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「選択と集中」という言葉を耳にしたことはありますか?
これはオーストリア出身の経営学者、ピーター・ドラッカーが提唱した経営戦略で、「限られた経営資源を最も成果が出る分野に集中させるべきだ」という考え方です。
この戦略を実行に移して成功したのが、ゼネラル・エレクトリック(GE)の元CEO、ジャック・ウェルチ。彼は市場で勝てる見込みのある事業に経営資源を集中し、それ以外は思い切って縮小・撤退。結果として、GEは大きく成長し、「選択と集中」は世界的に広まりました。
私の話をします。
中学生の頃から、両親は口をそろえて「国公立大学に進学しなさい」と言ってきました。理由を尋ねても明確な答えはなく、「学費が安いから」「世間体が良いから」といった曖昧なものでした。
当時の私にとって、愛知県内の国公立大学といえば、名古屋大学、名古屋市立大学、名古屋工業大学くらいしか知りませんでした。これらの大学に進学するには、共通一次試験(現在の共通テスト)を受ける必要があり、さらに「足切り」という制度もありました。
理系科目、特に数学が苦手だった私にとって、この制度と向き合うのは大きなストレスだったのです。
ある日、父にこう相談しました。
「苦手科目に時間を使うよりも、好きで得意な科目に集中して難関私大を目指したい」
父は私の成績を見て、既に限界に気づいていたのでしょう。「ほお、それは“選択と集中”だな」とうなずいてくれました。その一言に救われた気がしました。
こうして私は、私立大学に照準を合わせ、受験科目を絞って再スタートを切ることになったのです。
ところが、模試を受けてみると衝撃の結果が。
「好きな科目=得意な科目」ではないことに気づかされたのです。
このとき、私はようやく本当の意味での「選択と集中」と向き合うことになりました。
つまり、「選ぶ前に、その科目で戦える実力があるかどうかを把握すること」が何より大事だと知ったのです。
GEも同じです。ジャック・ウェルチが集中した事業は、すでに他社に負けない実績とシェアを持っていたからこそ、集中する価値があったのです。
受験においても、「選ぶ」だけでは足りません。
選んだ科目を、合格を勝ち取れるレベルに育てる努力が必要です。
好きな科目に向き合い、弱点を克服し、実力をつける。その積み重ねがあって初めて、「選択と集中」は本当の力を発揮するのだと思います。
選択と集中は魔法の戦略ではなく、「土台となる実力を伴ってこそ活きるもの」なのです。
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