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今回は、多くの受験生から支持される物理の参考書『良問の風 物理頻出・標準入試問題集』を、塾講師が徹底的に分析します。特に「物理は苦手ではないが好きでもない、でも難関大学には合格したい」と考えるあなたにとって、この一冊が起死回生の鍵となるか、あるいはどのような使い方が挫折の原因となるのか、さまざまデータと多角的な視点から明らかにしていきます。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『良問の風』は、河合出版から刊行されている「物理のエッセンス」と「名問の森」という有名な参考書シリーズの中間に位置づけられる、大学入試標準レベルの問題集です。その名の通り、全国の大学入試問題から、物理学の重要な考え方を学ぶのに最適な「良問」が148題(+分野別頻出テーマ)厳選されています。基礎固めを終えた受験生が、本格的な入試応用力を身につけるための「橋渡し」として、絶大な信頼を得ています。
| 書名 | 良問の風 物理頻出・標準入試問題集 三訂版 |
| 著者 | 浜島 清利 |
| 対象レベル | 教科書レベル・基礎問題集 修了 ~ 難関大学入試 標準レベル |
| 値段 | 1,100円(税込) |
| 公式リンク | アマゾン(通販サイト)公式 |
本書は「力学」「熱・波動」「電磁気・原子」の三部構成となっています。各問題には難易度(★印で表示)と目標時間が明記されており、学習計画を立てやすいのが特徴です。解答・解説は別冊になっており、問題冊子と見比べながら学習を進めることができます。解説では、単に解き方を示すだけでなく、「Point」として物理現象を理解するための箇所や、問題を解く上での着眼点がコンパクトにまとめられており、効率的な学習をサポートします。
この参考書の最大の美点は「問題選定の絶妙さ」と「過不足のない解説」にあります。物理が苦手な受験生は、どの問題が重要で、どこまで深く理解すればよいか分からなくなりがちです。本書は、入試で本当に問われる核心的なテーマを厳選しているため、迷うことなく学習の「幹」を太くすることができます。解説も、詳しすぎて読むのが嫌になることもなく、かといって不親切でもない、という絶妙なバランスを保っています。
『良問の風』を完璧にマスターすることで、地方国公立大学やMARCH・関関同立レベルの理系学部で合格点を取るための盤石な実力が身につきます。また、旧帝大をはじめとする最難関大学を志望する受験生にとっては、より高度な問題集(『名問の森』など)へ進むための揺るぎない土台が完成します。物理の現象理解と解法パターンの引き出しを、入試標準レベルまで引き上げることが可能です。
【特におすすめな人】
・『物理のエッセンス』や教科書傍用問題集(セミナー物理など)を一通り終えた人
・物理の基本的な知識や公式は覚えたが、入試問題になると手が止まってしまう人
・難関大学を志望しているが、物理に多くの時間を割けない効率重視の人
・物理の偏差値が50〜60前後で、もう一段階レベルアップしたいと考えている人
本書の効果を最大化するためには、以下のステップで進めることを推奨します。
ステップ1:まずは自力で解く
最低15分は自分の頭で考え抜き、どの知識を使えば解けるのか試行錯誤してください。すぐに解答を見る癖は思考力の成長を妨げます。
ステップ2:解答解説の熟読と理解
解答を見て、自分の考え方のどこが間違っていたのか、あるいはどこが足りなかったのかを徹底的に分析します。特に「Point」の部分は何度も読み返し、再現できるようにします。
ステップ3:完璧な再現を目指す解き直し
間違えた問題は必ず印をつけ、後日何も見ずに解けるようになるまで繰り返します。理想は3周以上です。2周目以降は、なぜその解法を選択するのかを自分の言葉で説明できるように意識すると、理解が飛躍的に深まります。
物理が苦手な受験生は、特にステップ1を疎かにしがちです。「分からないから」とすぐ答えを見てしまうのですが、その「ウンウン唸って考える時間」こそが、物理的思考力を養う上で最も重要です。『物理のエッセンス』などで学んだ基礎知識を、目の前の問題にどう結びつけるかを考える訓練だと思って、粘り強く取り組んでください。
『良問の風』の最大の強みは、「基礎から応用への完璧な橋渡し役」である点です。基礎的な参考書(『物理のエッセンス』など)では知識が断片的になりがちですが、本書に取り組むことで、それらの知識が有機的に結びつき、「使える武器」へと昇華します。また、問題数が約150題と、網羅性を保ちつつも受験生の負担になりすぎないボリュームに抑えられているため、挫折しにくく、短期間で物理の全体像を掴むことが可能です。
ここでは、『良問の風』と同じく標準レベルの問題集として評価の高い『重要問題集 物理』と『物理 標準問題精講』と比較分析します。
| 比較項目 | 本書(良問の風) | 重要問題集 物理 | 物理 標準問題精講 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 基礎から応用への橋渡し。厳選された良問で効率的に実力養成。 | 網羅性を重視。A・B問題で段階的にレベルアップ。 | 少数精鋭の良問。深い理解を促す詳細な解説。 |
| 問題数 | 約150題(適度) | 約220題(多い) | 約110題(少ない) |
| 解説の詳しさ | 丁寧で要点がまとまっている | 比較的簡潔 | 非常に詳細。「精講」が秀逸 |
| 到達点 | 難関大入試の標準レベル | 難関大入試の応用レベル | 最難関大入試の土台 |
| 相性の良い人 | 効率的に標準レベルを固めたい人。物理が苦手な人。 | 網羅的に演習を積みたい人。学校採用で使っている人。 | 一問一問を深く掘り下げたい人。物理が好きな人。 |
物理があまり得意ではない受験生にとって、この3冊の中では『良問の風』が最もおすすめです。『重要問題集』は問題数が多く網羅的ですが、解説が簡潔なため途中で挫折するリスクがあります。『標準問題精講』は解説が非常に深いですが、物理の本質的な理解をある程度楽しめるレベルでないと、その良さを活かしきれません。その点、『良問の風』は問題数と解説のバランスが良く、着実にステップアップできる構成になっています。
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本書はあくまで「標準問題集」です。したがって、教科書レベルの知識や公式が曖昧な状態で取り組んでも、効果は半減してしまいます。最低限、『物理のエッセンス』や『セミナー物理』の基本問題・例題レベルはスラスラ解ける状態にしてから接続することが必須です。物理が苦手だと感じている人ほど、急がば回れで、基礎固めを徹底してから本書に進んでください。基礎が固まっていれば、本書の解説は非常に理解しやすく感じるはずです。
SNSや学習サイトから、実際に『良問の風』を使用した受験生の声を収集しました。
“エッセンスで学んだことが、この本のおかげで「使える知識」になった。解説のPointが本当に分かりやすくて、物理の成績が安定するようになった。”
“問題数が多すぎず少なすぎず、ちょうどよかった。これを3周したら、模試の偏差値が10上がって物理が得点源になった。”
“基礎が固まってないのに手を出してしまい、最初の力学で挫折しかけた。エッセンスに戻ってから再挑戦したら、スムーズに進められた。”
“解説は分かりやすいけど、たまに式変形が飛んでいる箇所がある。物理が本当に苦手な人は、先生に質問できる環境があった方がいいかも。”
『物理のエッセンス』を終えずに、いきなり『良問の風』から始めても大丈夫ですか?
おすすめしません。本書は基礎知識のインプットを目的とした参考書ではなく、あくまで演習書です。教科書や『物理のエッセンス』などで、一通りの現象理解と公式の成り立ちを学んだ上で取り組むことで、最大の効果を発揮します。基礎が不安な場合は、必ず基礎固めから始めてください。
『良問の風』だけで、早慶や旧帝大などの最難関大学は合格できますか?
『良問の風』だけでは厳しいと言わざるを得ません。本書はあくまで「入試標準レベル」を固めるためのものです。最難関大学では、より思考力や応用力を問う問題が出題されるため、本書を完璧にした後、『名問の森』や志望校の過去問など、さらにハイレベルな演習に進む必要があります。ただし、本書の内容が完璧に身についていなければ、それらの問題集には太刀打ちできません。
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『良問の風 物理』は、物理の基礎固めを終えた受験生が、入試本番で戦える実力を効率的に身につけるための「最適解」と言える一冊です。特に、あなたが「物理は得意ではないが、難関大学に合格するためには克服しなければならない」と考えているならば、本書は最高のパートナーとなり得ます。
適切な問題量、要点を押さえた解説、そして基礎と応用を繋ぐ絶妙なレベル設定は、多くの受験生を合格へと導いてきた実績に裏打ちされています。本書を信じて何度も繰り返し解き、一冊を完璧に仕上げることで、物理の成績は飛躍的に向上し、志望校合格が大きく近づくでしょう。