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2025年08月06日 一般-その他

【塾講師が解説】 作業興奮とは?誰でもできる時間効率化術

【塾講師が解説】
作業興奮とは?誰でもできる時間効率化術

「よし、勉強するぞ!」と机に向かったのに、ついスマホを見て気づけば1時間…。
そんな君に、脳科学に基づいた「最初の5分」を乗り切るための超具体的なテクニックをコーチングします。

この記事を書いた人

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慶應義塾大学経済学部経済学科3年生。
スタディコーチで勤務をしており、それ以前も小学生~大学受験生まで幅広い指導経験あり
受験生の皆さんが損しないよう、お役立ち情報を日々発信していきたいと思っています!

 なぜ、「とりあえず始める」だけでやる気が出るのか?

多くの人が「やる気が出たら、行動できる」と考えていますが、実は脳の仕組みは逆。「行動するから、やる気(関連する感情)が生まれる」のです。この現象を「作業興奮」と呼びます。

私たちの脳の中心部近くにある「側坐核(そくざかく)」という部分は、何か行動を始めることで刺激され、やる気を引き出す神経伝達物質「ドーパミン」を分泌します。しかし、この側坐核はすぐには働き始めません。エンジンがかかるまでに5分〜10分程度の「アイドリング」が必要なのです。

ポイント: 受験勉強で一番エネルギーを使うのは「ゼロからイチへ」の瞬間。この最初のひと押しを、意志の力ではなく「仕組み」で乗り越えるのが作業興奮を利用した勉強術のゴールです。

つまり、「やる気がない…」と感じるのは、あなたの意志が弱いからではなく、脳のエンジンのかけ方を知らないだけ。これからその具体的な方法を見ていきましょう。

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 そのやり方、逆効果かも? よくある失敗例

「よし、やるぞ!」と思っても、なぜか始められない…。それは、無意識にこんな行動をとっているからかもしれません。「自分だけじゃなかったんだ」と安心してくださいね。

  • 「やる気待ち」で時間だけが過ぎる
    「気分が乗ってきたら始めよう」と、SNSをチェックしたり動画を見たり…。結局、脳が興奮状態になってしまい、勉強モードから遠ざかってしまいます。
  • 初手から「ラスボス(苦手科目)」に挑む
    「一番苦手な数学から片付けよう!」といきなり難問に手をつける。高すぎる壁を前に、脳が拒否反応を起こしてしまい、取りかかることすらできません。
  • 「完璧な計画」を立てて満足してしまう
    「今日は8時間勉強するぞ!」と意気込み、分刻みの完璧なスケジュールを作成。しかし、計画通りに進まずに自己嫌悪に陥り、結局何も手につかなくなります。

 時間を無駄にしないための作業興奮スタート術・4ステップ

ここからが本題です。意志の力に頼らず、脳を自然と勉強モードに切り替えるための具体的な手順を4つのステップで解説します。この通りに真似するだけでOKです!

【ステップ1】「ゼロ秒スタート」できる環境を作る

行動を妨げる最大の敵は「迷い」です。前日の夜、寝る前の3分間で、翌朝のスタートを準備しましょう。

  • 机の上には、明日一番にやる教材1冊だけを置く。(例:英単語帳、計算ドリルなど)
  • 筆記用具(シャーペン、消しゴム、赤ペン)も揃えておく。
  • スマホは、カバンの中やリビングなど、すぐに手が届かない場所に置く。

目的:朝、椅子に座った瞬間に「何をしようかな?」と考える隙を与えず、迷いなく最初の行動に入れるようにするためです。

【ステップ2】「5分タイマー」で脳を騙す

机に座ったら、スマホやキッチンタイマーで「5分」をセットします。そして、自分にこう言い聞かせます。

「この5分だけは、目の前のこと以外やらない」

目的:「5時間勉強する」と考えると脳は抵抗しますが、「たった5分」なら心理的なハードルが劇的に下がります。これが脳のエンジンをかけるための着火剤になります。

【ステップ3】「超低ハードル課題」から始める

最初の5分で取り組むのは、頭をほとんど使わない「単純作業」がベストです。考えるのではなく、手を動かすことを意識してください。

  • 英単語:意味を覚えようとせず、発音しながら1ページ分を書き写すだけ。
  • 数学:教科書や問題集の簡単な計算問題を3問だけ解く。
  • 社会:教科書の太字や人名をノートに5分間書き出すだけ。
  • 古文:声に出して音読するだけ。

目的:単純な反復作業は、脳の側坐核を効率よく刺激します。難しい問題で考える前に、まず手や口を動かしてウォーミングアップするイメージです。

【ステップ4】「自動操縦モード」に移行する

ピピピッ!と5分のタイマーが鳴ったら、一度手を止めます。もし「あ、もう少し続けられそう」と感じたら、それが作業興奮が起こったサイン。そのまま、本来やりたかった勉強(例:長文読解、応用問題)に進みましょう。

もし、まだ乗り気でなければ、もう一度「5分だけ」とタイマーをセットして同じ作業を繰り返します。驚くほど自然に、勉強に集中している自分に気づくはずです。

目的:アイドリングで温まった脳の勢いを、本当に取り組むべき学習へとスムーズに繋げるためです。

 さらに効果を高めるためのコツ

✅ 「ポモドーロ・テクニック」と組み合わせる
作業興奮で集中モードに入ったら、「25分集中+5分休憩」のサイクルを繰り返すポモドーロ・テクニックに切り替えるのがおすすめです。集中力が持続しやすくなります。

✅ 「場所」の力を借りる
どうしても自分の部屋で始められない時は、リビングや学校の図書室、塾の自習室など、場所を変えてみましょう。環境が変わるだけで、最初の「5分」を踏み出しやすくなります。

✅ 「小さな達成感」を記録する
手帳やノートに「単語5分」「計算ドリル1P」など、クリアしたタスクを書き出してチェックマークを付けましょう。小さな成功体験の積み重ねが、次の日のやる気に繋がります。

Q.

苦手科目だと、5分でも始めるのが億劫です。どうすればいいですか?


A.

とても良い質問ですね。その場合は、さらにハードルを下げてみましょう。例えば、「数学の問題集を開いて、解答を1ページ分、書き写すだけ」でOKです。解こうとする必要はありません。「見る」「写す」という作業に徹することで、脳への抵抗を最小限にできます。好きな音楽を1曲聴く間だけ、など時間で区切るのも効果的です。まずは「苦手科目に触れる」こと自体に慣れるのが第一歩です。

Q.

5分のタイマーが鳴ると、逆に集中が途切れてしまいそうです。


A.

その心配は無用です。むしろ、それは作業興奮がうまく起きている証拠です。タイマーはあくまで「最初の5分」を乗り越えるためのスイッチです。タイマーが鳴った時に「もっと続けたい」と感じていたら、大成功。そのままタイマーを無視して、自分の集中が続くところまで勉強を続けてください。タイマーは、あくまで「始めるためのきっかけ」と割り切って使いましょう。

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この記事のまとめ

「やる気」は、心の状態でなく「行動の結果」です。勉強を始められない自分を責める必要は全くありません。大事なのは、意志力に頼らず、脳をうまく乗せてあげる「仕組み」を作ることです。

①机の上には教材1冊だけ、②5分タイマーをセット、③超簡単な作業から始める。この3つを徹底するだけで、脳は自然と勉強モードに入ります。忘れがちなのは、脳が温まるには少し時間がかかるという事実。このタイムラグを理解し、最初の5分を「儀式」として乗り切る技術を身につければ、あなたの受験勉強は驚くほどスムーズに進み始めます。さあ、今夜から早速、明日の準備を始めましょう!

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