活と、それに伴うベクトル等の単元移行」および「数学Bにおける統計分野の必修化」の2点です。文系・理系問わず、これまでとは異なる科目・単元の組み合わせで学習計画を立てる必要があります。特に理系志望者は、新たに「統計的な推測」の対策が必須となる点が大きな変化です。
私は文系志望で、数学は共通テストでしか使いません。注意すべき点はありますか?
最も注意すべきは、共通テスト数学②の選択戦略です。旧課程では「数列」と「ベクトル」を選択するのが一般的でしたが、新課程では「数列」「統計的な推測」「ベクトル」の3つから2つを選ぶか、あるいはこれら3つ全てを選択することになります。多くの文系国公立大学が数学Cの「ベクトル」を課すため、学習は必須となるでしょう。その上で、「統計的な推測」をどこまで学習するか、早期に戦略を立てる必要があります。
新課程で試験は「難化」するのでしょうか?
「難化」というよりは「変化」と捉えるのが適切です。学習すべき範囲が広がり、単元間の関連性を問うような、より思考力を要する問題が増える可能性があります。例えば、統計分野では仮説検定の考え方など、これまでにはなかった概念の深い理解が求められます。単なる暗記や計算力だけでなく、数学的な事象を多角的に考察する能力の重要性が増す、と分析しています。
この記事を通じて、新旧課程の具体的な変更点と、それに伴う影響を理解できたでしょうか?最終的に重要なのは、この変化を前提として、ご自身の状況に合わせた最適な学習計画を立てることです。以下に、判断のフレームワークを再提示します。
最優先で考慮すべきは「共通テストでどの科目・単元を選択するか」です。二次試験でベクトルが課されるか否かを確認し、学習の主軸を「数列」と「ベクトル」に置くのが基本戦略です。その上で、余力や志望校の傾向に応じて「統計的な推測」に取り組むか否かを判断することが、効率的な学習の鍵となります。
最優先で考慮すべきは「数学B(統計的な推測)と数学C(ベクトル等)の両立」**です。これらは個別試験でも出題される可能性が高く、どちらも疎かにできません。特に「統計的な推測」は多くの受験生にとって新しい挑戦となります。早期から計画的に学習を進め、盤石な基礎を築くことが、他の受験生に対する優位性を確立する上で不可欠です。
変化は不安を伴いますが、正確な情報を知り、正しく理解することで、むしろ好機と捉えることも可能です。この記事を参考にして自信をもって受験勉強を頑張ってください!