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今回は、多くの受験生から絶大な支持を得ている「漢文早覚え速答法 共通テスト対応版」について、その実力を徹底的に分析します。最小限の努力で共通テスト漢文を攻略するためのバイブル的存在ですが、本当にこれだけで大丈夫なのでしょうか?他の参考書との比較も交えながら、その効果的な使い方と注意点に迫ります。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
「漢文早覚え速答法」は、「いかに少ない知識で、いかに速く、いかに確実に得点するか」という点に特化した、非常に効率重視の参考書です。特に共通テストで求められる「句法を正確に読み解く力」を、最小限の暗記事項で身につけられるように設計されています。
| 書名 | 漢文早覚え速答法 共通テスト対応版 |
| 著者 | 田中 雄二 |
| 対象レベル | 漢文初学者〜共通テスト8割以上目標 |
| 値段 | 1,540円 (税込) ※2025年10月時点 |
| 公式リンク | 学研出版サイト |
本書の最大の特徴は、漢文を解くために必要な知識を「これだけ覚えればよい」と明確に示している点です。構成は大きく分けて以下の3部から成ります。
第1部 いがよみの公式:漢文訓読の基礎となる「いがよみ」という独自のメソッドを学びます。
第2部 句法編:最重要の句法10個と、その他の重要句法を、非常に覚えやすい形で解説しています。
第3部 実戦編:共通テストの過去問をベースにした演習問題で、学んだ知識のアウトプット方法を確認します。
【塾講師のコメント】
この参考書の構成は、受験生が「何を」「どの順番で」やればいいのか迷わないように、完璧に設計されています。特に、膨大な漢文の知識をたった10個の句法に絞り込んでいる点は画期的です。これにより、多くの受験生が抱く「漢文は何から手をつければ…」という悩みを一発で解決してくれます。
漢文を全く学習したことがないゼロの状態から、共通テストで安定して8割~満点を狙えるレベルまで引き上げてくれます。ただし、そのアプローチは共通テストに特化しているため、国公立二次試験や難関私大で求められるような、深い読解や記述・解釈が必要な問題への対応力は、この一冊だけでは不十分です。
この参考書をマスターすることで、「共通テストレベルの漢文であれば、返り点や句法で迷うことなく、スピーディに内容を把握できる力」が身につきます。
<こんな人におすすめ>
・漢文アレルギーを持っている、何から始めればいいか分からない人
・理系などで、国語(特に漢文)に多くの勉強時間を割けない人
・短期間で漢文の得点を安定させたい人
・他の参考書で挫折した経験がある人
1. 「いがよみ」を完璧にする:まずは第1部を読み込み、漢文訓読の基本ルールを頭に入れます。
2. 句法を暗記する:第2部で紹介されている句法を、例文ごと音読しながら覚えます。「なぜそうなるか」より「この形ならこう訳す」という割り切りが重要です。
3. 演習と復習を繰り返す:第3部の問題を解き、間違えた部分は第2部に戻って確認します。この往復作業を繰り返すことで、知識が定着します。
本書の最大の強みは、その「割り切り」と「効率性」にあります。多くの参考書が網羅性を目指す中で、「早覚え速答法」は「点を取るために不要な知識はバッサリ切り捨てる」という明確なコンセプトを貫いています。これにより、受験生は迷うことなく、最短ルートでゴールにたどり着くことができます。特に「いがよみ」というネーミングとメソッドは、一度覚えたら忘れにくい、非常に優れた発明と言えるでしょう。
漢文の基礎を固める参考書は他にもあります。ここでは代表的な2冊と比較してみましょう。
| 比較項目 | 本書 | ステップアップノート10 | 漢文ヤマのヤマ |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 最小知識で最大効率 | ドリル形式で反復演習 | 網羅的な講義と解説 |
| 句法/句形の数 | 最重要10個+α | 基本10個 | 重要66個 |
| 学習スタイル | インプット重視 | アウトプット(演習)重視 | 講義理解→インプット |
| おすすめな人 | 時間がない・超初心者 | 手を動かして覚えたい人 | じっくり取り組みたい人 |
【塾講師のコメント】
どの参考書も素晴らしいですが、選び方が重要です。「早覚え速答法」はとにかく時間がない人向け。「ステップアップノート」は手を動かしてドリルを解くのが好きな人向け。「ヤマのヤマ」は時間に余裕があり、漢文を得点源にしたい人向け、と考えると良いでしょう。自分の性格と残り時間で選ぶのがベストです。
前提知識:特に必要ありません。ゼロから始められるように書かれています。
注意点:本書はあくまで「共通テストで点を取る」ための特効薬です。これを終えたら、必ず共通テストの過去問やマーク式問題集に接続し、実戦演習を積む必要があります。「早覚え速答法を1周したから安心」とは考えないようにしましょう。
「あれだけ苦手だった漢文が、模試で満点取れるようになった。本当に感謝しかない。特にいがよみが分かりやすかった。」
「理系で国語に時間をかけたくなかったので、この本を選んだ。2週間で1周できて、面白いように点が取れるようになったのでコスパ最強です。」
「あまりに内容が絞られているので、本当にこれだけで大丈夫か少し不安になった。演習量は別途確保する必要がある。」
「二次試験で漢文が必要な人には、これだけだと少し物足りないかもしれない。あくまで共通テスト対策と割り切るべき。」
この1冊だけで、共通テストの過去問に入って大丈夫ですか?
はい、問題ありません。本書のコンセプトは、最速で過去問演習に入れるレベルに到達することです。本書で句法を一通りインプットしたら、どんどん過去問を解き、分からなかった部分を本書で確認するという使い方を推奨します。
改訂前の古い版でも使えますか?
本書の根幹をなすメソッドは変わっていませんが、最新の「共通テスト対応版」は、近年の出題傾向に合わせて練習問題などがアップデートされています。これから購入されるのであれば、必ず最新版を選ぶようにしてください。
「漢文早覚え速答法」は、単なる参考書ではなく、「時間対効果を最大化するための戦略書」です。共通テストの漢文という明確なターゲットに対し、考え抜かれた最短ルートを提示してくれます。
もしあなたが、
・漢文は苦手だが、共通テストでは絶対に足を引っ張りたくない
・数学や理科、社会など、もっと時間をかけるべき科目が他にある
・参考書選びでこれ以上悩みたくない
と考えるなら、本書はあなたのための最適な一冊となるでしょう。この本を信じてやり込めば、漢文は「苦手科目」から「得点源」に変わる可能性を十分に秘めています。