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今回は、数ある英文法の参考書の中でも特に「わかりやすさ」で絶大な人気を誇る、関正生先生の『世界一わかりやすい英文法・語法の特別講座』について、その実力を徹底的に分析していきます。「英文法が苦手で何から手をつければいいかわからない」「丸暗記の勉強法に疲れてしまった」そんな悩みを抱える高校生の皆さんにとって、この記事が最適な一冊を見つけるための羅針盤となれば幸いです。

慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
| 書名 | 大学入試 世界一わかりやすい 英文法・語法の特別講座 |
| 著者 | 関 正生 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 対象レベル | 中学復習レベル~大学入試基礎 |
| 値段 | 2,090円(税込) |
| 公式リンク | [出版社の書籍紹介ページへ] |
本書の最大の特徴は、その名の通り「わかりやすさ」を極限まで追求した講義形式の構成にあります。著者の関先生が展開する「なぜそうなるのか?」という根本原理の説明は、多くの受験生が陥りがちな「英文法の丸暗記」から解放してくれるでしょう。各章は見開きで完結する構成になっており、左ページに講義、右ページに確認問題というシンプルなレイアウトで、テンポよく学習を進めることができます。
本書は、中学レベルの英文法に不安がある高校生から、大学入試の基礎固めをしたい受験生まで、非常に幅広い層に対応しています。偏差値で言えば、40~55程度の学習者がメインターゲットとなります。英文法の初学者や、一度挫折してしまった経験のある生徒が、本格的な受験勉強に入る前の「最初の1冊」として使うのに最適なレベル設定です。
この参考書を終えることで得られるのは、断片的な知識の暗記ではなく、「英文法の核(コア)」となる考え方です。時制や仮定法、関係詞といった受験生を悩ませる分野も、その根本的なルールから理解できるため、応用力が身につきます。
特におすすめなのは、以下のような高校生です。
・英文法アレルギーを持つ生徒
・丸暗記の学習法に限界を感じている生徒
・本格的な問題演習に入る前に、英文法の全体像を掴みたい生徒
本書の効果を最大化するためには、ただ読むだけでなく、以下のステップを意識すると良いでしょう。
1. 講義パートをじっくり読む:まずは関先生の講義に集中し、「なぜ?」を徹底的に理解します。自分の言葉で説明できるかを確認しながら読み進めるのがコツです。
2. 確認問題を解く:講義で理解した内容が定着しているか、右ページの問題で確認します。間違えた問題は、すぐに左ページの解説に戻って復習しましょう。
3. 音声ダウンロードを活用する:付属の音声データを使い、例文の音読を繰り返すことで、知識の定着だけでなく、リスニング力や速読力の向上にも繋がります。
本書の最大の強みは、著者が一貫して提唱する「丸暗記からの解放」というコンセプトにあります。他の多くの参考書がルールの羅列に終始しがちなのに対し、本書は常に「ネイティブの感覚」や「ルールの本質」に立ち返って解説を展開します。これにより、学習者は単なる知識としてではなく、生きた言葉のルールとして英文法を捉えることができるようになります。
【塾講師のコメント】
多くの生徒が英文法でつまずくのは、「例外」や「細かなルール」を最初に叩き込まれ、全体像が見えなくなるからです。この参考書は、まず英語の大きな幹となる部分を理解させてくれるので、その後の枝葉の知識(細かい文法事項)が非常にスムーズに頭に入ってきます。特に、スタディサプリで関先生の授業を受けている生徒にとっては、授業の感動をそのまま書籍で追体験できるため、学習効果が非常に高いと言えるでしょう。
英文法の基礎を学ぶ上で、本書としばしば比較される参考書がいくつかあります。ここでは代表的な2冊を取り上げ、その違いを明確にします。
| 比較項目 | 本書 | 肘井学の ゼロから英文法 | Next Stage |
|---|---|---|---|
| コンセプト | 「なぜ?」を解消し、英文法の核を理解する講義形式。 | 1つのテーマを見開きで完結させ、図解を多用した超丁寧な講義形式。 | 頻出の文法・語法問題を網羅し、左ページ問題・右ページ解説で効率的に演習。 |
| 解説の詳しさ | 非常に詳しい(特に本質の部分) | 本書と同等以上に丁寧で、初学者に寄り添う。 | 簡潔でポイントがまとまっているが、初学者には不親切な部分も。 |
| 問題量 | 少ない(各講義に数問) | 非常に少ない(各テーマに1問) | 非常に多い(約1500問) |
| 到達レベル | 日東駒専・共通テスト基礎レベル | 中学復習~日東駒専レベル | 共通テスト~GMARCH・関関同立レベル |
| おすすめな人 | 理屈で納得したい初学者 | とにかく丁寧な解説で始めたい超初学者 | 基礎知識があり、演習量を積みたい受験生 |
本書は「理解」に特化しているため、知識を定着させ、入試で点を取るための「演習量」は絶対的に不足しています。この1冊を終えただけで、英文法の問題が全て解けるようになるわけではありません。必ず、『Next Stage』や『Vintage』、あるいは『英文法ポラリス』シリーズのようなアウトプット用の問題集に接続する必要があります。
【塾講師のコメント】
「インプット(理解)」と「アウトプット(演習)」は車の両輪です。本書は最高のインプット教材ですが、それだけで満足しないように計画を立てることが重要です。具体的には、本書を1ヶ月で終わらせ、その後2~3ヶ月かけて問題集を3周する、といった具体的な学習計画を立ててから取り組むことを強くお勧めします。
実際に本書を利用した受験生からは、様々な声が寄せられています。
“今まで参考書を何冊も買っては挫折していたけど、この本だけは最後まで読み通せました。何より読んでいて面白いし、納得感がすごい。まさに目からウロコでした。”
“仮定法のページを読んで感動しました。なぜ過去形を使うのか、という根本的な理由がわかって、今までモヤモヤしていたものが一気に晴れた感覚です。”
“わかりやすいのは間違いないけど、問題が簡単すぎて物足りない。これをやった後、すぐに入試問題が解けるようになるわけではないので注意が必要。”
この本を終えたら、次はどの参考書に進めばいいですか?
あなたの志望校のレベルによりますが、大きく2つのルートが考えられます。1つは『Next Stage』や『Vintage』のような網羅系の問題集で演習量を確保するルート。もう1つは、同じ関先生の『大学入試問題集 関正生の英文法ポラリス』シリーズに進み、より実践的な問題に取り組むルートです。前者はGMARCH以上、後者は共通テスト~GMARCHレベルを目指す生徒におすすめです。
何周くらいするのが理想的ですか?
本書は講義形式なので、何周も読み込むというよりは、「1周目で全体を深く理解し、2周目で知識の漏れがないか確認する」という使い方が効率的です。問題を解いて間違えた箇所や、理解が曖昧な章だけを繰り返し復習すると良いでしょう。重要なのは、この本を完璧にすることよりも、早く次のアウトプット教材に進むことです。
『世界一わかりやすい英文法・語法の特別講座』は、その名の通り、英文法が苦手な受験生にとって最高の「救世主」となりうる一冊です。「なぜ?」という根本原理から解説することで、丸暗記に頼らない本質的な理解を促してくれます。
結論として、この参考書は以下のような高校生に強くおすすめします。
・英文法をゼロから、あるいは中学レベルからやり直したいと考えている全ての高校生
・他の参考書で挫折した経験があり、今度こそ英文法を得意にしたいと願う生徒
・知識の詰め込みではなく、「理解」を重視した学習を進めたい生徒
一方で、すでにある程度の文法知識があり、どんどん問題を解いて実力を伸ばしたい受験生には、少し物足りないかもしれません。自身の現在の学力と学習の目的に合わせて、最適な一冊を選び抜くことが、合格への最短ルートとなります。