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今回は、多くの難関大学受験生から支持を集める『速読英単語 上級編』単なる単語暗記にとどまらず、英文を読み解く「速読力」と「精読力」を同時に鍛えることは可能なのか。その効果的な使い方から、ライバル参考書との比較まで、多角的に分析していきます。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | 速読英単語(1)上級編[改訂第4版] |
| 著者 | 風早 寛 |
| 対象レベル | 難関国公立・早慶上智・医学部志望者 |
| 値段 | 1,650円(税込) |
本書の最大の特徴は、実際の入試で出題された質の高い英文を読みながら、文脈の中で英単語を覚えていく「速読・速聴」のコンセプトにあります。ページの左側に長文、右側にその長文で使われている単語リストというレイアウトが基本です。これにより、単語の「意味」だけでなく「使われ方」まで自然にインプットできる設計になっています。収録されている英文は、社会・文化・科学など、難関大学で頻出のテーマを網羅しており、背景知識の習得にも役立ちます。
【塾講師のコメント】
多くの受験生が単語帳を「覚える作業」として苦痛に感じますが、この本は「英文を読む」という能動的な行為の中に単語学習を組み込んでいるのが素晴らしい点です。英文を読むのが好きな生徒ほど、楽しく続けられる傾向にありますね。ただし、英文自体のレベルが高いので、読むのが苦痛にならない程度の読解力は前提として必要です。
本書は、大学受験英単語帳の中でも最上位に位置します。共通テストで9割以上を安定して得点でき、日東駒専・産近甲龍レベルの単語帳(例:システム英単語Basic、ターゲット1400など)を完璧に習得していることがスタートラインです。偏差値で言えば、最低でも60以上、できれば65程度の実力がある受験生が、さらなる高みを目指すために使用する教材と言えるでしょう。
この参考書をやり遂げることで、東大・京大・早慶といった最難関大学の長文でも、語彙で困ることはほとんどなくなります。抽象度の高い評論文や、専門的なテーマの英文を読むための「語彙力」と「速読力」が同時に身につきます。
▼こんな受験生におすすめ
・標準的な単語帳を1冊完璧に仕上げた人
・長文読解の中で語彙を増やしていきたい人
・単語の丸暗記が苦手な人
・最難関大学の入試で高得点を狙う人
ここでは、同じく難関大受験生に人気の高い『システム英単語』と『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』を競合として比較分析します。
| 比較項目 | 本書 | システム英単語 | 鉄壁 |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 長文の中での語彙習得 | データ重視・頻度順 | 語源・テーマ別での網羅 |
| 暗記法 | 文脈・速読 | ミニマルフレーズ | 語源・イラスト・関連付け |
| 読解力向上 | 非常に高い | 間接的(語法重視) | 間接的(精読重視) |
| 効率性 | 時間はかかる | 非常に高い | 時間はかかるが網羅性◎ |
| 推奨開始時期 | 高3夏まで | 全学年 | 高2〜高3春 |
【塾講師のコメント】
どの単語帳も素晴らしいですが、タイプが全く異なります。『システム英単語』は効率最優先、『鉄壁』は知の体系化、『速単 上級編』は実践力養成、と考えると分かりやすいでしょう。自分の性格や学習スタイルに合わせて選ぶのが一番です。例えば、長文読解の演習も兼ねたいなら『速単』、単語だけを短期間で詰め込みたいなら『シス単』、単語を根本から理解したいなら『鉄壁』がおすすめです。
本書を効果的に使うためには、最低でも標準レベルの英単語帳(例:ターゲット1900、システム英単語など)を1冊マスターしていることが絶対条件です。また、基本的な英文法・英文解釈の知識がなければ、左ページの英文を読み解くこと自体が困難になります。基礎が固まっていない状態で手を出すと、消化不良を起こし、かえって学習効率が落ちるため注意が必要です。「上級編」という名前の通り、あくまで基礎力を応用力に昇華させるための教材と認識してください。
“掲載されている長文のテーマが面白く、飽きずに続けられました。気づいたら難しい単語がスラスラ読めるようになっていて、過去問演習で効果を実感しました。(早稲田大学 合格)”
“音声と一緒に学習することで、リーディング力だけでなくリスニング力も上がりました。特にシャドーイングは効果絶大です。(京都大学 合格)”
“高2の冬に手を出しましたが、英文が難しすぎて挫折しかけました。基礎的な単語力と読解力がないと厳しいと思います。(私立医学部 志望)”
この1冊だけで難関大の語彙は万全ですか?
はい、この1冊を完璧にすれば、ほとんどの大学で語彙がネックになることはないでしょう。ただし、過去問演習で出会った未知の単語を随時追加していく姿勢は重要です。
1周するのに、どれくらいの期間がかかりますか?
1日1長文のペースで進めると、約2ヶ月で1周できます。重要なのは周回数なので、最低でも3周は繰り返したいところです。速読・精読・音読・単語暗記をセットで行うため、1つの長文に45〜60分程度の時間を確保するのが理想です。
『速読英単語 上級編』は、単なる暗記作業に終始しない、非常に実践的な単語帳です。長文読解というアウトプットを意識しながら語彙をインプットできるため、知識が定着しやすく、読解力そのものの向上に直結します。
ただし、その効果を最大限に引き出すには、相応の基礎学力が不可欠です。英文を読むこと自体に楽しみを見出せ、腰を据えて長文と向き合える、知的好奇心の旺盛な受験生にこそ、最適な一冊と言えるでしょう。この参考書を使いこなせれば、難関大学の合格は大きく近づくはずです。