「大学入試の英語、長文が全然頭に入ってこない…」「単語は覚えたはずなのに、なぜか読めない…」多くの受験生が頭を抱える英語の壁。その大きな原因の一つが、入試で主に試される「アカデミック英語」という、日常英会話や学校の教科書で触れる英語とは一線を画す「学術世界の共通言語」の存在です。
特に、論文や専門的な記事で頻出する独特の硬質な言い回しや、辞書で調べた意味だけでは捉えきれない前置詞の繊細なニュアンスは、多くの学習者を混乱させ、「英語はやっぱり苦手だ…」という意識を植え付けてしまう大きな要因となっています。
「でも、どうすればアカデミック英語に対応できるの?」「普段の勉強と何が違うの?」そんな疑問や不安を抱えるあなたのために、この記事では、大学入試英語が持つ「アカデミックな特徴」を深掘りし、それがなぜ多くの受験生にとって「壁」となるのか、そしてその壁を打ち破り、英語を得点源に変えるための具体的かつ効果的な学習戦略を、徹底的に解説します。この記事を読めば、明日からの英語学習がきっと変わるはずです!
第1章:その正体を見極める!大学入試英語の「アカデミックな顔」とは? 大学入試で出題される英文の多くは、学術論文、専門分野の解説記事、論評など、いわゆる「アカデミア(学術の世界)」で用いられる文章から抜粋されています。これらは日常会話とは異なる、以下のような際立った特徴を持っています。
- 客観性と論理性の徹底追求:感情を排した、事実に基づく冷静な議論
- 特徴: 個人的な感情や主観を極力排除し、事実、データ、研究結果、論理的な推論に基づいて議論が展開されます。「私は~と思う (I think…)」といった主観的な表現は避けられ、「~であると考えられる (It is considered that…)」「~と主張されている (It is argued that…)」「証拠が~を示唆している (Evidence suggests that…)」のような受動態や非人称構文が好んで用いられます。また、論理の繋がりを明確にするため、”therefore” (それゆえに), “however” (しかしながら), “consequently” (その結果), “furthermore” (さらに), “in contrast” (対照的に) といった**論理マーカー(接続副詞)**が効果的に配置されます。
- なぜ?: 学術的な知見は、誰が読んでも同じように理解でき、検証可能であることが求められるため、客観性と論理性が最重要視されるのです。
- 専門用語(ターミノロジー)の壁と攻略法:文脈が最大のヒント
- 特徴: 経済学の “Gross Domestic Product (GDP)” (国内総生産)、心理学の “cognitive bias” (認知バイアス)、生物学の “photosynthesis” (光合成) など、特定の学問分野特有の専門用語(jargon)が、時には注釈なしで登場します。
- 推測の鍵:
- 文脈理解: 前後の文でその用語が定義されていたり、具体例が挙げられていたり、あるいはより平易な言葉で言い換えられている場合が多くあります。
- 語源知識: 接頭辞 (例: “bio-” 生命, “socio-” 社会)、接尾辞 (例: “-logy” 学問, “-ism” 主義)、語根の知識は未知の単語の意味を類推する強力な武器になります。
- 対比・類似関係: “Unlike A, B is defined as…” や “Similar to X, Y refers to…” といった構造から、既知の言葉との比較で意味を掴むことができます。
- 対策: 最初は分からなくても諦めず、文脈全体から意味を「推測する力」を養うことが重要です。普段から様々な分野の文章に触れ、基本的な専門用語に慣れ親しんでおくと有利です。
- 複雑怪奇な文構造:一文に凝縮された情報を見抜く
- 特徴: 一文が数行にわたることも珍しくなく、主語と動詞が離れていたり、多くの修飾語句(長い形容詞句・副詞句、関係詞節、分詞構文、同格の名詞節など)が入れ子構造のように複雑に絡み合っていたりします。情報を正確かつ簡潔に伝えるために、「名詞構文」(動詞的な内容を名詞で表現する構文、例: “the investigation of the cause” ⇔ “investigating the cause”)も多用されます。
- 読解のコツ:
- SVO(C)の骨格把握: まず文の主語 (S) と主要な動詞 (V) を見つけ出すこと。修飾語句は一旦カッコで括るなどして、文の核となる構造を明らかにします。
- 節と句の役割分析: 関係詞節がどの名詞を修飾しているのか、副詞節がどのような情報(時、理由、条件など)を付け加えているのかを正確に把握します。
- 対策: 丁寧な「精読」を通じて、一文一文の構造を正確に分解し、図解するなどして視覚的に理解する訓練が不可欠です。「なんとなく」の理解ではなく、文法的な根拠に基づいた読解力を鍛えましょう。
- 抽象的な概念のオンパレード:見えない世界を言葉で理解する
- 特徴: 「グローバリゼーション」「持続可能性 (sustainability)」「社会的正義 (social justice)」「文化相対主義 (cultural relativism)」といった、具体的・物理的な形を持たない抽象的な概念や思想について論じられることが頻繁にあります。これらの概念は多義的であったり、文脈によって意味合いが変化したりするため、正確な理解が求められます。
- 理解のヒント:
- 具体例の発見: 抽象的な概念が提示された後、それを補足説明するための具体例や事例が続くことが一般的です。
- 定義の確認: 文中でその概念がどのように定義づけられているか、あるいはどのような特徴を持つものとして説明されているかに注目します。
- 対比・比較: ある概念を明確にするために、別の概念と比較したり対比したりする論法がよく用いられます。
- 対策: 日頃から新聞の社説や論説、様々な分野の入門書(新書など)を読み、抽象的なテーマや社会問題に関する議論に触れておくことで、背景知識と読解の土台を養うことができます。
- フォーマルな語彙と格調高い表現:言葉選びの流儀
- 特徴: 日常会話で使われるような砕けた表現 (“gonna,” “wanna,” “kids”) や口語的な単語 (“get,” “a lot of,” “good,” “bad”) は避けられ、より堅く、正確で、客観的な印象を与えるフォーマルな語彙が選択されます。
- 日常語 → フォーマル語の例:
- get → obtain, acquire, procure, derive
- show → demonstrate, illustrate, indicate, reveal, manifest
- a lot of / many / much → numerous, a considerable number/amount of, a wealth of, substantial, ample
- good / bad → beneficial / detrimental, advantageous / disadvantageous, positive / negative, favorable / adverse, sound / flawed
- think about → consider, contemplate, reflect upon, deliberate on
- fix → rectify, amend, resolve
- 対策: アカデミックな文章を多読する中で、フォーマルな語彙とその使われ方を意識的に収集し、言い換えの練習をすることが効果的です。単語帳を選ぶ際も、アカデミック頻出語彙が充実しているものを選びましょう。
- 【最難関】日常会話とは異なる「前置詞」の繊細な使い分け
- 特徴: これが多くの受験生を最後まで苦しめるポイントです。日常会話では問題ない前置詞の選択が、アカデミックな文脈では不自然になったり、意味が通じなくなったりすることがあります。特定の動詞、名詞、形容詞と強く結びつき、特定の意味合いを生み出す**コロケーション(連語)**の知識が決定的に重要になります。
- 頻出表現とニュアンスの例:
- in terms of ~: 「~の観点から」「~に関して言えば」 (e.g., “evaluate the policy in terms of its economic impact”)
- on account of ~: 「~の理由で」「~が原因で」 (e.g., “The project was delayed on account of unforeseen circumstances.”) (≒ because of, due to)
- with regard to ~ / regarding ~ / concerning ~ / as regards ~: 「~に関して」「~については」 (e.g., “Several questions were raised with regard to the methodology.”) (≒ about)
- by means of ~: 「~という手段によって」 (e.g., “Communication was established by means of satellite.”)
- in relation to ~: 「~に関連して」「~との関連で」 (e.g., “This study examines attitudes in relation to environmental issues.”)
- irrespective of ~ / regardless of ~: 「~に関わらず」「~とは無関係に」 (e.g., “The law applies to everyone, irrespective of their social status.”)
- contrary to ~: 「~に反して」 (e.g., “Contrary to popular belief, this species is not endangered.”)
- in accordance with ~: 「~に従って」「~に合致して」 (e.g., “The procedures were carried out in accordance with the guidelines.”)
- 動詞/形容詞 + 前置詞のコロケーション例:
- attribute A to B (AをBのせい/おかげとする)
- derive A from B (AをBから得る・引き出す)
- be consistent with ~ (~と一致している)
- be crucial for/to ~ (~にとって極めて重要である)
- focus on ~ (~に焦点を当てる)
- participate in ~ (~に参加する)
- 対策: 単に前置詞単体の意味を覚えるだけでなく、フレーズやコロケーションとしてセットで覚えることが最も効果的です。多くの例文に触れ、それぞれの前置詞が持つ「コアイメージ」と、文脈に応じた具体的な使われ方の両方を意識しましょう。
第2章:なぜ「アカデミック英語」がこれほどまでに学習の壁となるのか? 中学・高校の英語教育では、グローバル化に対応すべく、コミュニケーション能力の育成に重点が置かれ、ロールプレイやペアワークを通じた日常会話中心の学習が展開される傾向にあります。これは生徒の英語への興味を引き出し、実際に「使う」楽しさを教える上で非常に価値のあるアプローチです。
しかし、その一方で、大学での研究や専門的な議論で必要とされる、論理的で精密な「アカデミック英語」に特化したトレーニングの機会は、相対的に限られてしまいがちです。
その結果、以下のような「ズレ」や「壁」が生じやすくなります。
- 語彙のミスマッチと質の転換:
- 日常会話で頻用する単語や表現だけでは、学術論文の高度で専門的な語彙群に対応できません。例えば、「言う」一つとっても、日常会話なら “say” や “tell” で十分ですが、アカデミックな文脈では “argue,” “assert,” “contend,” “state,” “suggest,” “imply,” “opine” など、ニュアンスの異なる多様な動詞が使い分けられます。
- 単純な単語数だけでなく、抽象的な概念を表す語彙や、論理関係を示す語彙のストックが不足しがちです。
- 文法知識と「読解のための文法」のギャップ:
- 基本的な文法ルール(時制、態、助動詞など)は理解していても、それらが複雑な従属節や修飾構造の中でどのように機能し、文全体の意味を形成しているのかを瞬時に把握する「運用力」が不足することがあります。
- 「訳読」に頼った学習では、英語の語順のまま意味を捉える訓練が不足し、返り読みが多くなり読解スピードが低下する原因にもなります。
- 「前置詞の壁」という名の深淵:
- 日常会話の感覚で前置詞を選んでしまうと、アカデミックな文脈では不自然に聞こえたり、意図したニュアンスが伝わらなかったり、最悪の場合は誤解を生んだりします。例えば、「~に関する研究」を “a study about climate change” と表現するよりも、”a study on climate change” や “research into the effects of climate change” の方がより専門的で適切な響きを持ちます。
- この「感覚」は、多くの例文に触れ、意識的にストックしていく中で徐々に養われるものであり、一朝一夕には身につきにくい部分です。
- 読解スピードと処理能力の限界:
- 馴染みのない語彙、複雑な文構造、抽象的な内容の連続に直面すると、一文一文の解読に時間がかかり、結果として全体の論旨を追えなくなったり、試験時間内に問題を解ききれなくなったりします。
- 「読んでも分からない」という経験が続くと、心理的な負担が増し、英語学習そのものへのモチベーション低下にも繋がりかねません。
これらの要因が複合的に絡み合い、多くの受験生が大学入試英語に対して「難解だ」「歯が立たない」といった苦手意識を抱き、「努力しているのに、なぜか成績が伸び悩む」という停滞感に苦しむことになるのです。
第3章:アカデミック英語の壁を打ち破る!明日からできる効果的な学習戦略 では、この手強いアカデミック英語の壁を乗り越え、英語を得意科目に変えるためには、具体的にどのような学習アプローチを取れば良いのでしょうか?日々の学習にすぐに取り入れられる実践的な戦略をご紹介します。
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「質」の高いアカデミックな英文に積極的に、かつ戦略的に触れる:
- 過去問の徹底分析と活用:
- 志望大学・学部の過去問は、最高のアカデミック教材です。単に解いて答え合わせをするだけでなく、**「なぜこの英文が選ばれたのか」「どのような論理展開か」「どのような語彙・構文が頻出か」「設問は本文のどこを理解していれば解けるのか」**といった視点で深く分析しましょう。
- 良質な解説が付いている問題集を選び、自分の解釈と照らし合わせることが重要です。
- 学術的な記事や書籍への挑戦(段階的に):
- 入門編: 英字新聞の社説や解説記事 (The Japan Times, The New York Times の記事など)、信頼できるニュースサイト (BBC Learning English, VOA Learning English など) の少し長めの記事から始めましょう。
- 中級編: 興味のある分野の一般向け科学雑誌 (Scientific American, National Geographic など) や、大学の公開講座の資料、TED Talks (スクリプト付き) などがおすすめです。
- 上級編: 専門分野の入門的な教科書や、オンラインで公開されている学術論文の要旨 (abstract) や序論 (introduction) に挑戦してみましょう。Google Scholar などを活用すると見つけやすいです。
- アカデミックなテーマを扱った長文読解問題集の活用:
- 様々な分野(社会科学、自然科学、人文科学など)のトピックをバランス良く扱っている問題集を選びましょう。
- 解答解説が丁寧で、語彙や構文のポイントがしっかり説明されているものが理想です。解きっぱなしにせず、**徹底的な復習(精読、音読、語彙の整理)**をセットで行うことが重要です。
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語彙力の「量」と「質」を劇的に向上させる – アカデミック単語習得術:
- 単語帳の戦略的活用:
- 日常会話レベルの単語帳に加え、学術頻出語彙リスト (Academic Word List: AWLなど) に準拠した単語帳や、大学入試の長文でよく出会う重要単語を集めた単語帳を併用しましょう。
- 単に日本語訳を覚えるだけでなく、**例文の中でその単語がどのように機能しているか(品詞、共起する語、ニュアンス)**を必ず確認します。
- 派生語(名詞形、動詞形、形容詞形など)や類義語・対義語もセットで覚えると効率的です。
- 「生きた文脈」で覚えることを徹底する:
- 長文読解で出会った知らない単語や重要な表現は、その都度ノートや単語カードに例文ごと書き出し、自分だけのオリジナル単語集を作りましょう。最初から完璧なリストを作ろうとせず、出会ったものからコツコツと蓄積していくことが大切です。
- その際、単に書き写すだけでなく、その単語が文中でどのような役割を果たしているか(例えば、主張を強める、対比を示す、原因を述べるなど)を意識すると、より深く記憶に刻まれます。
- 語源(接頭辞・接尾辞・語根)の知識を活用する:
- 第1章でも触れましたが、語源の知識は、未知の単語の意味を類推するだけでなく、既知の単語と関連付けてネットワーク化し、記憶を強化するのに非常に役立ちます。”bene-” (良い), “mal-” (悪い), “pre-” (前), “post-” (後), “-ology” (学問), “-scribe” (書く) といったパーツの意味を知っているだけで、語彙学習の効率は格段に上がります。
- コロケーション(連語)を意識的にストックする:
- 「前置詞」の項でも強調しましたが、これは語彙全般に言えることです。”make a decision” (決定する), “conduct research” (研究を行う), “play a role” (役割を果たす) のように、特定の単語同士の自然な結びつきを意識して覚えることで、より自然で正確な英語運用能力が身につきます。長文中で頻出するアカデミックなコロケーションは積極的にストックしましょう。
- 多読・多聴を通じて語彙に触れる機会を増やす:
- 覚えた単語は、様々な文脈で何度も出会うことで初めて「使える語彙」として定着します。興味のある分野のアカデミックな文章を積極的に読む、あるいは英語のニュースや講義を聞くなどして、語彙に触れる絶対量を増やしましょう。
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文法知識を「読解のための武器」に鍛え上げる – 精読の徹底:
- 一文一文の構造を徹底解剖する:
- 複雑な文構造を正確に理解するためには、まず文の主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)といった基本要素を見抜く訓練が不可欠です。修飾語句がどこにかかっているのか、関係詞節がどの名詞を説明しているのか、分詞構文がどのような意味合い(時・理由・条件・譲歩など)で使われているのかを、曖昧さを残さず把握しましょう。
- 初めは時間がかかっても構いません。複雑な文は図解したり、スラッシュで区切ったりしながら、構造を視覚的に理解する工夫も有効です。
- 品詞の機能と文中での役割を意識する:
- 同じ単語でも品詞が異なれば文中での役割も意味も変わります。名詞構文(動詞的な意味を持つ名詞句)や、動名詞、不定詞などが文中でどのような働きをしているのかを正確に捉えることが、精密な読解に繋がります。
- 論理マーカー(接続副詞)を手がかりに文と文の関係を読む:
- “However,” “Therefore,” “In addition,” “For example,” “In contrast” といった論理マーカーは、筆者の思考の道筋を示す重要な標識です。これらの語句に注目し、前後の文がどのような関係(逆接、順接、追加、具体例、対比など)にあるのかを意識することで、パラグラフ全体の論理構造が見えやすくなります。
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「木を見て森も見る」 – パラグラフリーディングと論理展開の把握:
- トピックセンテンスを見抜く:
- 多くのアカデミックな文章では、各パラグラフの冒頭(あるいは末尾)にそのパラグラフの主題や要点を述べたトピックセンテンスが置かれています。これを素早く見つけ出すことで、パラグラフ全体の趣旨を効率的に掴むことができます。
- サポートセンテンスとの関係を理解する:
- トピックセンテンスに続く文は、その主張を補強するための具体例、理由、データ、詳細説明など(サポートセンテンス)です。これらがどのようにトピックセンテンスを支えているのかを意識しながら読み進めましょう。
- 文章全体の論理構造を捉える:
- 個々のパラグラフの理解を積み重ね、文章全体がどのような論理展開(問題提起→原因分析→解決策提示、主張→反論→再反論、時系列での変化など)になっているのかを把握することが、内容理解の鍵となります。特に、導入部(Introduction)、本論(Body)、結論(Conclusion)といった構成を意識すると良いでしょう。
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読解スピードと処理能力を向上させるトレーニング:
- 時間を意識した演習:
- 普段の長文読解から制限時間を設け、その中でどこまで正確に読めるか、設問に答えられるかを意識しましょう。最初は時間をオーバーしても構いませんが、徐々に目標時間に近づけるように訓練します。
- スラッシュリーディングやチャンクリーディングの活用:
- 意味のまとまり(チャンク)ごとに区切りながら読み進めることで、返り読みを防ぎ、英語の語順のまま理解する力を養います。これにより、読解スピードの向上が期待できます。
- 定期的な音読・シャドーイング:
- 黙読だけでなく、声に出して読むことで、英語のリズムやイントネーションを体得し、意味理解の速度と正確性を高める効果があります。特に、一度精読して内容を理解した英文を用いると効果的です。
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背景知識の強化と多角的な視点の獲得:
- アカデミックな文章は、特定の学問分野の知識や社会的な事象を前提として書かれていることが少なくありません。日頃から新聞の社説、信頼できるニュースサイト、様々な分野の入門書(新書など)に目を通し、幅広い教養や背景知識を身につけておくことは、読解の助けになるだけでなく、思考力を深める上でも非常に重要です。
- 特に、環境問題、グローバリゼーション、情報技術、生命倫理、社会格差といった現代的なテーマに関する基本的な知識は押さえておくと良いでしょう。
第4章:継続こそ力なり – アカデミック英語習得への心構え
ここまで、アカデミック英語の特性と具体的な学習戦略について解説してきました。しかし、最も重要なのは、これらの学習を「継続する」ことです。一朝一夕に成果が出るものではありませんが、正しい方向性で努力を続ければ、必ず壁は乗り越えられます。
- 小さな成功体験を積み重ねる: 「昨日より少し多くの単語を覚えられた」「以前は分からなかった文構造が理解できた」といった小さな進歩を意識し、モチベーションを維持しましょう。
- 完璧主義になりすぎない: 最初から全てを完璧に理解しようとすると、挫折しやすくなります。分からない箇所があっても、まずは全体像を掴むことを優先し、後からじっくりと見直すなど、柔軟な姿勢で取り組みましょう。
- 目標を明確に持つ: 「志望校の英語で合格点を取る」「将来、英語で専門分野を学びたい」といった明確な目標は、困難に直面したときの大きな支えとなります。
- 学習仲間を作る・相談できる人を見つける: 同じ目標を持つ仲間と励まし合ったり、先生や先輩にアドバイスを求めたりすることも、学習を継続する上で有効です。
おわりに
大学入試における「アカデミック英語」は、確かに手強い相手です。しかし、その特性を理解し、適切な学習戦略に基づいて地道な努力を続ければ、必ず攻略できます。この記事で紹介した方法が、皆さんの英語学習の一助となり、アカデミック英語を得点源に変えるための一歩となることを心から願っています。頑張ってください!