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多くの高校で採用されている教科書傍用問題集『4STEP』。ほとんどの人が学校の指定で購入すると思いますが、「実際のところ、この問題集ってどうなの?」「どう使えば成績が上がるの?」と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。今回は、そんな『4STEP 数学Ⅱ+B』を徹底的に深掘り分析していきます。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
『4STEP』は、数研出版が発行する教科書傍用問題集です。教科書で学んだ内容を定着させることを目的としており、全国の多くの進学校で採用されています。その名の通り、問題がA、B、発展問題といったステップに分かれており、基礎から応用まで段階的に学力を引き上げられるように設計されています。
| 書名 | 数学Ⅱ+B スタンダード 4STEP |
| 著者 | 数研出版編集部 |
| 対象レベル | 教科書基礎~大学入学共通テスト・中堅私大レベル |
| 値段 | 学校採用専売品(解答編は別途購入の場合が多い) |
| 公式リンク | 数研出版公式サイト |
本書は、各単元が以下の4段階のレベルで構成されています。
Step A:教科書の例題レベル。まずはここを完璧にすることが全ての土台になります。
Step B:教科書の練習問題・章末問題レベル。Aで学んだ解法を正しく運用できるかを確認します。
発展問題:入試の基本~標準レベル。Step Bまでの知識を組み合わせて解く問題が多く、思考力が問われます。
演習問題:各章の最後に配置された総合問題。実際の入試問題から抜粋されたものも多く含まれます。
【塾講師のコメント】
この段階的な構成は、自分のレベルに合わせて学習を進めやすいという大きなメリットがあります。一方で、多くの生徒が「とりあえず宿題で出されたB問題だけやる」という使い方をしてしまいがちです。しかし、真の学力はA問題を「なぜこの解法なのか」と理解し、B問題で試し、発展問題で応用する、という一連の流れを経て身につきます。構成の意図を理解して使うことが重要です。
基礎から標準レベルまでを幅広くカバーしています。具体的には、教科書の内容を完璧に理解したい生徒から、大学入学共通テストで平均点以上を目指す、あるいは日東駒専・産近甲龍レベルの大学入試に対応できる基礎力をつけたい生徒に最適なレベルと言えます。
この問題集を完璧にすることで、「典型問題の解法パターンを網羅的にインプット」することができます。つまり、見たことのある問題は確実に解ける、という状態を目指せます。以下のような人におすすめです。
・学校の授業の予習・復習をしっかりやりたい人
・定期テストで高得点を取りたい人
・受験勉強の第一歩として、まず基礎を固めたい人
最も効果的な使い方は「反復練習」です。最低でも3周は繰り返しましょう。
1周目:まずは自力で解いてみる。分からなくてもすぐに答えを見ず、5分は考える癖をつけましょう。解けなかった問題には「×」などの印をつけます。
2周目:「×」がついた問題のみを解き直します。ここで解ければ「△」に格上げ。
3周目以降:「×」や「△」の問題がなくなるまで繰り返します。最終的には、全ての問題を「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるレベルを目指しましょう。
『4STEP』の最大の強みは、「教科書との完全準拠」と「圧倒的な網羅性」にあります。学校の授業進度と完全にリンクしているため、予習・復習が非常にスムーズです。また、問題数が豊富で、典型的な解法パターンをほぼ全てカバーしているため、「この一冊をやり込めば、基礎で抜けている部分はない」という安心感を得られます。
学校採用の教科書傍用問題集には、『サクシード』や『クリアー』といった強力なライバルが存在します。ここでは、これらの問題集と『4STEP』を比較してみましょう。
| 比較項目 | 本書(4STEP) | (サクシード) | (クリアー) |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 段階的ステップアップ | A/Bの2段階構成で標準的 | シンプルで反復練習向き |
| 難易度 | 発展問題がやや骨太 | 全体的に標準的 | 基礎・基本問題が中心 |
| 問題量 | 多い | 非常に多い | 標準的 |
| 解答解説 | 比較的丁寧(別冊) | やや簡潔(別冊) | 簡潔(別冊) |
【塾講師のコメント】
正直なところ、この3冊に決定的な学力差がつくほどの違いはありません。どれを使うかよりも、「いかに一冊を完璧に仕上げるか」が重要です。もし学校で指定されているなら、迷わずそれを使い込みましょう。もし選べる立場なら、発展問題までしっかり挑戦したいなら『4STEP』、とにかく問題量をこなしたいなら『サクシード』、基礎の反復を重視するなら『クリアー』という選び方が一つの目安になります。
最大の注意点は、**「解答解説が別売り(または学校経由での配布)である」**ことです。本体だけでは答えしか載っておらず、学習効率が著しく低下します。必ず詳しい解説が載った解答編を手に入れてください。また、本書はあくまで教科書レベルの理解を前提としているため、授業内容が全く分からない状態から始めると苦戦する可能性があります。まずは教科書をしっかり読み込むことが大前提です。
実際に使っている生徒さんからは、様々な声が聞かれます。
“学校の授業と並行して進めやすいのが良い。定期テスト前はStep AとBを徹底的にやると、かなり点数が取れるようになった。”
“問題数が多くて大変だけど、これを3周したら数学の基礎体力みたいなものがついた実感がある。”
“解説が別売りなのが不便すぎる。しかも、解答を見てもなぜそうなるのか分からない時がたまにある。”
“これだけだと難関大学の入試には全く歯が立たない。あくまで基礎固め用だと思う。”
この一冊だけで大学受験は戦えますか?
目指す大学のレベルによります。共通テストや中堅私立大学であれば、この一冊を完璧にすれば合格レベルの基礎力は身につきます。しかし、GMARCHや国公立二次試験、早慶上智といった難関大学を目指す場合は、この後に『青チャート』や『Focus Gold』などの網羅系参考書、さらには『重要問題集』や『スタンダード演習』といった入試演習書に進む必要があります。『4STEP』はあくまでその土台作りと位置づけましょう。
問題が難しくて進めません。どうすればいいですか?
まずは、該当範囲の教科書をもう一度じっくり読み直しましょう。それでも分からなければ、Step Aの問題に絞って取り組んでみてください。Step Aは解法の基本パターンそのものです。それが理解できていないとBや発展問題は解けません。焦らず、自分のレベルに合ったステップから完璧にしていくことが、結果的に一番の近道です。
『4STEP 数学Ⅱ+B』は、教科書レベルの知識を定着させ、入試数学の基礎体力を養成するための優れた問題集です。特に、学校の授業をベースに学習を進め、定期テストでしっかりと結果を出したいと考えている高校生にとっては、これ以上ない相棒となるでしょう。
一方で、その真価を発揮するには「詳しい解答解説の入手」と「徹底した反復練習」が不可欠です。学校で配られたからと惰性で使うのではなく、明確な目的意識を持って取り組むことで、あなたの数学力を着実に引き上げてくれる一冊です。