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今回は、数ある古文の参考書の中でも、特に初学者からの支持が厚いKADOKAWAの『岡本梨奈の古文ポラリス1 基礎レベル』について、詳細な分析を行います。この記事は、「古文の勉強を始めたいけれど、何から手をつければ良いか分からない」「文章を読むのが苦手で、なかなか成績が伸びない」といった悩みを抱える高校生のあなたのために、本書を徹底解剖します。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『古文ポラリス1』は、人気予備校講師である岡本梨奈先生が執筆した、古文読解の入門者向け参考書です。「ポラリス」シリーズは最新の入試傾向分析に定評があり、本書もその例に漏れず、古文が苦手な受験生でも無理なく読解の基礎を固められるよう設計されています。文章の読み方、文法事項の確認、単語の暗記まで、1冊で多角的に学べる構成が特徴です。
| 書名 | 岡本梨奈の古文ポラリス1 基礎レベル |
| 著者 | 岡本 梨奈(スタディサプリ講師) |
| 対象レベル | 高校基礎〜大学入学共通テスト・中堅私大レベル |
| 値段 | 1,540円(税込) |
| 公式リンク | KADOKAWA公式サイト |
本書の最大の特徴は、その圧倒的に丁寧な解説にあります。見開きで左ページに問題文、右ページに現代語訳というレイアウトを基本としつつ、解説パートでは本文を再掲し、一文一文に対応する形で文法解説、単語、背景知識などが詳細に書き込まれています。
具体的には、以下の要素で構成されています。
1. 問題演習:入試で頻出の14テーマを厳選。基礎的なレベルから段階的に挑戦できます。
2. 精読解説:すべての文章に品詞分解レベルの超詳細な解説が付いています。
3. 読解のポイント:主語の省略や敬語など、古文特有の読みにくさを解消するコツが学べます。
4. 全文現代語訳:文章全体の流れをスムーズに把握できます。
【塾講師のコメント】
この「全文全訳+超詳細な解説」という構成は、特に古文に苦手意識を持つ受験生にとって、独学のハードルを劇的に下げてくれます。問題集と文法書と単語帳を何冊も行き来する必要がなく、この1冊の中で知識が完結するよう設計されている点は、学習効率の面で非常に優れていると言えるでしょう。
本書をやり遂げることで、古文の文章構造を正確に捉え、一文ずつ丁寧に読み解いていく「精読」の力が身につきます。これにより、共通テストレベルの問題であれば、安定して高得点を狙えるだけの土台が完成します。
【こんな受験生におすすめ】
・古文の勉強を何から始めればいいか分からない高校1〜2年生
・一通り文法は学んだが、文章になると全く読めない高校3年生
・現在の模試偏差値が50前後で、古文の基礎を固めたい受験生
・共通テストや中堅私立大学を第一志望とする受験生
本書の効果を最大化するためには、以下のステップで学習を進めることを推奨します。
Step 1:まずは自力で解く
時間を計る必要はありません。まずは辞書なども使わず、自分の現在の力で問題に挑戦します。
Step 2:答え合わせと解説の熟読
本書の心臓部である解説をじっくり読み込みます。なぜその訳になるのか、なぜその文法が使われているのかを完全に理解できるまで読み進めます。
Step 3:音読
解説を読んで内容を理解した上で、問題文を最低5回は音読します。これにより、古文特有のリズムや文章の流れが体に染み込み、読解スピードが向上します。
『古文ポラリス1』の最大の強みは、「超人気講師による、徹底的にかみ砕かれた解説」にあります。著者の岡本先生は、スタディサプリでの講義が大変わかりやすいと評判で、そのエッセンスが本書にも凝縮されています。単なる正解への道筋だけでなく、受験生がどこでつまずきやすいかを熟知した上での解説は、他の参考書にはない大きな魅力です。また、無料で視聴できる解説動画が付いている点も、独学者にとっては非常に心強いサポートとなります。
古文読解の入門書としてよく比較される2冊、『富井の古文読解をはじめからていねいに』と『古文上達 基礎編 読解と演習45』との比較を行いました。
| 比較項目 | 本書(ポラリス1) | 富井の古文読解 | 古文上達 基礎編 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 1冊で読解の基礎を固めるオールインワン型 | 講義形式で「読み方」のプロセスを学ぶ | 豊富な問題演習で読解力を鍛えるドリル型 |
| 解説の詳しさ | 非常に詳しい(品詞分解レベル) | 非常に詳しい(語り口調で丁寧) | 要点がまとまっている(やや簡潔) |
| 問題量 | 少なめ(14題) | 非常に少ない(例題中心) | 多い(45題) |
| 到達レベル | 共通テスト | 古文入門 | 共通テスト〜中堅私大 |
| おすすめな人 | 解説を熟読して理解したい人 | とにかく古文が嫌い・苦手な人 | ある程度基礎があり演習を積みたい人 |
【塾講師のコメント】
3冊の位置づけは明確です。ゼロから始めるなら『富井の古文読解』、1冊でじっくり理解を深めたいなら『ポラリス1』、そして基礎知識を活かしてどんどん問題を解きたいなら『古文上達 基礎編』が最適です。自分の現在の学力と目的に合わせて選ぶことが重要になります。
本書は読解の参考書であり、網羅的な文法書ではありません。そのため、学習を始める前に、中学レベルの古典文法(動詞の活用、助動詞の意味など)は一通り終えていることが望ましいです。もし文法に不安がある場合は、『古典文法をはじめからていねいに』のような講義系の参考書を先に終わらせておくと、本書の学習効果が飛躍的に高まります。また、問題数が14題と限られているため、本書を終えた後は、共通テストの過去問や、一つ上のレベルの問題集に進んで演習量を確保する必要があります。
“本当に解説が丁寧で、古文アレルギーだった自分でも最後まで挫折せずにやりきれた。特に品詞分解が詳しくて、文の構造が初めて理解できた。”
“レイアウトが見やすく、フルカラーでやる気が出る。読解のポイントが的確で、これを意識するだけで文章が読みやすくなった。”
“解説は素晴らしいが、問題数が少ないのですぐに終わってしまった。演習用としては物足りないかもしれない。”
“ある程度文法が分かっていないと、解説を読んでもチンプンカンプンな部分があるかもしれない。完全にゼロからのスタートだと厳しいかも。”
この1冊だけで共通テストの古文は対策できますか?
本書で読解の土台は完璧に固まりますが、それだけで万全とは言えません。本書を終えた後、必ず共通テストの過去問や予想問題集で実戦形式の演習を積み、時間配分や設問形式に慣れることが不可欠です。
どのくらいの期間で終わらせるのが目安ですか?
1日1題のペースで進めれば、約2週間で1周できます。重要なのはスピードよりも質なので、焦らず解説を完璧に理解することを目標にしてください。理解度に応じて、1ヶ月程度かけてじっくり取り組むのも良いでしょう。
『岡本梨奈の古文ポラリス1 基礎レベル』は、古文読解の「最初の1冊」として、現時点で最も優れた参考書の一つであると結論付けられます。その丁寧すぎるほどの解説は、多くの受験生を古文の苦手意識から解放してくれるでしょう。
改めて、本書を特におすすめするのは、「古文の勉強を始めたばかりで、文章の読み方が分からず困っている」、あるいは「文法は学んだけれど、読解問題になると点が取れない」という高校生です。この1冊を完璧に仕上げることで、古文の世界への確かな第一歩を踏み出せるはずです。