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現在英語単語帳の最適な一冊を探している受験生の参考書選びの一助となれば幸いです。
『イメタン』は、語学春秋社から出版されている英単語帳です。最大の特徴は、単語の語源やパーツ(接頭辞・語根・接尾辞)をベースにした「イメージ」と、ユニークな「語呂合わせ」を駆使して記憶への定着を図る点にあります。単純な丸暗記が苦手な受験生や、単語の根本的な意味を理解しながら語彙を増やしたいと考える学習者から支持を集めています。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | イメタン イメージ連想英単語(改訂版) |
| 著者 | 山下りょうとく |
| 対象レベル | 高校基礎〜中堅大学レベル(偏差値45〜60程度) |
| 値段 | 1,500円(税込) |
| 公式リンク | 語学春秋社 公式サイト |
『イメタン』は、約2000語の見出し語を収録しています。その最大の特徴は、単語をパーツに分解し、その語源的な意味をイラストや解説で示すことで、未知の単語でも意味を推測できる応用力を養うことを目的としている点です。各単語には、記憶を助けるためのユニークで時にコミカルな語呂合わせが添えられており、これが学習のフックとなります。
構成としては、学習段階や語彙レベルに応じてセクションが分けられており、自分のレベルに合わせて学習を進めることが可能です。レイアウトは見開きで完結する形式が多く、左ページに単語と語呂合わせ、右ページに語源解説や関連語がまとめられているのが一般的です。
【塾講師のコメント】
『イメタン』の構成は、単語を「点」ではなく「線」や「面」で捉えさせようという意図が明確です。例えば “transport” という単語を覚える際に、”trans-“(横切って)と “port”(運ぶ)というパーツの意味を知ることで、”import”(内に運ぶ→輸入する)や “export”(外に運ぶ→輸出する)といった他の単語にも知識を応用できます。このアプローチは、特に丸暗記に限界を感じている偏差値50台の受験生が、語彙力を一段階引き上げるための「思考の型」を作る上で非常に効果的です。
この参考書をマスターすることで、大学入試の共通テストから中堅私立大学レベルで必要とされる語彙力を身につけることができます。単に単語の意味を知っているだけでなく、語源に基づいた推測力が養われるため、長文読解で未知の単語に遭遇した際の対応力が高まります。
【こんな人におすすめ】
・単純な一問一答形式の暗記が苦手な人
・英単語を根本から理解し、応用力をつけたい人
・学習に楽しさやインパクトを求めている人
・現在の偏差値が50前後で、英語の基礎固めと次のステップへの足がかりを求めている人
ステップ1:語呂合わせとイメージで覚える
まずは深く考えすぎず、各単語の語呂合わせとイラストを楽しみながら読み進め、単語と日本語訳の結びつきを頭にインプットします。この段階では「面白い」「なるほど」と感じることが重要です。
ステップ2:語源解説を読み込む
次に、語源やパーツの解説をじっくり読み込みます。なぜその単語がその意味になるのかを理解することで、記憶がより強固になります。関連語にも目を通し、知識を広げましょう。
ステップ3:繰り返しと定着
人間の記憶は忘れやすいものです。1日に進む量を決め、翌日や週末に必ず復習の時間を設けましょう。赤シートなどを活用し、「日本語訳→英単語」「英単語→日本語訳」の双方向で即答できるかを確認します。
ステップ4:音声の活用(別売/ダウンロード)
可能であれば音声教材も活用し、正しい発音を耳で覚えることで、リスニング力向上にも繋がります。音読を組み合わせることで、記憶の定着率はさらに高まります。
『イメタン』の最大の強みは、「語源学習」と「語呂合わせ」という二つの強力な記憶術を融合させている点です。語源学習は応用に繋がり、語呂合わせは記憶のトリガー(引き金)となります。多くの単語帳がどちらか一方、あるいはどちらも採用していない中で、このハイブリッドなアプローチは、特に暗記が苦手な学習者にとって唯一無二の価値を提供します。これにより、学習の初期段階での心理的なハードルを下げつつ、最終的には応用力の高い語彙知識を構築できるのが大きな魅力です。
偏差値50台の受験生がよく使用する代表的な単語帳として、『システム英単語』と『英単語ターゲット1900』を競合として選定し、比較分析を行いました。
| 比較項目 | 本書(イメタン) | (システム英単語) | (英単語ターゲット1900) |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 語源+語呂でイメージ記憶 | ミニマルフレーズで実践的に覚える | 一語一義の原則で効率的に覚える |
| データの根拠 | 語源学的な繋がり | 最新の入試データ(頻度順) | 長年の大学入試データ(頻度順) |
| 学習アプローチ | 理解・連想型 | 文脈・実践型 | 反復・速度重視型 |
| 長所 | 応用が効き、忘れにくい | 語法や使い方が同時に身につく | テンポよく進められ、周回しやすい |
| 注意点 | 語呂が合わないと感じる可能性 | フレーズごと覚えるのが負担になる場合も | 多義語の学習が手薄になりがち |
【塾講師のコメント】
この3冊はどれも優れた単語帳ですが、思想が全く異なります。『シス単』『ターゲット』が「入試に出るから覚える」というデータドリブンなアプローチなのに対し、『イメタン』は「単語がこう成り立っているから覚える」という理屈重視のアプローチです。偏差値50台の生徒さんが伸び悩む原因の一つに「作業的な暗記への飽き」があります。もしあなたが機械的な暗記に疲れているなら、『イメタン』の知的好奇心を刺激するスタイルは、学習のモチベーションを再燃させる良いきっかけになるでしょう。
『イメタン』を効果的に使うためには、中学レベルの基本的な英単語(例:have, go, makeなど)は一通り理解していることが望ましいです。本書は高校基礎レベルから始まりますが、中学英単語に不安がある場合は、先にそちらを復習してから取り組むと、よりスムーズに学習を進めることができます。
また、本書の魅力である「語呂合わせ」は、時に個人の感性と合わない場合があります。もし語呂がしっくりこなくても、それ自体に固執する必要はありません。その場合は語源解説の方をメインに学習し、語呂はあくまで補助的なツールとして割り切って使うのが良いでしょう。
“丸暗記が本当に苦手だったけど、イメタンの語源解説を読んでから単語を覚えるのが楽しくなった。似た形の単語も区別できるようになったし、長文で知らない単語が出てきても推測できることが増えた。”
“語呂合わせが面白くて、印象に残るので忘れにくい。勉強の合間に読むとちょっとした息抜きにもなる。友達と語呂の面白さで盛り上がったりもしました。”
“たまに語呂合わせが無理やりすぎると感じることがあって、逆に覚えにくかった単語もいくつかあった。そういうのは自分で覚えるしかなかった。”
“シス単やターゲットと比べると、入試の頻度順ではないので、即効性は少し低いかもしれない。テスト直前に焦って詰め込むのには向いていないと感じた。”
この一冊で難関大学(早慶上智など)まで対応できますか?
『イメタン』だけで難関大学の全てをカバーするのは難しいです。本書はあくまで中堅大学レベルまでの盤石な基礎を作るためのものです。難関大学を目指す場合は、『イメタン』を完璧にした後、よりハイレベルな単語帳(例:『速読英単語 上級編』など)を追加で学習する必要があります。ただし、『イメタン』で養った語源の知識は、難解な単語を覚える際にも大いに役立ちます。
音声は買った方が良いですか?
必須ではありませんが、購入を強く推奨します。単語は「見てわかる」だけでなく、「聞いてわかる」「正しく発音できる」状態が理想です。特に近年はリスニングの重要性が増しているため、音声学習を取り入れることで学習効果は何倍にも高まります。通学時間などのスキマ時間を有効活用するためにも、音声の利用は非常に効果的です。
『イメタン』は、単なる暗記作業に終わりがちな英単語学習を、「理解」と「発見」に満ちた知的な活動へと変えてくれるユニークな一冊です。
【最終的なおすすめ対象者】
・英語の偏差値が50台で、機械的な暗記に限界を感じている受験生
・単語の成り立ちや繋がりを理解しながら、応用力の高い語彙力を身につけたい受験生
・学習のプロセスに「楽しさ」や「納得感」を求める受験生
もしあなたが、システム英単語やターゲットのようなデータ重視の単語帳で伸び悩みを感じているのであれば、『イメタン』は新しい視点と学習の突破口を与えてくれる強力な選択肢となるでしょう。このレポートが、あなたの最適な一冊選びの助けとなることを願っています。