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今回は、数多くの受験生が英文解釈の基礎固めに使用する『リンゲージ英語構文100』について、深掘り分析を行います。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『リンゲージ英語構文100』は、人気英語講師である竹岡広信先生が手掛けた英文解釈・英語構文の参考書です。大学入試に頻出する100の英文構造(構文)を厳選し、それらを視覚的な図解(リンゲージ・ダイヤグラム)を用いて解説することで、複雑な英文を正確に読み解くための「骨格」を養うことを目的としています。英文法から長文読解への橋渡し役として、多くの受験生に支持されています。
| 書名 | リンゲージ英語構文100 |
| 著者 |
戸澤全崇 |
| 出版社 | Z会 |
| 対象レベル | 大学入学共通テスト基礎〜GMARCH・関関同立レベル |
| 値段 | 1,375円(税込) |
| 公式リンク | [Z会公式サイトへ] |
本書は、見開き2ページで1つの構文を学習するスタイルで構成されています。左ページには例文と構文の図解、和訳が、右ページにはその構文に関する詳しい解説や注意点がまとめられています。主な特徴は以下の通りです。
・構文の図解(リンゲージ・ダイヤグラム): 複雑な文構造をS, V, O, Cや修飾関係がひと目でわかるように図式化しており、視覚的に理解を助けます。
・厳選された100の構文: 入試で狙われやすい、つまずきやすいポイントを100個に絞り込んでいるため、効率的に学習を進めることができます。
・音声ダウンロード: 全ての例文の音声(ナチュラルスピード)がダウンロード可能で、リスニング力向上や音読による定着に役立ちます。
【塾講師のコメント】
この「見開き完結+図解」という構成は、特に英語の文構造を論理的に捉えるのが苦手な受験生にとって非常に効果的です。感覚で読んでしまいがちな修飾語句(M)が、文のどの要素を修飾しているのかを視覚的に叩き込めるため、GMARCHレベルで求められる精読力の土台を築くのに最適と言えます。
本書をマスターすることで、以下の学力が身につきます。
・精読力の向上: SVOCを正確に振り分け、複雑な修飾関係を正しく見抜く力が養われます。
・速読力の基礎: 文の構造が瞬時に把握できるようになるため、結果的に英文を読むスピードが向上します。
・和訳・英作文能力の向上: 正確な構文理解は、質の高い和訳や英作文のアウトプットにも直結します。
【こんな受験生におすすめ】
・英文法の参考書を一冊終えたが、長文になると活かせない人
・GMARCHや関関同立を目指しており、盤石な英文解釈の基礎を築きたい人
・文章を図やイラストで理解するのが得意な人
本書の効果を最大化するための使い方を提案します。
STEP1: 予習(自力で構造分析)
まず左ページの例文だけを見て、自分の力でSVOCを振り、和訳を試みます。
STEP2: 答え合わせと熟読
図解と解説を読み込み、自分の分析とどこが違ったのか、なぜその構造になるのかを徹底的に理解します。
STEP3: 音読と暗唱
付属の音声を活用し、最低5回は音読します。最終的には、日本語訳を見て英文を再現できる(暗唱できる)レベルを目指しましょう。
STEP4: 定期的な復習
1周で終わらせず、2周、3周と繰り返すことで記憶に定着させます。2周目以降は、苦手な構文に絞って復習するのも効率的です。
【塾講師のコメント】
最も重要なのはSTEP1の「自力で考える」プロセスです。ただ解説を読むだけでは受け身の学習になってしまい、実力は伸びません。間違えてもいいので、まずは自分の頭で構造を考え抜く癖をつけてください。その「試行錯誤」の経験こそが、初見の長文に対応する力を育てます。
『リンゲージ英語構文100』の最大の強みは、やはり「リンゲージ・ダイヤグラムによる圧倒的な分かりやすさ」にあります。他の多くの構文解説書が文章中心であるのに対し、本書は文構造をビジュアルで訴えかけるアプローチを徹底しています。これにより、抽象的な文法ルールと具体的な英文との間のミゾを埋め、これまで感覚的にしか英文を読めなかった学習者が、論理的な読解へとスムーズに移行できる点が、他の参考書にはない独自の価値と言えるでしょう。
英文解釈の基礎固めに使われる代表的な参考書として、『入門英文解釈の技術70』と『大学入試問題集 関正生の英文法ポラリス1』を競合として選定し、比較分析を行いました。
| 比較項目 | 本書:リンゲージ100 | 入門英文解釈の技術70 | 英文法ポラリス1 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 図解で構文を視覚的にインプット | 解説と演習で構文を体系的に学ぶ | 文法知識を読解に活かす実践的演習 |
| 解説スタイル | 非常に丁寧・視覚的 | オーソドックスで網羅的 | 語り口調でポイントを絞った解説 |
| 演習量 | 各構文1文(+復習問題) | 例題70+演習題70で豊富 | 文法単元ごとに多角的な問題 |
| 到達目標 | 複雑な文構造のパターン認識 | 自力で文構造を分析する力 | 文法問題と読解問題への応用力 |
| おすすめな人 | 視覚的に理解したい人 | じっくり体系的に学びたい人 | 文法復習と並行して進めたい人 |
この参考書だけでGMARCHの英語は対応できますか?
いいえ、この一冊だけでは不十分です。本書はあくまで長文を正確に読むための「土台」を作るものです。GMARCH合格には、この後でより難易度の高い英文解釈書や長文問題集、英単語・英熟語の学習、過去問演習などを積み重ねる必要があります。
終わらせるのに、どれくらいの期間がかかりますか?
1日2〜3構文のペースで進めれば、1ヶ月半〜2ヶ月で1周目を終えるのが標準的です。重要なのは期間よりも完成度なので、焦らずじっくり取り組んでください。夏休み前までに1周目を終え、夏以降に復習しながら長文演習に入るのが理想的なスケジュールです。
『リンゲージ英語構文100』は、独自の図解アプローチにより、英文解釈の学習における「最初の壁」を突破させてくれる優れた入門書です。特に、これまで感覚で英文を読んできた学習者にとって、論理的な読解への道筋を明確に示してくれます。
演習量が少ない点や、最難関大学にはやや物足りない点はありますが、GMARCH・関関同立レベルを目指す上で不可欠な「文の構造を見抜く力」を効率的に養える点で、非常に価値の高い一冊です。
「GMARCH・関関同立志望で、文法学習後にフィーリング読解から脱却したい受験生」
にとって、最適な最初の一冊として強くおすすめします。