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この記事では、慶應義塾大学法学部を志望する受験生を対象に、一般選抜における英語科目の難易度、出題傾向、そして具体的な対策法について解説します。


慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり。
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!
まず、対象となる試験の基本的な構造を把握することが不可欠です。以下に、公表されている試験情報を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時間 | 80分 |
| 配点 | 200点(総点400点中) |
| 解答形式 | 全問マークシート方式 |
| 大問構成 | 例年、大問4〜5題構成。長文読解、会話文、文法・語彙問題などが出題。 |
| 目標得点率 | 受験者平均が55〜60%前後で推移することが多く、合格のためには最低でも65%、得意な受験生は75%以上を目指したいラインとされています。 |
【塾講師のコメント】
特筆すべきは、総点400点のうち英語が200点を占めるという配点の高さです。これは、大学側が英語運用能力を極めて重視していることの現れに他なりません。英語の出来が合否に直結する試験設計であると断言できます。また、80分という試験時間に対して問題量が多いことから、高度な情報処理能力と時間管理能力が同時に問われる、厳しい試験であると分析します。
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「慶應法の英語は難しい」と一言で言われますが、その要因は複合的です。ここでは難易度を構成する4つの要素に分解して解説します。
標準的な大学受験向け単語帳(例:『ターゲット1900』)のレベルを超える、英検準1級~1級レベルの高度な語彙が注釈なしで多数用いられることが公に知られています。特に、法律、政治、社会問題に関連する専門的な単語が登場する傾向があります。
これは単なる暗記量の勝負を意味するものではありません。文脈から未知の単語の意味を推測する能力が強く求められています。基礎語彙の磐石な定着はもちろんのこと、接頭辞・接尾辞の知識や、抽象的な概念を読み解く思考力がなければ、本文の意味を正確に捉えることは困難でしょう。
800~1000語程度の長文が出題の中心となります。テーマは法律、政治、国際関係、社会学、哲学など、抽象的で硬質なものが大半を占めます。設問形式は、内容一致、空所補充、同意表現選択など多岐にわたります。
単に速く読めるだけでは不十分です。文章全体の論理構造(対比、因果関係、具体例など)を正確に把握し、設問の意図を汲み取って本文の情報と照合する、精緻な読解力が要求されます。選択肢も巧妙に作られており、本文の内容を少しだけ言い換えたり、一部だけが正しかったりするなど、安易な消去法を許さない設計になっています。これは、表面的な読解ではなく、批判的思考力(クリティカル・シンキング)を試す意図があると見られます。
長文読解だけでなく、独立した大問として、あるいは長文中の設問として、高度な文法・語法問題や、近年では減少傾向にありますが発音・アクセント問題が出題されることがあります。特に、複数の選択肢の中から誤りを含むものを選ぶ「正誤問題」は、多くの受験生を悩ませる形式として知られています。
これらの問題は、付け焼き刃の知識では対応が困難です。文法の体系的な理解と、細かな語法のニュアンスまで踏み込んだ学習が求められます。特に正誤問題は、文法的に正しいかどうかを全ての選択肢で検討する必要があるため、解答に時間がかかりやすく、時間配分を狂わせる一因となり得ます。
前述の通り、試験時間は80分です。高度な語彙と複雑な論理展開の長文を複数読みこなし、多様な設問に解答するには、極めてタイトな時間設定です。
この時間制約は、受験生の英語処理能力の「速度」と「正確性」を同時に測るためのものです。一つの問題に固執すると、残りの問題に取り組む時間がなくなるというプレッシャーの中で、冷静に判断を下す精神的な強さも試されています。どの問題から解くか、一問にどれくらいの時間をかけるかといった、事前の戦略設計が合否を分ける重要な要素となります。
上記の分析を踏まえ、効果的な学習戦略を構築するための注意点と対策を以下に提示します。
・語彙力は「質」と「量」の両面から強化する:標準的な単語帳を完成させるのは最低条件です。その上で、より高レベルな単語帳(例:Z会『リンガメタリカ』、旺文社『英検準1級 でる順パス単』など)に進むことが推奨されます。同時に、未知の単語に遭遇した際に意味を類推する訓練を、日頃の長文演習を通じて意識的に行うことが重要です。
・「精読」と「多読」のバランスを取る:一文一文の構造を正確に分析する「精読」の訓練で読解の精度を高めつつ、時間を計って多くの英文に触れる「多読」で処理速度を向上させる必要があります。特に、法学部が好む社会科学系のテーマの英文に数多く触れ、背景知識を蓄積することも有効な対策となります。
・時間配分を意識した過去問演習:遅くとも高校3年生の秋からは、本番と同じ80分という時間制限の中で過去問を解く演習を繰り返すべきです。自分の得意・不得意な問題形式を把握し、「大問1には20分、大問2には15分…」といった自分なりの時間配分戦略を確立することが求められます。
・他学部との比較:よく比較される経済学部は自由英作文が出題される年度があるなど、求められる能力が異なります。法学部は純粋な読解力と知識の精度が問われる傾向が強いと言えます。併願を考える際は、各学部の出題形式の違いを正確に理解し、対策を調整する必要があります。
実際の受験生や合格者から聞かれる代表的な評価を、ポジティブ・ネガティブの両面からみてきます。
ポジティブな評判「難しいが、奇問・悪問は少ない。しっかり対策すれば実力通りに得点できる良問が多いと感じた。」 「社会問題に関心があったので、長文のテーマが知的で面白く、解きごたえがあった。」 |
ネガティブな評判「とにかく時間が足りない。最後まで解ききれず、焦ってミスを連発してしまった。」 「知らない単語が多すぎて、長文の内容が全く頭に入ってこなかった。単語帳一冊では歯が立たない。」 |
【塾講師のコメント】
評価は「正統派の難問」であるという点で一貫しています。対策を積んだ受験生は実力が発揮できると感じる一方、準備不足の受験生は時間や語彙の壁に圧倒される傾向が顕著です。これらの声は、本レポートで分析した特徴を裏付けるものと言えます。
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慶應の法学部と経済学部の英語は、どちらが難しいですか?
一概に優劣をつけるのは困難ですが、「難しさの質が異なる」と分析するのが最も正確です。法学部は語彙レベルが高く、硬質な長文の精密な読解力が問われる「読解型」の難しさです。一方、経済学部は長文の難易度は法学部よりやや穏やかですが、自由英作文(年度による)が課されるなど「発信力」も問われます。ご自身の得意・不得意(読むのが得意か、書くのが得意か)によって、体感的な難易度は変わるでしょう。
塾や予備校に行かずに、独学で合格することは可能ですか?
結論から言うと、不可能ではありませんが、極めて高い自己管理能力と戦略性が要求されます。合格に必要な学習量と質を客観的に把握し、適切な参考書を選び、ペース配分を間違えずに実行できるのであれば可能性はあります。しかし、慶應法学部の英語は、時間配分や設問へのアプローチ法など、専門的な指導によって効率化できる部分が多いのも事実です。独学で行き詰まりを感じた場合や、より合格の確度を高めたい場合は、予備校などを活用することも合理的な選択肢の一つです。
以上、慶應義塾大学法学部の英語について多角的に分析しました。最終的な要点を以下にまとめます。
これを踏まえ、慶應義塾大学法学部の英語は、以下のような受験生像と親和性が高いと結論付けられます。
・地道な単語暗記を苦としない、継続力のある人。
・文章の論理構造を考えるのが得意な、思考力のある人。
・社会科学系の硬質な文章を読むことに知的好奇心を持てる人。
・プレッシャー下でも冷静に時間管理ができる人。
・感覚や雰囲気で英文を読んでしまう人。
・基礎的な語彙や文法の定着が曖昧な人。
・一つの問題に悩み込み、時間を忘れてしまう人。
・長文読解に対して強い苦手意識がある人。
慶應義塾大学法学部が求めるのは、単なる英語の得意な生徒ではなく、英語というツールを用いて、複雑で高度な知的情報を取り扱い、思考できる人材といえます。正しい対策方法で効率的に勉強を進めましょう!