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「英語で理解する」「英語で考える」「日本語を介在させない」――こうした言葉が英語教材のキャッチコピーとして溢れている昨今。
ですが、ふと立ち止まって考えてみてください。
「英語で理解する」とは、いったいどういうことでしょう?
昭和生まれの私にとって、英語の授業は「読んで→訳す」が当たり前。
中学生の頃は、文法を例文で覚えて、何度も声に出して読んでいれば、ある程度は通用しました。
ですが高校2年生になった頃、長文読解の壁にぶつかりました。
ネットのない時代、英語学習の情報源はせいぜい英語雑誌。そんな中、ある特集記事で目にしたのが「同時通訳方式」という文字。
調べてみると、返り読みせず、前から英文を理解していくという方法のようでした。
直感でその教材を購入(時代はカセットテープ!)し、独学で始めてみたのです。
その教材では、「文型を意識し、意味の切れ目にスラッシュを入れて読む」という指導がありました。
これは衝撃でした。 それまで私は、
I bought this T-shirt yesterday.
→ 「I this T-shirt bought」と日本語的に訳していたのです。
もっと長い文章、たとえば:
I like this T-shirt which my mother bought for me.
を、昔は
「私の母が私に買ってくれたところのこのTシャツを私は好きです」
という不自然な訳をしていました。
でも、スラッシュを入れることで前からスムーズに理解できるようになったのです:
I like / this T-shirt / which / my mother / bought / for me.
さらに、“which”を「そしてそれは」と捉えることで、英文が立体的に見えるようになりました。
この体験が、高2の夏、一生忘れられない英語の転機となったのです。
それからはペーパーバックを買い込み、ひたすら英文を読みました。
周囲が単語帳で暗記に励む中、私は「英文全体の流れをつかむ」練習に没頭。
「読んで意味が分からない英文はない」
――と、言い切れるくらい自信がつきました。
スラッシュリーディングでは、たとえ知らない単語があっても、前後の文脈で予測しながら読み進めることができます。
そして、分かる単語はもういちいち訳さない。
これが、「英語を英語で理解する」という状態なのです。
もちろん、最初から完璧にできるわけではありません。でも、「返り読みしない習慣」を身につけるだけで、英語の読解力は大きく変わります。
中学までは英語が得意だったのに、高校で苦手になりそう…と感じているあなた。
その原因の多くは、「読み方を変えていないこと」にあるかもしれません。
苦手意識が先行して、授業で新しい読み方を紹介されても手が出ない。
でも、心機一転、スラッシュリーディングにトライしてみてください。
必ず、読み方が、そして英語との距離が変わってきます。