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大学受験の英語学習において、全ての土台となるのが「英単語」です。しかし、単純な暗記作業に挫折してしまう受験生は後を絶ちません。今回は、そんな単語学習に「音楽」という新しいアプローチを取り入れ、多くの受験生から支持されている『キクタン【Basic】4000』を徹底的に分析します。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
本書の構成は、学習者が継続しやすいよう工夫されています。1日16語、週7日の学習サイクルで、8週間で1120語をマスターするプログラムです。見開き2ページで1日分が完結するレイアウトになっており、左ページに単語、右ページにその単語を使ったフレーズや例文が掲載されています。
最大の特徴である音声は、「英語 → 日本語 → 英語」の順で収録されており、リズムに乗せて自然と意味が頭に入るように設計されています。また、単語だけでなく、フレーズやセンテンスの音声も収録されているため、単語の実際の使われ方まで含めて学ぶことが可能です。
【塾講師のコメント】
この「1日16語」という分量は絶妙です。多すぎず少なすぎず、部活や他の教科で忙しい高校生でも「これなら毎日続けられる」と感じられる量です。学習の習慣化を促すという点で、非常に優れた設計と言えます。特に、勉強への苦手意識がある生徒さんにとって、最初の成功体験を積みやすい構成になっています。
本書をマスターすることで、大学入学共通テストで求められる語彙力の基礎を固めることができます。また、日東駒専レベルの大学であれば、本書の単語力でかなりの部分をカバーできるでしょう。
特におすすめなのは、以下のような受験生です。
・英語の偏差値が50前後で、基礎から固めたい受験生
・単純な丸暗記が苦手で、すぐに飽きてしまう人
・通学時間などのスキマ時間を有効活用したい人(音声学習が中心のため)
・正しい発音やリスニング力も同時に鍛えたい人
本書の効果を最大化するためには、以下の使い方を推奨します。
ステップ1:まずは音声を聞いて真似る
いきなり書こうとせず、まずは音声を聞き、リズムに合わせて自分でも発音(シャドーイング)してみましょう。意味が頭に浮かぶまで繰り返します。
ステップ2:テキストでスペルと意味を確認
音声で覚えた単語を、テキストを見て視覚的に確認します。赤シートを活用し、意味を隠して言えるかチェックしましょう。
ステップ3:フレーズと例文で使い方を学ぶ
単語単体で覚えるだけでなく、右ページのフレーズや例文を音読し、文脈の中での使われ方を理解します。ここまで行うことで、記憶の定着率が格段に上がります。
【塾講師のコメント】
『キクタン』は「聞く」ことが前提の単語帳です。テキストを眺めるだけの学習では効果が半減してしまいます。少し恥ずかしくても、ぜひ声に出して練習してください。声に出すことで、脳への刺激が多角的になり、記憶に残りやすくなるという科学的根拠もあります。電車の中など声が出せない場所では、口を小さく動かすだけでも効果がありますよ。
『キクタン【Basic】』の最大の強みは、「学習のハードルを極限まで下げるエンターテインメント性」にあります。従来の単語帳が持つ「無味乾燥」「苦行」といったイメージを、音楽の力で払拭しました。単語学習が続かない最大の原因である「退屈さ」を克服できる唯一無二のコンセプトが、本書が長年支持され続ける理由です。
ここでは、同じく受験基礎レベルで絶大な人気を誇る『システム英単語』と『英単語ターゲット1900』を競合として選定し、比較分析します。
| 比較項目 | 本書(キクタン) | システム英単語 | ターゲット1900 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 音声(チャンツ)で楽しく覚える | ミニマルフレーズで文脈理解 | 一語一義と頻出度順で効率重視 |
| 暗記方法 | 聴覚・発音中心 | 短い例文での文脈暗記 | 反復による高速インプット |
| 収録語数 | 1120語 | 約2000語+多義語 | 1900語 |
| レイアウト | 日単位の構成、カラフル | 章立て、シンプル | セクション区切り、機能的 |
| おすすめな人 | 暗記が苦手な人、聴覚優位な人 | 単語の使い方も同時に学びたい人 | 短時間で効率的に覚えたい人 |
【塾講師のコメント】
どの単語帳が一番優れている、というわけではありません。重要なのは「自分に合った学習法か」です。『キクタン』は楽しさ、『シス単』は実践力、『ターゲット』は効率性という、それぞれ異なる強みを持っています。書店で実際に手に取り、音声を試聴してみて、「これなら続けられそう」と直感的に感じたものを選ぶのが、最終的には最も効果的です。
『キクタン【Basic】』は優れた入門書ですが、注意点もあります。まず、収録語数はMARCHや関関同立以上の難関大学を目指すには不足しています。本書はあくまで基礎固めと位置づけ、終了後は『キクタン【Advanced】』や他のよりレベルの高い単語帳へ接続する必要があります。
また、音声学習がメインのため、単語のスペルを「書く」練習が疎かになりがちです。必ず手で書いて覚える習慣も併用しましょう。前提知識としては、中学レベルの基本的な英文法(文の構造が何となく分かる程度)は身につけていることが望ましいです。
実際に本書を利用した受験生からは、様々な声が寄せられています。
「今までどんな単語帳も3日で飽きていたけど、キクタンは音楽みたいで楽しくて最後まで続けられた。通学中に聞くだけでも効果があった。」(高校3年生・女子)
「発音が良くなったと先生に褒められました。リスニングの点数も自然と上がってきた気がします。」(高校2年生・男子)
「チャンツのペースが自分には少し遅く感じた。サクサク進めたい人には向かないかもしれない。」(高卒生・男子)
「聞くだけではスペルが覚えられず、結局ノートに何度も書く必要があった。聞くだけでOKと過信するのは危険。」(高校3年生・女子)
この一冊だけで大学入学共通テストは戦えますか?
語彙レベルとしては、共通テストで必要な単語の8〜9割程度はカバーできるとされています。しかし、万全を期すのであれば、本書を完璧にした上で、過去問で分からなかった単語を補ったり、熟語帳を追加したりすることをおすすめします。
『キクタン【Basic】4000』は、単なる単語帳ではなく、「英単語学習の習慣化を助けるペースメーカー」と言える一冊です。その音楽的なアプローチは、これまで単語学習に挫折してきた多くの受験生にとって、強力な味方となるでしょう。
結論として、スタディ・アナリティカは本書を以下の受験生に強く推奨します。
・英単語学習の第一歩を踏み出そうとしている偏差値50前後の受験生
・机に向かってガリガリ暗記するのが苦手、または嫌いな受験生
・音楽を聞くのが好きで、聴覚を使った学習が得意な受験生
このレポートが、あなたの最適な一冊選びの助けとなれば幸いです。