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大学受験における英単語帳の選定が合否に与える影響の大きさを鑑み、数ある教材の中でも特に多くの受験生に利用されている『データベース4500 完成英単語・熟語』について、この記事があなたの最適な一冊を見つける一助となれば幸いです。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | データベース4500 完成英単語・熟語 5th Edition |
| 著者 | 荻野 治雄 (監修) |
| 出版社 | 桐原書店 |
| 対象レベル | 大学入学共通テスト / 中堅私大(日東駒専・産近甲龍)~ 難関私大(GMARCH・関関同立) |
| 値段 | 1,089円(税込) |
| 公式リンク | https://www.kirihara.co.jp/products_list/contents_type=71 |
『データベース4500』は、学校採用教材としても実績のある「データベース」シリーズの中核を担う一冊です。その最大の特徴は、オーソドックスでバランスの取れた構成にあります。
レベル・テーマ別の章立て:
単語は単なる頻度順ではなく、6段階のレベルと、関連するテーマごとに分類されています。これにより、関連語彙をまとめて効率的に学習することが可能です。
単語・熟語・読解の三位一体学習:
見出し語(約1,730語)と熟語(約350)に加え、各レベルの最後に長文読解パートが設けられています。これにより、覚えた単語が実際の文章でどのように使われるかを確認でき、知識の定着を促します。
豊富な音声データ:
付属のCD-ROM(またはダウンロードサービス)には、見出し語・意味・例文の音声が収録されており、リスニング対策や正しい発音の習得に役立ちます。
【塾講師のコメント】
この参考書の構成は、単語暗記を「点」で終わらせず、「線」や「面」で理解させようという意図が感じられます。特に、覚えたての単語がすぐに長文で出てくる体験は、記憶の定着率を格段に高めます。派手さはありませんが、受験英語の王道を行く、非常に堅実な作りと言えるでしょう。
この一冊を完璧に習得することで、大学入学共通テストで語彙に困ることはほぼなくなり、GMARCHや関関同立レベルの入試問題にも十分対応できる語彙力が身につきます。偏差値で言えば、50台から60~65程度への到達が期待できます。
こんな受験生におすすめです:
・高校で配布されたが、本格的に使っていなかった高校3年生
・英語の基礎は一通り終え、本格的な受験単語の学習を始めたい人
・一つの教材で単語、熟語、簡単な長文演習までバランス良く進めたい人
・奇をてらった学習法よりも、着実にコツコツと進めるのが得意な人
STEP1: まずは1単語1秒で確認
知らない単語と知っている単語を仕分ける作業から始めます。1単語に時間をかけず、100語を5分程度のペースで高速で回し、知らない単語にチェックを入れましょう。
STEP2: 知らない単語の暗記
チェックを入れた単語を、1日50~100語のペースで覚えます。この際、必ず例文にも目を通し、どのような文脈で使われるかを確認することが重要です。音声データを活用し、音読を繰り返すとさらに効果的です。
STEP3: 定期的な復習と長文パートの活用
1週間に1~2日は復習日を設け、その週に進んだ範囲を総復習します。そして、章末の長文問題を解き、覚えた単語が読解にどう活きるかを体感してください。
『データベース4500』の独自の強みは、「教科書からのスムーズな移行」を可能にする、その丁寧でアカデミックな作りにあります。多くの高校で採用される教科書に近い構成や真面目なレイアウトは、受験生にとって心理的な抵抗が少なく、日々の学習に自然と組み込むことができます。また、テーマ別の分類は、環境問題や社会問題など、特定のテーマの長文が出題された際に、関連語彙をまとめて引き出す力を養う上で非常に有効です。
大学受験の平均層に人気の『システム英単語』と『英単語ターゲット1900』を競合として選定し、比較分析を行いました。
| 比較項目 | 本書(データベース4500) | (システム英単語) | (英単語ターゲット1900) |
|---|---|---|---|
| コンセプト | バランス・網羅性重視。単語・熟語・長文を体系的に学習。 | 実用性・効率性重視。「ミニマルフレーズ」で生きた使い方を暗記。 | 頻出度・速度重視。「一語一義」と「出る順」で最速暗記。 |
| 単語の配列 | レベル別・テーマ別 | 最新の入試データに基づく頻出度順 | 長年のデータに基づく「出る順」 |
| 強み | 長文パートによるアウトプット確認。学校の勉強と連携しやすい。 | ミニマルフレーズによる語法理解。多義語の解説が充実。 | シンプルな構成で周回しやすい。目標設定が容易。 |
| 注意点 | 良くも悪くもオーソドックスで、人によっては単調に感じる可能性。 | ミニマルフレーズが合わないと、逆に覚えにくい場合がある。 | 一語一義のため、多義語や深い意味の理解は別途必要。 |
【塾講師のコメント】
どの単語帳も素晴らしいですが、性格が異なります。「データベース」は総合力、「シス単」は実践力、「ターゲット」は瞬発力を鍛えるイメージです。ペルソナである「平均層の受験生」が、まず英語の体力(語彙の基礎体力)をつけたいのであれば、「データベース」のバランスの良さは非常に魅力的です。
本書は高校基礎レベルの英単語(中学レベル+高校1年レベル)はある程度身についていることが前提となります。具体的には、『データベース3000』レベルや、それに相当する基礎単語帳を終えているか、模試である程度の長文が読める状態から始めるのが理想です。全くの初学者がいきなり取り組むと、知らない単語が多すぎて挫折する可能性があります。
熟語も載っていますが、これだけで十分ですか?
基本的な重要熟語は約350語収録されており、共通テストや中堅私大レベルであれば大きな問題はありません。ただし、GMARCH以上の大学で熟語問題が頻出の学部を受験する場合は、『解体英熟語』や『速読英熟語』などの熟語に特化した教材を追加で学習することをお勧めします。
『データベース4500』は、突出した個性で受験生を惹きつけるタイプの単語帳ではありません。しかし、その堅実な構成とバランスの良さは、多くの受験生を合格レベルまで着実に引き上げる力を持っています。特に、「何から始めれば良いか分からない」「派手な参考書は苦手だ」と感じている大学受験の平均層の受験生にとって、これほど信頼できる「王道」の一冊はないでしょう。
おすすめな方:
「英語の基礎体力をつけ、中堅~難関大学への確実な足がかりを築きたい、受験生」
本レポートが、あなたの参考書選びの一助となることを心より願っています。